「トップガン」「ミッション:インポッシブル」のトム・クルーズが、『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』(2014)及び『レヴェナント: 蘇えりし者』(2015年)でアカデミー賞最優秀監督賞を2年連続で受賞した、アレハンドロ・G・イニャリトゥ監督のタッグ作『DIGGER/ディガー』(原題:DIGGER)が10月9日(金)より日本公開される。この度、先日開催された、予告映像のローンチイベントにおけるトム・クルーズが本作についてたっぷりと語ったQ&Aの模様が到着。映画愛や映画に対する考え方も随所に垣間見える内容となっている。
画像: 映画『DIGGER/ディガー』オフィシャル予告|2026年10月9日(金)全国ロードショー www.youtube.com

映画『DIGGER/ディガー』オフィシャル予告|2026年10月9日(金)全国ロードショー

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これまで一切の情報が謎に包まれていた本作。先日遂に新予告映像が公開され、ストーリーと大変貌を遂げた本作でのトム・クルーズの姿が明らかになり、大きな話題を呼んだ。

本作でクルーズが演じるのは、“石油採掘会社のCEO”ディガー・ロックウェル。利益にしか目がない彼の欲深い行動がきっかけで、地球が滅亡に瀕する大ピンチを迎える。ディガーは大統領からその尻ぬぐいを命じられ、世界を救うべく立ち上がるが。果たして、彼は地球を救えるのか。そもそもこの男、信用していいのか!?

Q&Aでは、トム・クルーズが本作を切り口に、映画作りからリズム、キャラクター、劇場での映画体験、観客への思いについてまで、たっぷりと語っている。

「キャリアの初期から、彼はすでに驚くべきことを成し遂げていました」—―アレハンドロ・G・イニャリトゥ監督について

トム「25年前、アレハンドロの『アモーレス・ペロス』(2000)を初めて観た時のことを、今でも鮮明に覚えています。本当に素晴らしい作品でした。衝撃的でした。私はかなり早い段階でこの作品の存在を知り、公開当初に観ることができた観客のひとりです。みなさんがどう感じたかはわかりませんが、私は『何なんだ、この監督は!』と度肝を抜かれました。

 どんな分野でも、一流の人というのは、物事を見る目を持っています。私は映画人として、この監督が細部にまで込めたこだわりを見ていました。キャリアの初期から、彼はすでに驚くべきことを成し遂げていました。『どうやってこんな作品を作ったんだ?』と思わずにはいられませんでした。演出、そして撮影監督チーボ(エマニュエル・ルベツキ)とともに作り上げたカメラワーク。俳優たちの演技。美術。色彩設計。映画を構成するあらゆる要素が緻密に考え抜かれていて、細部にまで神経が行き届いていました。そして何より、自分の仕事を深く理解した、卓越した才能を持つ一人の人間の力強い声が作品全体から伝わってきました。 

私はすぐに友人たちへ電話をかけました。自宅に人を集めては、『スタジオに連絡してくれ。この映画は絶対に観るべきだ。このアレハンドロという人物は、一体何者?』と話していました。それまで私は彼のことをまったく知りませんでした。 

 不思議なことに、その後もしばらく彼と会う機会はありませんでした。何年も経ってから、彼のほうから声をかけてくれ、初めてじっくり話をすることができました。それ以来、私は彼の作品を一本も欠かさず観ています。

『次は何を撮るんだろう』『今度はどんな作品を作るんだろう』。いつもそう思いながら楽しみにしていました。彼は本当に素晴らしい人間であり、並外れた才能を持つアーティストです。彼が手がける作品は、どれも新たな発見に満ち、必ず驚かせてくれます。

『Digger』は、私に持ってきてくれた段階で、すでに数年間温め続けているプロジェクトでした。今からおそらく7年ほど前になるでしょうか。彼は脚本を書いている段階で私に話を持ってきてくれ、そこから一緒に作品を作り上げていきました。『Digger』をご覧になれば、この映画にどれほどの細部へのこだわりと高度な技術、そして幾重にも重なる創作の積み重ねが注ぎ込まれているか、おわかりいただけると思います。アレハンドロ自身も、これまでこのような作品を作ったことはありませんでした。そして私もまた、これほどの作品に挑んだことは一度もありませんでした」

