マッツ・ミケルセンが“自分をジョン・レノンと信じ込む男”を熱演!『さよなら、僕の英雄』の見どころとは?
自らを“ジョン・レノン”だと信じる男と、その弟が繰り広げる予測不能な旅。マッツ・ミケルセンの新たな代表作との呼び声も高い『さよなら、僕の英雄』の注目ポイントを紹介!

今年で映画デビュー30周年を迎えるマッツ・ミケルセンの最新作『さよなら、僕の英雄』の見どころは、なんといってもマッツが演じる“自分をジョン・レノンだと信じ込む男”という、あまりにも突飛で愛すべきキャラクター。本作のマッツはどこか子どものように無防備で、危うくて、それでいてふとした瞬間に胸を締めつける孤独をにじませる。周囲を戸惑わせる言動を繰り返しながらも決してエキセントリックなキャラクターに終わらず、観客が自然と彼に寄り添いたくなるのは、マッツならではの繊細な表現力あってこそ。とりわけ、ユーモアと哀しみを紙一重で共存させる演技は、本作で新たな境地に達している。
また、本作は母国の盟友であるアナス・トマス・イェンセン監督との6度目のタッグという点でも見逃せない。2000年の『ブレイカウェイ』以降、四半世紀にわたって続く両者のコラボレーションは、ブラックユーモアと人間ドラマを融合させた唯一無二の世界観で世界中の映画ファンを魅了してきた。本作でもその魅力は健在で、不条理な笑いの直後、登場人物たちの痛みや孤独に不意打ちのように胸をえぐられる。
さらに本作を単なる型破りなコメディに終わらせていないのが、“アイデンティティ”と“家族”をめぐるテーマ性だ。自分をジョン・レノンだと思い込むマンフレル。そして大金を取り戻そうとしながらも、兄と向き合うなかで封じ込めてきた過去を掘り起こしていく弟アンカー。そんな兄弟の旅路を通して描かれるのは、“普通”とは何か、人はどのように自分自身を受け入れていくのかという普遍的な問いだ。混沌とした展開の裏側に、驚くほど優しく温かな眼差しが通底している点も、イェンセン監督作品ならではの魅力と言える。
北欧映画界が誇る黄金コンビ、マッツ・ミケルセン×アナス・トマス・イェンセン監督の絆

アナス・トマス・イェンセン監督とマッツ・ミケルセン
Photo by Ben Kriemann/Getty Images
本作は北欧映画界を代表する名コンビ、マッツ・ミケルセンとアナス・トマス・イェンセン監督にとって5年ぶりとなるタッグ作品。2000年の『ブレイカウェイ』から始まり、『フレッシュ・デリ』(2003)、『アダムズ・アップル』(2005)、『メン&チキン』(2015)、『ライダーズ・オブ・ジャスティス』(2020)、そして本作とマッツは監督の長編全作品に出演し続けている。
イェンセン監督作品に共通するのは、社会にうまく馴染めない不器用な男たちを主人公にした不条理なダークコメディであること。強烈なトラウマや欠点を抱えた彼らは、時に極端な行動や暴力へと走る。しかし、そのカオスなストーリーの奥底には、常に「生と死」「家族の絆」「アイデンティティ」といった普遍的なテーマが隠されている。
この独特な世界観を成立させているのは、ふたりの絶対的な信頼関係。マッツが「僕はアナスの映画の作り方に惚れ込んでいる。やりすぎたら彼が引き戻してくれると分かっているから、安心して限界まで挑める」と語れば、イェンセン監督も「マッツがやっていることは、本当に誰にも真似できない」と全幅の信頼を置く。世界的トップスターとなった今も、マッツが定期的にイェンセン監督のもとへ“帰還”する事実が、彼らの深い絆を物語っている。“北欧の至宝”の多面的な魅力は、25年来の盟友だからこそ引き出せるものなのだ。
『さよなら、僕の英雄』
2026年6月19日(金)公開
デンマーク=スウェーデン/2025/1時間56分/配給:スターキャットアルバトロス・フィルム
監督:アナス・トマス・イェンセン
出演:マッツ・ミケルセン、ニコライ・リー・コス、ソフィー・グローベール、ソーレン・マリン、ボディル・ヨルゲンセン、ラーシュ・ブリグマン、カルド・ラザーディ、ニコラス・ブロ、ピーター・デュリング
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