*ネタバレにご注意ください。一部、劇中の展開に触れる部分があります。
最新作にもきっちりと受け継がれた“遊び心”たち
織田裕二がとにかくよく言っていたのは、「踊る〜」の撮影は楽しい! ということ。コメディを作っているという意識がそうさせるのか、本広克行監督の現場の持ち味なのか。プロが集まって作っているのに、現場は常にモノ作りの楽しさに溢れており、いわば文化祭のような純粋に面白いものを作りたいという活気を生み出しているのである。その楽しさがスタッフやキャストのテンションをあげることに繋がり、それが「リンク」を生み出している。

青島俊作(織田裕二)
「リンク」というのは、設定によって生まれたものがどの作品にも出現するということで、他作品で言うならピクサーのアニメーションによく登場するピザ・プラネットの車(もとは「トイ・ストーリー」で登場)などが相当する。「踊る〜」でこよなく愛されているリンクは、なんといってもカエル急便だ。連ドラの第2話で爆弾が仕掛けられた椅子を運んできたのが初登場で、そのあとはだいたい事件に関与するものを運搬していたり、映画の第1作では和久を助けに行こうとする青島の行く手を阻んだりした。別名【不幸を運ぶ宅急便】とも言われたが、『〜メトロポリスを駆け抜けろ!』では、なんと犯人を乗せた車として登場。今までの世界観をキチンと紡いでいる。

『踊る大捜査線 N.E.W. メトロポリスを駆け抜けろ!』でのカエル急便の車
もうひとつリンクネタとしておなじみなのが、青島やすみれらが旧シリーズでよく食べていたカップ麺。キムチラーメンやわさびラーメンなどこれまでにもオリジナルの様々な麺が作られ、時には本当に食べられるカップ麺【ザ・湾岸ラーメン】が明星からリアルに発売されたこともあった。これももともとはといえば暴走とも茶化された、美術部の“遊び”感覚が生み出した結果。もちろん『〜メトロポリスを駆け抜けろ!』でも新カップ麺が登場。何味かは観てのお楽しみだ。
また映画第2作から登場した湾岸署のキャラクター【湾岸君】は、『〜メトロポリスを駆け抜けろ!』で、爆弾が仕掛けられた状態で王さん(滝藤賢一)が手にするシーンで使われている。ちなみに【湾岸君】をデザインしたのは岡崎能士で、短編アニメシリーズの「スター・ウォーズ:ビジョンズ」Vol.3などに参加し第78回エミー賞のアニメーション個人部門審査員賞を受賞したことでも話題になった方。そういう目で再び見直すと味わい深い。

本作では王明才(滝藤賢一)が爆弾に仕掛けられた湾岸君を手にする
ちなみにもともと「踊る〜」は青島と和久の関係性を作る際に映画『セブン』がモチーフになっているが、今回はその原点に立ち戻るかのような劇中アニメのキャラとして【セブンベア】が登場。こちらをデザインしたのは、本広克行が総監督を務める「PSYCHO-PASS サイコパス 2」のキャラクターデザイン・総作画監督を務めた浅野恭司だ。
また「踊る〜」は役者たちが放ったアドリブなどを、物語にうまく取り込んでいる。例えば警察を退職したあと魚住(佐戸井けん太)は警察関係をネタにした動画配信者になった設定で最新作に登場するが、そこにはフィンランドでサウナ室にいると言われる妖精トントゥのぬいぐるみが映り込んでいる。これは撮影時での佐戸井のアドリブで魚住にフィンランド人の奥さんがいる設定になったことを受けてのリンクだ。

魚住二郎(佐戸井けん太)のデスクにはトントゥ人形(机前方)が置かれている
この手のアドリブ遊びは他にもたくさんあり、最新作でスリーアミーゴスがダルマ陶芸の会員になっているというのも、湾岸署の刑事たちが通っていた設定になっていた居酒屋だるま(アドリブを最初に放ったのはいかりや長介)からの引用だ。 このようなリンクネタが『〜メトロポリスを駆け抜けろ!』にはまだまだたくさん詰まっている。もう一度、連ドラから見直し、リンクを気にしつつ最新作を観るのもオツな楽しみ方だ。
『踊る大捜査線N.E.W.メトロポリスを駆け抜けろ!』
2026年9月18日(金)公開
配給:東宝
©2026フジテレビジョンBSフジビー・エー・シー


