『ヘンリー』『エヴィレンコ』『アングスト/不安』…この3作品の共通点は、実際の事件に基づいて作られたということ。いずれも映画史に残る、冷たく暗い作品だ。これら問題作が、8月28日の『ヘンリー』を皮切りに立て続けに公開される。あまりにも衝撃が強いため、本特集はこの非情な3人の男たちの振る舞いを受け入れる覚悟を決めた方のみ、読むことをおすすめしたい。(文・相馬学/デジタル編集・スクリーン編集部)

すでに日本に上陸していた…! 非情な男たちによる非情ムービー6選

天才作家は獄中の殺人犯に、本当に“冷血”を見たのか!?/『カポーティ』(2005)

画像: 『カポーティ』 ©2006 Sony Pictures Entertainment Inc. ©2006 United Artists Films Inc.

『カポーティ』
©2006 Sony Pictures Entertainment Inc. ©2006 United Artists Films Inc.

作家トルーマン・カポーティが、1959年にカンザスで起きた一家惨殺事件を取材して書き上げた傑作「冷血」。これを執筆する上で、彼は獄中の殺人犯ふたりに取材を敢行していたが、その過程をドラマ化したのが本作。取材を重ねるうちに、彼らに友情にも似た感情を抱くカポーティ。しかし彼らの関係は創作の進行や死刑執行の期日の変更によって揺さぶられる。カポーティ役のフィリップ・シーモア・ホフマンはアカデミー主演男優賞を受賞。

イケメンで社交的、しかし裏の顔は性欲過多のシリアルキラー/『テッド・バンディ』(2019)

画像: 『テッド・バンディ』

『テッド・バンディ』

1970年代のアメリカで多数の女性を誘拐・強姦・殺害したテッド・バンディ。ハンサムで礼儀正しく、社交にも長けていた、そんな彼の逮捕後の裁判の行方を、殺人犯とは知らずに彼と恋に落ちたシングルマザーの視点から描く。人好きのするバンディを誰ひとり殺人犯と疑うことはなかったが、陰では邪悪な欲望をたぎらせていた。そんな二面性を体現したのがザック・エフロン。イケメン俳優として人気を博してきた彼にとって、本作は演技派への転機となった。

画像4: 閲覧注意!世界を激震させた非情すぎる男たちが、次々と日本上陸!

『テッド・バンディ』

デジタル配信中
Blu-ray:¥5,280 (税込)
DVD:¥4,180 (税込)
発売元・販売元:ポニーキャニオン
©2018 Wicked Nevada, LLC

家庭の、周囲の圧力、そこから来る孤立が無差別殺人犯を生んだ!/『ニトラム/NITRAM』(2021)

画像: 『ニトラム/NITRAM』

『ニトラム/NITRAM』

1996年にオーストラリアで起きた無差別殺人事件を題材に取り、犯人マーティン・ブライアントの生い立ちをたどる。“ニトラム”とはマーティン(MARTIN)の逆さ読みで、主人公の蔑称。いたずら心を持ち、厳格な母に叱られ続けている青年ニトラム。初めての恋、富豪の老女との交流を経て、周囲の無理解に気づき、孤立を深める彼が最終的にとった手段は大虐殺だった! 主演のケイレブ・ランドリー・ジョーンズはこの怪演でカンヌ国際映画祭男優賞に輝いた。

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『ニトラム/NITRAM』

Blu-ray&DVD発売中
Blu-ray:¥4,800 (税抜)
DVD:¥3,900 (税抜)
発売元:セテラ・インターナショナル
販売元:ハピネット・メディアマーケティング
©2021 Good Thing Productions Company Pty Ltd, Filmfest Limited

憂鬱な空気が垂れ込める共産主義下の殺人鬼が、ここにもいた!/『ハンガリー連続殺人鬼』(2016)

画像: 『ハンガリー連続殺人鬼』

『ハンガリー連続殺人鬼』

1950~60年代にかけてハンガリーで連続殺人事件を起こしたペーテル・コヴァーチにまつわる物語。死体性愛者であるこのシリアルキラーは警察の目をかわしながら犯行を積み重ね、その間には別の人間が逮捕される。冤罪が証明されたものの、釈放されても居場所がない。それはコヴァーチが犯した連続殺人と相まって世の不条理にも思え、さらには社会主義体制下に置かれていた当時のハンガリーの閉塞感にもつながっていく。

『ハンガリー連続殺人鬼』

キングレコードよりブルーレイ&DVD発売中
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マインドコントロールが女性カルト信者たちを殺しに走らせる!/『チャーリー・セズ/マンソンの女たち』(2018)

画像: 『チャーリー・セズ/マンソンの女たち』

『チャーリー・セズ/マンソンの女たち』

1960~70年代にカルトなコミュニティを築き、教祖として信者たちに殺人を指示した米国の犯罪者チャールズ・マンソンと、彼に従った女性信者3人の物語。逮捕されたとき3人はマンソンによって完全に洗脳されていたが、少しずつ洗脳が解けていき、罪の意識を感じるようになる。ひとりの扇動者と、それに踊らされる人々の関係は、現代のSNS社会にも通じており、興味深い。マンソンに扮したのは「ドクター・フー」でおなじみのマット・スミス。

『チャーリー・セズ/マンソンの女たち』

キングレコードよりブルーレイ発売中
© 2018 SQUEAKY FILMS, LLC

殺人犯をあぶり出すために製作された、空前絶後のカルト作/『サンフランシスコ連続殺人鬼』(1969)

画像: 殺人犯をあぶり出すために製作された、空前絶後のカルト作/『サンフランシスコ連続殺人鬼』(1969)

1960~70年代にサンフランシスコを震撼させた正体不明の殺人鬼、通称ゾディアックキラー。この事件が起きていた時期、真犯人を割り出す目的で本作は製作された。製作時点までのゾディアックによる惨殺事件を再現。注意喚起とともに緊急公開するも、あいにく捜査の進展に影響を与えることはなかった。が、現代ではカルト映画として評価されている。ちなみにゾディアックキラーは『ダーティハリー』や『ゾディアック』といった傑作の発想の源でもある。

『サンフランシスコ連続殺人鬼』

キングレコードよりブルーレイ&DVD発売中
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