毎月公開される新作映画は、洋画に限っても平均40本以上!限られた時間の中でどれを見ようか迷ってしまうことが多いかも。そんなときはぜひこのコーナーを参考に。スクリーン編集部が〝最高品質〞の映画を厳選し、今見るべき一本をオススメします。今月の映画は全米でホラー映画史を塗り替える社会現象的ヒットを記録した「クワイエット・プレイス」です。

作品あらすじはコチラから!

編集部レビュー

音を立てちゃいけない感覚、映画館で一緒に体験を

この映画、はじまりがよく出来ている。廃墟と化したスーパーマーケットであれこれを探す一家。カサコソという音だけの不気味な静寂。声もしない。彼らは手話で会話している。絶対に音を立てちゃダメだからね、と女が説明する。そうか、音を立てちゃダメなのか、と理解したとたん、咳が出そうになる僕。どうしよう……ありえないとはわかっていても、咳をしたら何かに襲われそう、なくらい沈黙の重さが試写室を支配している。

いい映画って、このヒリヒリ感が本当にたまらない。映画館の暗闇の中に浸りなさい、というのはそれ。一時停止ボタンでいつでも日常に戻れるという環境は、いい映画であればあるほど勿体ない。こうして現実にはありえない世界観を刷り込んでしまえば、あとはどうやって登場人物に“音を立てさせるか”、だけ。(>_<)なシーンも含めて存分に楽しませてもらった。

レビュワー:近藤邦彦
編集長。長女を演じた子がとんでもなく素晴らしい。聴覚障碍者だそうだがそれは措いても、どの俳優よりも存在感を放っていた。

この面白さ、誰かに話さずにいられない

あまりに多くの音にあふれた現代にあって“音を立てたら即死”という本作の設定は秀逸だ。主人公の一家は、ひたすら沈黙を守りながら死と隣り合わせの日常を生きている。人間が音を出さずに生きられるのか?この“掴み”から物語に引き込まれずにいられない。

でも本作の本当の面白さはそのアイディアの先にある。死をもたらす“何か”は当然怖い。でも人間の真の恐怖とは、大切な誰かを喪うことなのだ。その現実的な感情が核にあるからこそ、物語はホラーの枠を超え、深く感情を揺さぶる家族ドラマに昇華していく。

設定にはツッコミどころもあるし、最後にもうひとひねり欲しかったけれど、それは贅沢というものかもしれない。その粗削りさも含めて、誰かに話したくなる映画なのだ。“何か”については話せない。でもこの面白さに沈黙していることは誰もできないはずだ。

レビュワー:疋田周平
副編集長。子役のノア・ジュープは話題作が続く注目株。あのジョージ・クルーニーも『共演した中で最高の子役』と絶賛したそうです。

意外にも泣けるホラー…でもやっぱり怖い!!

“音を立てたら即死”という怖すぎるキャッチコピーで話題の本作。その真相は劇場で確かめてほしいのですが、実は家族愛にウルっとさせられるもう一つの側面も。

恐怖に直面したとき、家族の身に何かあったらという不安は、誰もが共感できるはず。その部分をかなり煽ってくる映画なんです。だから観客は、この家族にものすごく感情移入します。幼い子供を持つ親の苦労を、実生活でも夫婦&子育て中の二人が演じるから、それはもうリアルで怖さ倍増です。

でも、そんな中でも協力しながら普通の生活を送ろうとする彼らの姿は応援せずにはいられません。この状況下で出産!?という無謀な行動も、“敵”に屈しない決意と捉えれば、まぁ納得できるかも…。

ノア・ジュープ君演じるちょっと弱虫な長男が、父親に鍛えられ家族を守るべく成長していく姿が、愛らしくて思わず涙でした!

レビュワー:阿部知佐子
期待の子役ノア君は、この映画のメッセージは「希望」だと答えています。なんて素敵でクレバーな子なんでしょう。将来が楽しみです。

画像: 意外にも泣けるホラー…でもやっぱり怖い!!

長女のリーガンの名演に注目です

音を立てたら、即死。他の生存者とも出会わない、政府もいない。孤立無縁の世界で生きる家族。そんな状況の中で主人公エヴリンは臨月を迎えている…。それだけでも興味がそそられ、是非とも見たい!と思う作品でした(そんな世の中なのに何で避妊しなかったんだ!?というツッコミはさておき)。

秀逸だったのは長女のリーガンという存在。耳が不自由な彼女はこの世界で生き残れるのか、見る側に不安と見守る気持ちを与え、物語の世界に一気に引き込まれました。複雑な思いを胸に秘めながらも懸命に家族を想う彼女の存在が、物語により深みをもたらし、面白くしてくれています(もちろんハラハラドキドキも倍増)。

頼れるのは自分たちのサバイバル能力のみ。ホラーという要素に家族の物語もミックスされ、テンポの良い良質のエンターテインメント作品に仕上がっていました。

レビュワー:中久喜涼子
ジョン・クラシンスキー監督。お顔が印象に残りにくい俳優さんでしたが、地に足が着いている感が素敵。今後も監督作に期待したいです。

ストーリーテラーのような登場人物の瞳に注目

“目は口ほどにものを言う”とはよく言ったもので、言葉が意味を持たない環境下では瞳が何よりも雄弁であることに気づかされた。

登場人物はほぼ4人(+何か)、行動範囲は彼らが暮らす納屋とその周辺、そして何より“音を立ててはいけない”という不条理なルール。多くの映画にとって不利になりそうな条件が、この作品ではとんでもなく好条件だ。音出しNGとはいってもサイレント映画とはまた違う。言葉が使われないからこそ、彼らの一挙手一投足を見逃すまいと呼吸を忘れて集中できたし、言語以外の音の豊かさも感じた(息をひそめる音さえも聞こえた気がする!)。

ところで、作中には音を立てずに暮らすアイデアがちりばめられており、集合住宅に暮らす身としては試してみたいものもチラホラ。まあ、家中の動線に砂を敷くのは難しいけれども……。

レビュワー:鈴木涼子
長男役ノア・ジュープ君の怯えきった顔と八の字眉が忘れられません! おそらく観ている最中は、自分も同じ顔になっていたはず。

できれば予備知識ゼロで見てほしい

この春、全米週末興行成績1位を獲得した時から、早く見たくて仕方なかった作品。でも「カメラを止めるな!」同様、見るまでは一切内容に関して情報を入れないで初対面すべきと感じていたので、日本最速試写に馳せ参じた。ということで実はみなさんにも予備知識ゼロで見てほしいくらい。

映画の登場人物が何も音を発さないように、劇場または試写室内が、観客も同様に咳の一つも零せないほどの完璧な静寂に包まれたのは、古くはクルーゾの「恐怖の報酬」、近くてもデパルマの「ミッション・インポッシブル」以来の個人的体感! 切実な緊迫感を創り出した(俳優)ジョン・クラシンスキーにこんな演出力があるとは意外だったとだけ言っておこう。

低予算ワンシチュエーション映画が陥りがちな“守りの姿勢”でなく“攻めの姿勢”に出る脚本も勝因の一つか。

レビュワー:米崎明宏
最恐ホラーが大好きなので、すごく恐いと評判の高い11月公開の『へレディタリー 継承』も楽しみにしています。

クワイエット・プレイスだけじゃない!超怖ホラー特集

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