「マンマ・ミーア!ヒア・ウィー・ゴー」
ロングランヒットした舞台を映画化し、当時ミュージカル映画史上世界興収1位の大ヒットを記録した「マンマ・ミーア!」の10年ぶりの続編。前作で結婚式を挙げたソフィ(アマンダ・サイフリッド)が母親になるまでの物語と、その母親ドナ(メリル・ストリープ)の青春時代の物語が“ABBA”の珠玉の名曲にのせて描かれる。前作のオリジナル・キャストが再結集し、若き日のドナ役を「シンデレラ」のリリー・ジェームズが演じる。
監督/オル・パーカー
出演/アマンダ・サイフリッド、メリル・ストリープ、コリン・ファース
編集部レビュー
ハッピーな映画はそれだけで見る意味がある
アバ史上一番好きな“Waterloo”がようやく聞けて超ゴキゲンでした。前回は使われなかったからね。逆に、前回使われた曲はもう流れないの?と心配していたら、よかった~、アバ史上二番目に好きな“Dancing Queen”もちゃんと流れてくれました。しかも最高に盛り上がるシーンでノリノリに!
還暦あたりのおじさんたちが、“Dancing Queen~”と楽しそうに歌って踊っているのを見ながら、ハッピーを届けてくれる映画って、それだけで見る意味があるんじゃないかとしみじみ思いました。さあ踊ろうよ! な演出も楽しかったけれど、今作のハッピーの伝道者は間違いなくリリー・ジェームズ。歌も上手いし何より笑顔が最高。女の子の笑顔は世界を平和にする、というのを実証してくれています。そしてアバ!やっぱいいなあ~と“When I Kissed the Teacher”を聞き返している毎日。
レビュワー:近藤邦彦
編集長。LiLiCoさんとはディスコ仲間。二人ともアバ大好き。今月もクラブチッタへDJ OSSHYのディスコイベントに行く気満々(笑)。
続編の作りとして完璧ではないだろうか
正直に言うと前作はそれほど深く印象に残らず、波に乗り損ねたような寂しい気持ちを味わった。でも同じような思いをした人も、本作を見逃すのは勿体ない。「マンマ・ミーア!」の真髄は、この続編でこそ深く味わえるからだ。
大きいのは、身近な愛の尊さというテーマが前作以上に色濃くなったこと。恋人の愛、友人の愛、そして偉大なる親の愛。それらがABBAの歌詞や楽曲と絶妙に絡み合い、多幸感をもって胸に迫ってくる。これは「ラブ・アクチュアリー」の監督が原案を手がけたことも関係しているだろう。
特に登場人物たちの愛が爆発する“Dancing Queen”と“My Love, My Life”のミュージカルシーンには、震えるほどの高揚と感動を覚えた。前作の記憶も、10年の歳月もすべてがそこに集約されていく。続編の作りとして、これは完璧ではないだろうか。
レビュワー:疋田周平
副編集長。リリー・ジェームズがとにかく魅力的な作品ですが、“可愛さ”という点で負けてないのがコリン・ファース。ファン必見!
ハリウッドからのプレゼントのような映画
10年前の「マンマ・ミーア!」で、はっちゃけメリルとキュートすぎるアマンダのハッピーなミュージカルに大興奮したのを思い出しました。今回もそれを上回るワクワクする作品になっています!
大人の事情やしがらみが多いであろう(?)ハリウッド映画界で、10年を経てオリジナルメンバーが勢ぞろいすることにまず感動! それぞれの俳優さんの10年間も頭をよぎったりして感慨深いものがありました。いまやオスカー俳優となったコリンが、前作と変わらずおちゃめな姿を見せてくれているのがなんとも嬉しかった! お楽しみシーンもバッチリあるのでファンは絶対見逃せませんよ!
新メンバーも加わり、ハズさないおなじみの名曲に、よりパワーアップしたミュージカルシーンがついて、まるでハリウッドからのプレゼントのような嬉しい気持ちにさせてくれる一作でした。
レビュワー:阿部知佐子
元恋人だったアマンダとドミニク・クーパーが、今回も変わらず夫婦役を演じてくれているのも嬉しい。きっといい友人関係なんでしょうね!
とにかくスカッと! 真夏のミュージカル!
この作品の一番のオススメポイントはリリー・ジェームズはじめキャストたちのミュージカルシーンがめちゃくちゃ楽しい(そしてかわいい)点です。「グレイテスト・ショーマン」のようにガチガチのパフォーマンスも見応えがあって最高ですが、本作は良い感じにくだけていて、例えばライブ・カフェとかでみんなでワイワイ楽しむような親しみやすい雰囲気。見ていて一緒に歌いたくなる、スカッと爽快感が残る、そんな作品です。
ストーリーはあくまで平凡なので、そこに物足りなさを感じる方もいるのかもしれませんが、私はあまり気になりませんでした。だって、とにかく見ていて楽しいんだもん!これ、オールスタンディングの上映会とかあったらすごい行きたいな〜、と思いました。
ちなみに、前作を見ていなくても大丈夫。見てないからと躊躇うのはもったいないですよ〜!
レビュワー:中久喜涼子
ちょいちょい出てくるコミカルでかわいいコリン・ファースも最高でした。S・スカーシュゴードとの船のあの場面、一瞬ですが必見です!
やっぱりミュージカルは楽しくなくっちゃ!
大ヒット・ミュージカルの10年ぶりとなる続編だが、これだけのスターが前作から続投する作品も珍しいのではないだろうか。特にメリル・ストリープなど、これだけのために出たのかと思えるような出演で、贅沢さが感じられる。
とにかくミュージカルは楽しいのがいいと思っているので、今作のように開巻からノリノリでいってくれると観る方もテンションが上がる。歌われる楽曲がABBAのものなのも楽しさを倍増させる。
惜しむらくはリリー・ジェームズが、メリルの若き日というにはちょっとアクがなさすぎる感じがすること。彼女なりに頑張っているとは思うのだけれど……
総じて軽く、ホンワカした仕上がりで、観ていて楽しめるのは何より。鑑賞後にもつい劇中の曲を口ずさみそうになってしまう。これはミュージカルとして最大級の誉め言葉だろう。
レビュワー:松坂克己
「輝ける人生」の好演ぶりが記憶に新しいセリア・イムリーが、ドナの大学の学長役で歌い踊っていたのが個人的にプラス・ポイント。
一番の見せ場を持っていくのはシェール!
最初の内はなかなか作品の波に乗れなかったのだけど、パーティーになだれ込むあたりからようやく波長が合ってきた(遅すぎ?)。
何といっても本作の白眉はシェール! とてもおばあ様役とは思えない、そのパワフルさ、ゴージャスさ、有無を言わせぬホンモノ感! よって一番の見せ場は彼女とアンディ・ガルシアに持っていかれました(個人的感想)。そしてシェールとメリル・ストリープ共演といえば、共にオスカー候補になった「シルクウッド」(1983)をつい思い出してしまい、懐かしい気分に。あの時友人(恋人?)役だったのに、今度は母娘なんですネ。本当は齢も三歳差だしこのキャスティングはびっくり。
でもミーハー丸出しで気楽に楽しめるミュージカルとしては、前作同様に上出来なのでは。やっぱりABBA世代の身としては、カラオケ大会みたいで楽しいし。
レビュワー:米崎明宏
若き日のターニャを演じるジェシカ・キーナン・ウィンの名前が気になって調べたら、往年の名脇役キーナン・ウィンの孫だった。