伊藤沙莉 プロフィール
1994年5月4日生まれ、千葉県出身。2003年にデビュー。シリアスからコメディまで演じ分ける卓越したセンスと演技力、ハスキーボイスを武器に唯一無二の存在感を放つ。2024年にはNHK連続テレビ小説「虎に翼」でヒロイン・寅子を熱演。ドラマやCM出演のほか、映画『ちょっと思い出しただけ』や『探偵マリコの生涯で一番悲惨な日』など数々の話題作で主演を務め、国内外の映画賞も多数受賞している。ナレーターや声優、エッセイ執筆など表現者としてマルチな才能を発揮する一方、親しみやすいキャラクターでも広く愛される、日本屈指の実力派アクター。
自分がやらせていただいたキャラクターっていうのは、特別な想いになります。自分自身というよりも、まさに分身みたいな気持ちだと思います。
──今作のオファーのお話を聞いた時の事や、出演が決まった時のお気持ちをお聞かせください。
「いつもうちのマネージャーさんは『こういうお話が来てますけど、やりますか?』という聞き方をしてくださるんですよ。なので『やらないって言うと思ってんの?』って返しました(笑)。念願というか、ずっと夢に見ていたことでしたし、何より、兄に先を越されたのが本当に悔しくて。やっとだ!という気持ちでした。でも同時にクレヨンしんちゃんがあまりにも自分の一部のような作品なので…。しんちゃんで育ちすぎて、その世界に入ることが光栄かつすごく恐れ多いなっていうのがあって、緊張しました」
──皆に愛されるクレヨンしんちゃんという作品の魅力は何だと思いますか。
「凄くかっこいい瞬間がいっぱいあるじゃないですか。だけどふと『この子5歳なんだよな』とか思うんですよね。そうするともう一気に涙が止まらなくなったりして。でもその5歳の子から与えられる勇気や陽気さだったり、面白おかしく乗り越えていく感じとか。家族の絆もそうですけど、人間に必要な大切で温かいものが凄く凝縮された作品だと思っているので。特に劇場版はそれが強く出てると思うし、普段のアニメでは日常からホラー回までいろんなものを見せてくれるんで、飽きが来ないなと。大人でも爆笑できる、泣いたり笑ったりさせてくれる作品っていうのは、すごく大きいのかなと思います」
──妖怪やこちゃんの声を演じるに向けて、役作りやリサーチなどはされましたか。演じる上で意識した部分などがあれば教えてください。
「言っても妖怪なので、普段の役作りとはまた別のベクトルというか。私はたまに声のお仕事をやらせていただくことがあるんですけど、でもやっぱりプロじゃないので、自分でキャラクターを構築していくことが、どうしても自信を持ってはできない。声のお仕事の時はなるべく固めず、現場に行くことが多いです。見た目が可愛いのに500歳ということで、どっちに寄せたらいいのかわからないというのもありました。もちろん可愛い声が出ないので、そっちだったらどうしようかなというのはあったんですけど(笑)。監督やスタッフさんのような、しんちゃんをずっと作ってきた方たちにとってこれだというものがあるならば、そこを忠実にやりたいなと思っていました。何かを用意していくっていうよりは、そこに瞬時に応えられるように、準備ははちみつを舐めてたくらいですね」

──500歳と可愛いどっちに寄せるのか、それについては何かお話しされましたか。
「私が聞く前から、どっちかに寄せようとしなくていいですよと言ってくださって。その、どっちもが垣間見える感じがいいと。ちょっとほどけてる時とか、あるいはキュッと締めてる時とか、そういうものが入り交じった感じの声が良かったから、私にお話を持って行ったと言ってくださったので、そこはちょっとほぐれました」
──やこちゃんのオファーが来た理由が聞けたんですね…!
「そうですね。あと言葉の力をフル活用した私の逆オファー。ずっと叫び続けた願いが届いてたというか。やりたいって言ってくださってましたよねと言われたので、きっとどこかでしんちゃん関連の方々の脳裏には居させていただけてたのかなと思ってます。だけどやっぱり、やこのキャラクター性だったり、そういう複雑なキャラクター像っていうものとの、私の声とのマッチみたいなものをすごく強く感じてくださったんだなっていうのは思いました」
──やこちゃんの好きなところはどこですか?うちの子自慢を是非!
「すごくいじらしい子だなと思っていて。きっと本当はすごく人間に興味がある子だけど、あることをきっかけに…っていう。案外誰よりも閉ざす扉が全然ないところが、意外としんちゃんと似てるのかなって思ってて。あることをきっかけに結局自分の扉も閉ざしちゃうんですけど、元々の彼女はすごく天真爛漫というか好奇心旺盛で、子供な部分が垣間見える瞬間が結構あるなと思ってて。野球の時とかもそうですけど。普段クールな分、そういうところがとてもいじらしく愛らしく見えるなっていう。私もすごくやこちゃん好きなんです」
──やこちゃんは伊藤さんにとってどういう存在ですか?
「やっぱり自分がやらせていただいたキャラクターっていうのは、特別な想いにはなりますね。自分自身というよりも、まさに分身みたいな気持ちだと思います」
──一押しの場面、絶対見てほしいポイントなどはありますか。
「私はこれを見てからずっとじわってたんですけど。『おしりだま』を抜かれると妖怪になっちゃうってシーンがあるんですけど、抜かれる時ハリセンでパーンっておしりを叩かれて、その瞬間みんななんか…気持ちよさそうなのがおもろくて(笑)。叩かれる瞬間の顔をちょっと待ってる自分がいて。人間たちの叩かれ顔にも注目して見てほしいなと思いました。みんな恍惚とした顔をしてるのが、地味にじわじわ面白くて。最後は結構爆笑してました」
※全文はSCREEN2026年9月号に掲載
『映画クレヨンしんちゃん 奇々怪々!オラの妖怪バケ~ション』

日本各地で相次ぐ怪奇現象が世間を賑わせる、ある夏の日。野原一家はひろしの実家がある秋田県へ久々に帰省することに。祖父・銀の介の家で穏やかに過ごしていた翌朝、目覚めると部屋中に謎のチラシがばら撒かれていた…!「チョコビも食べ放題!」の文字に釣られた一家は山奥の【おばけーしょん村】へ向かうが、気づけば人間が足を踏み入れてはならない“妖怪の国”へと迷い込んでしまう。そこで出会ったのは、物語の鍵を握る妖怪の女の子「やこ」(声・伊藤沙莉)。元の世界に帰るため、一家はやこたち妖怪と行動を共にすることに。笑いあり、涙あり、アクションあり!野原一家×妖怪たちが繰り広げる、この夏一番の奇々怪々な大冒険が始まる!!

やこ(声・伊藤沙莉)
人間の姿に化けることができる九尾の狐の妖怪。見た目は子供だが500歳のお姉さん妖怪で、他の妖怪の面倒を見ることもしばしば。妖怪の国と人間界をつなぐ扉が閉ざされる以前は、人間界で子どもたちと交流していたようだが...。
『映画クレヨンしんちゃん 奇々怪々!オラの妖怪バケ~ション』
2026年7月31日(金)公開
日本/2026/配給: 東宝
監督:渡辺正樹 脚本:中村能子
声の出演:小林由美子、ならはしみき、森川智之、こおろぎさとみ/ ゲスト声優:伊藤沙莉、マユリカ
©臼井儀人/双葉社・シンエイ・テレビ朝日・ADK 2026

