「トップガン」「ミッション:インポッシブル」のトム・クルーズが、『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』(2014)及び『レヴェナント: 蘇えりし者』(2015年)でアカデミー賞最優秀監督賞を2年連続で受賞した、アレハンドロ・G・イニャリトゥ監督のタッグ作『DIGGER/ディガー』(原題:DIGGER)が10月9日(金)より日本公開される。この度、先日開催された、予告映像のローンチイベントにおけるトム・クルーズが本作についてたっぷりと語ったQ&Aの模様が到着。映画愛や映画に対する考え方も随所に垣間見える内容となっている。
画像: 「(『ハスラー2』の撮影を振り返り)あの光景を間近で見て、ただ吸収できたことが、どれほど恵まれた経験だったかを改めて実感しています」—―映画作りという技術と芸術について

「映画作りでは、あらゆる道具を理解しなければなりません。ひとつのやり方がすべてに通じるわけではありません」—―ディガー・ロックウェルというキャラクターを生み出すことについて

トム「肉体的にも、そして比喩的な意味でも、崖っぷちに立ち、『さあ、やろう』と覚悟を決めることほど刺激的なことはありません。『あなたを信頼している。そして、これから何をやるにしても、とてつもない経験になると分かっている。だから力を合わせて、一緒にやろう。みんなでやろう』。そんな気持ちで挑むのです。これほどまでに自分自身を試される作品に出会ったことは、私には一度もありませんでした。アレハンドロにとっても同じだったと思います。そして、この映画をご覧になれば、それが完全に独創的な作品であることがお分かりいただけるはずです。

 監督はフレームを決め、レンズを選び、照明を作り上げます。私は、その作業を見るのが何より好きです。アレハンドロは私に、『こんなふうに見せたい』と言いました。『こういうキャラクターなんだ』と説明するのではなく、まず完成形のイメージを見せてくれたのです。私は心の中で、『この人、本当に度胸があるな』と思いました。同時に、『早くやりたい。さあ始めよう』と興奮を感じました。

 キャラクターを作るとき、私たちは、ユーモアやドラマ、人間性の枠組みなど、さまざまな要素を探っていきます。『トロピック・サンダー』のレス・グロスマンであれ、『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』であれ、『コラテラル』であれ、『卒業白書』であれ、私は『この人物を、どうやって観客に伝えるのか』と自分自身に問いかけました。そのための身体表現であり、メイクなのです。そうしたものは、役柄をどう表現すべきかを探っていく過程で少しずつ見つかっていきます。

 映画作りでは、あらゆる道具を理解しなければなりません。ひとつのやり方がすべてに通じるわけではありません。どんな表現方法が最適なのか。どのレンズを使うのか。メイクの色味はどうするのか。この作品のような映画では、その細部へのこだわりは本当に尋常ではありません。カウボーイブーツの色はどうするのか。ショートパンツはどんなものなのか。セットはどう作るのか。セットの色彩はどうあるべきなのか。(この映画では)そのすべてが、あらゆるレベルで本当に素晴らしいのです。アレハンドロという人の美意識の高さが、細部のひとつひとつに表れています。本当に特別なセンスの持ち主だと思います」

「映画作りは、みんなで力を合わせて作り上げるもの。本当に特別な仕事だと思います」——劇場で映画を体験することについて

トム「何よりもまず、私自身がひとりの観客です。私は映画が大好きです。どんなジャンルの映画も好きですし、公開初週の週末に劇場へ足を運び、たくさんの観客と緒に作品を観ることが好き。

 私は、観客に映画の世界へどっぷりと入り込んでほしいと思っています。だからこそ、その物語を伝えるために必要なことであれば、何でもやります。それは、ひとりの力では実現できません。映画作りは、みんなで力を合わせて作り上げるもの。本当に特別な仕事だと思います」

「その手作りの質感を生み出すために開発されたレンズには驚かされました」—―ビスタビジョンについて

トム「ビスタビジョンで撮影するというのは、単にそのカメラを使うということではありません。今回私たちは、その撮影システムに合わせて手作業でレンズを開発することができたのです。ビスタビジョンそのものにも興奮しましたが、それ以上に、その手作りの質感を生み出すために開発されたレンズには驚かされました。映像を見れば、その違いがはっきりわかりますし、実際にその質感を感じ取ることができます。

 ビスタビジョンのカメラにフィルムを装填するだけでも特別な体験でした。フィルムがカメラの中を走る音を聞きながら、私は思わず。『みんな、ちょっと静かにして。この音を聞こう』と言いました。本当に美しい音です。素敵です」

「私と同じやり方をする必要はありません。あなたのやり方でやればいいのです」——最後に思うこと

トム「人生のとらえ方は、人それぞれ違います。誰もが自分自身の経験を持ち、それぞれの人生を歩んでいます。学びは、一生続く旅です。『もう到達した』と思ったことは、一度もありません。

 そんな瞬間は決して訪れません。いつも次の夢があり、この芸術を愛する気持ちがあり、その情熱が自分のすべてを包み込んでいます。私は子どもの頃から世界のあちこちを訪れ、さまざまな国で観客と一緒に映画を観てきました。そしていつも、『この人たちも、自分と同じように感じるのか』と好奇心を感じてきました。私はさまざまな土地で育ちました。だからこそ、『彼らも私と同じように感じるのだろうか』と考え続けています。それこそが映画という芸術の素晴らしさです。

 人にはそれぞれ好きなものがあり、それぞれの好みがあり、心に響くものもあれば、そうでないものもあります。私はいつも『技術を身につけて。そして、自分自身の物語を語って』と言います。私と同じやり方をする必要はありません。あなたのやり方でやればいいのです」

『DIGGER/ディガー』
2026年10月9日公開
配給:東和ピクチャーズ・東宝
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