「(どんな作品にも)独自の音楽性があり、それぞれ固有のビジョンがあります」—―コメディ/作品のリズムについて

トム「どんな作品でもそうですが、『これが正しいリズムだ』『コメディとはこういうものだ』という決まった形はありません。たとえば、『卒業白書』(1983)『ザ・エージェント』(1996)『トロピック・サンダー/史上最低の作戦』(2008)のレス・グロスマン、『オール・ユー・ニード・イズ・キル』(2014)を比べても、それぞれに独自の音楽性があります。それぞれが固有のビジョンを持っているのです。キャラクターが持つ音楽性を感じ取れるようになると、その人物には独自のリズムがあることがわかります。そのリズムは他の誰とも違います。だからこそ、キャラクターの振る舞いや動き、そうしたものをメイクなどのビジュアル面と合わせて作り上げながら、『この作品のトーンはこれでいいのか』『ドラマなのか、コメディなのか』『やり過ぎではないか』と絶えず確認し、少しずつ調整していくのです。アレハンドロは音楽を深く理解しています。そして音楽こそ、私たち全員が共有できる世界共通の言語なのです。 

 私はさらに、『そのリズムを現場で発見するために、どう準備すればいいのか』を考えます。トレーニングや言語、ダンスなど、自分が取り組むあらゆる準備は、『こうした瞬間のためにどう備えるか』という発想から始まります。このような人物を演じられるだけの力を身につけるために準備を重ねているのです。アレハンドロは何日も時間をかけて、脚本を私に読み聞かせてくれました。私は彼の頭の中にあるものすべてに耳を傾け、それを理解しようと努めました。そうすることで、自分がどのように作品へ貢献し、この共同作業をさらに豊かなものにできるのかが見えてくるのです。アレハンドロと共にその時間を過ごせたことは、本当に素晴らしい経験でした」

「(『ハスラー2』の撮影を振り返り)あの光景を間近で見て、ただ吸収できたことが、どれほど恵まれた経験だったかを改めて実感しています」—―映画作りという技術と芸術について

トム「この映画には、いくつもの映画作りの要素が積み重ねられています。作品全体のデザインから演技、キャラクター造形、そしてキャスト全員に至るまで、すべてが卓越しています。ひとつひとつのカットを見ながら、『このフレームの中には何があるのか』『このセットにはどんな意味があるのか』『ユーモアはどこから生まれているのか』『何が観客の心を動かすのか』を探り続ける。そんな作品なのです。

『タップス』(1981)の撮影時、撮影監督のオーウェン・ロイズマンは、レンズについていろいろ話してくれました。きっと彼は、『この若造は、とんでもない数の質問をしてくるな』と思っていたことでしょう。彼は撮影技術についてさまざまなことを教えてくれ、私はただ必死にその話を吸収しようとしていました。その後私は常に周囲を観察していました。そして、『この人たちは本当によく知っている』と感じたものです。カメラ、フレーミング、セット、その空間をどう生かせば狙った効果を生み出せるのかを、彼らは熟知していました。

 その後、オーウェンが持っていた知識は、彼だけのものではなかったのだと気づきました。彼自身も若い頃、カメラマン助手として機材を運びながら、偉大な名匠たち、そして決して偉大とは言えない監督たちのもとで学んできたのです。人は優れた人からも、そうでない人からも学ぶことができます。当時、オーウェンが私に話してくれたことには、正直『何を言っているのかよくわからない』と思うことがありました。でも、時間が経つにつれて自然と身についていき、やがて『ああ、こういうことだったのか』と腑に落ちる瞬間が訪れました。 

 チーボ(エマニュエル・ルベツキ)とアレハンドロは、もともと一緒にCMを制作していた頃からの仲です。あのふたりが育った土地の水には、一体何が入っていたんでしょうか(笑)。本当に並外れた才能の持ち主たちです。

 今、この年齢になってこうして映画を作れることに、私は心から感謝しています。若い頃、撮影現場でさまざまな部署をのぞき込みながら、『いつか理解できるようになりたい』と思っていた自分を思い出します。そして、その知識を惜しみなく分け与えてくれた多くの人たちがいました。当時の私は、『今は理解できなくても、いつかきっとわかるようになる』と思っていました。実際、その通りになりました。本当に幸運だったと思います。マーティン・スコセッシ監督が演出し、その前でポール・ニューマンが演技する姿を見られたのですから。あの光景を間近で見て、ただ吸収できたことが、どれほど恵まれた経験だったかを改めて実感しています」

『DIGGER/ディガー』
2026年10月9日公開
配給:東和ピクチャーズ・東宝
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