01: カトリーヌ・ドヌーヴ
いまなお仏映画界を代表する大女優
「シェルブールの雨傘」(1964)で羽ばたき、「昼顔」(1967)では人間の闇を好演してイメージを一新。公私両面で親しかったサンローランとは、オードリー&ジバンシィに匹敵する蜜月関係を続けた。フランスのみならず、世界各国の監督たちとコラボしながら、女優として成長し続けるそのリスクを恐れぬ姿勢は、まさに無敵。是枝裕和監督との最新作「カトリーヌの真実(仮題)」の完成が待ち遠しい。
02: ブリジット・バルドー
世紀のセックスシンボルとして語り継がれる
「素敵な悪女」(1956)から始まる一連の男たちを翻弄する役柄で、世紀のセックスシンボルに。名前の頭文字を取った"BB(ベベ)"という愛称で親しまれたフランス映画界のミューズは、独特の濃くアイラインを引いたアイメイクやヘアバンドで今もファッションアイコンとして愛され続ける。その存在の大きさはC・ドヌーヴをして「誰もBBに取って代わることなどできない」と言わしめた程。
03: アンナ・カリーナ
仏映画界きってのファッショニスタ
BBほど濃くはないが上下に引いたアイラインとボーダー柄のTシャツ、それにカラーストッキング等、次々とトレンドを発信したフランス映画界きってのファッショニスタ。後に夫となるジャン・リュック・ゴダールの監督作「女は女である」(1961)や「女と男のいる舗道」(1962)で"ヌーベルバーグ"を代表する女優としてキャリアを積んだ。芸名のアンナ・カリーナはココ・シャネルが名付けたもの。
04: アンヌ・ヴィアゼムスキー
才人ゴダール監督の可憐なるミューズ
ジャン・リュック・ゴダールの2人目の妻。ゴダールと出会った当時の彼女がいかに若く可憐だったかは、ミシェル・アザナヴィシウス監督の実録ドラマ「グッバイ・ゴダール!」(17)に詳しいが、ゴダール監督の「中国女」「ウイークエンド」(1967)、ピエル・パオロ・パゾリーニの「テオレマ」(1968)等、1960年代のアートシネマの顔だった彼女。ロシア人らしい透き通った皮膚感が魅力だった。
05: イザベル・アジャニー
ハリウッドも魅了した美しき演技派
5度のセザール賞受賞はフランス映画史上最多。「アデルの恋の物語」(1975)ではアカデミー主演女優賞候補にもなった。少女みたいなルックスとエキセントリックな演技はハリウッドをも魅了し、ウォーレン・ビーティは「イシュタール」(1987)に招き入れたが、マイケル・ダグラスから届いた「氷の微笑」への出演依頼は「意味を感じない」と拒絶。女優として信念を曲げない姿勢はあっぱれ。
06: ドミニク・サンダ
日本のCMにも出演したクールビューティー
ファッション誌"ヴォーグ"等でモデルとして活躍後、ロベール・ブレッソン監督との出会いを機に女優業へ。ベルナルド・ベルトルッチの「暗殺の森」(1970)や「1900年」(1976)、ヴィットリオ・デ・シーカの「悲しみの青春」(1971)等で人気沸騰。本誌人気投票では1972年に2位、翌年は4位と高い人気を得た。1978年には石岡瑛子がアートディレクションを担当したパルコのCMに登場して話題になった。
07: ファニー・アルダン
晩年の巨匠トリュフォーに愛された名女優
代表作は公私共に親交が深かったフランソワ・トリュフォー監督の「隣の女」(1981)だろうか。そこで演じた命と引き換えに愛を貫く強い女性のイメージは、フランス人女性としては珍しい深い彫刻のようなルックスとも相まって、映画ファンの記憶に強く刻みつけられた。母国語以外に英語、イタリア語、スペイン語を操り、往年の名画をハリウッドがリメイクした「サブリナ」(1995)にも出演。
09: イザベル・ユペール
映画界のボーダレスを体現する最強女優
「いい脚本があれば自然に役が降りてくる」と言い放ち、「ピアニスト」(2001)では感情が麻痺したピアノ教師を、「エル ELLE」(2016)では自分を犯したレイプ犯を自ら捜索するキャリアガールを、事も無げに演じてしまう。興味ある監督からの依頼があれば簡単に国境を越えていく。まさに映画界のボーダレスを体現している現フランス映画界最強の"演技戦士"、その名はイザベル・ユペールなのだ!!