「自分で監督したかったんだけど、また20年も待たせてしまうからね(笑)」
そもそも「アリータ:バトル・エンジェル」はキャメロン監督が自分で監督しようと思っていた作品。
「同じ時期に『アバター』と『アリータ』の企画を並行して進めていたんだ。最初はどっちを先にするか決めてなかった。でも、『アバター』のための技術的なテストをいろいろやっていて『アバター』を先に進めることになって『アリータ』はその後でやることになった。ところが『アバター』が大ヒットして、その続編を作ることになり、もっと後回しになってしまった。
ちょうどその頃、ロドリゲス監督からこの作品がどうなっているのか聞かれたから、"君が監督をやってみるかい?"と言って、まだ未完成だった長い脚本を渡したんだ。そしたら彼が"脚本を読んだら全てのシーンが見えた"と言ってくれてね。本当は自分で監督したかったんだけど、彼の熱意に感動して、監督を任せることにしたんだ。そうしないと、観客をさらに20年も待たせてしまうことになるしね(笑)」
映画を見ると、主人公アリータの目が大きいのが印象的だが、これはキャメロンが自分が監督しようと思っていた頃からのコンセプトだった。
「ヒロインのデザインは、木城ゆきと先生の原作コミック『銃夢』の画を意識したものなんだ。大きな目、ハート形の顔、そして口はとても小さいのは、原作と同じだ。
そもそも僕の最初のコンセプトは、本当にリアルなCG製の女の子が主人公の映画を作ることだった。彼女はサイボーグだから、人間とは少し違う表現になっているという形でね。ところが製作準備をしているうちにCGの技術が進んで、皮肉なことに今では人間そっくりのCG製の女の子が描けるようになった。だから、アリータが人間とは違う存在だということを伝えるために、人間とは少し違う形にしたほうがいいと思ったんだ。
ただ、1年前に公開したフッテージはまだ未完成でちょっと目が大きすぎたから、より人間らしく見えるように調整したよ。完成した映画ではアリータの目がリアルに表現されているから、逆に、他の人物たちの目が小さすぎると感じるんじゃないかな(笑)」
ところで、本作の原作も日本のコミックだが、キャメロン監督は以前から日本のコミックやアニメが大好きで、押井守や大友克洋のファン。今ではそれが彼だけの好みではなく、家族全員の好みだそう。
「僕の真ん中の娘はアニメーター志望でその勉強をしてるし、一番下の子は12歳なんだけど、日本のマンガのキャラクターのラクガキを描いてるよ。キャメロン家では、日本のカルチャーはもうファミリー・カルチャーになっているんだ」
「アリータ:バトル・エンジェル」は2019年2月22日公開。画面から、キャメロン監督の日本文化への愛も伝わってきそうだ。
アリータ:バトル・エンジェル
2019年2月22日(金)より全国ロードショー
配給:20 世紀フォックス映画
© 2018 Twentieth Century Fox Film Corporation