「老人と宇宙」のジョン・スコルジーや「啓示空間」のアレステア・レナルズの原作も
アニメ化されたケン・リュウの短編小説は、「紙の動物園」(新ハヤカワSFシリーズ)と「もののあはれ」(ハヤカワ文庫SF)収録の「良い狩りを」。「ラブ、デス&ロボット」の第8話「グッド・ハンティング」がそのアニメ化作。原作に忠実なアニメ化なので、原作ファンにもお薦め。
このシリーズは、1話完結で、それぞれ監督もスタッフも別。長さも7分だったり15分だったりとさまざま。どのエピソードもタイトル通り、愛、死、ロボットをモチーフに、独立したユニークな世界を描いている。ケン・リュウ以外にも、人気SF作家の原作をアニメ化した作品が何作もあるので、SF小説読みは要チェックだ。
しかしこのシリーズ、ちょっと人気作家が原作だと気づきにくい。それは1エピソード終わるたびに、「クレジットを見る」ボタンを選択しないと、すぐに次のエピソードが再生されるから。クレジットにはちゃんと原作者名が表記されているのだが、ついつい、クレジットを見ずに、次のエピソードを見てしまうのだ。
ちなみに、英語の原題では、作品タイトルが原作小説のタイトルと同じ。だから英語圏のファンには、クレジットを見なくてもタイトルだけで分かるのだろう。
そして、残念なことに、原作小説が日本で翻訳されているのは、前出のケン・リュウくらい。他の作家は、別の作品の翻訳はあっても、原作になった短編は訳されていないような…。とはいえ、SF読みには嬉しい情報なので、どの作家の原作が使われているか紹介しよう。
まず、「老人と宇宙」シリーズ(ハヤカワ文庫SF)の人気SF作家ジョン・スコルジーの原作作品は計3作、第2話「ロボット・トリオ」、第6話「ヨーグルトの世界征服」、第17話「歴史改変」がある。
そして、「啓示空間」「カムズシティ」(共にハヤカワ文庫SF)などの超分厚い文庫でおなじみの英国ウェールズ出身のSF作家、アレステア・レナルズ原作は2作。第7話「わし座領域のかなた」と、第14話「ジーマ・ブルー」。
また、第1話「ソニーの切り札」の原作は、「マインドスター・ライジング」(創元SF文庫)の英国SF作家ピーター・F・ハミルトンの短編。そして、第13話「ラッキー・サーティーン」の原作は、「宇宙兵志願」「強行偵察: 宇宙兵志願2」(共にハヤカワ文庫SF)のSF作家マルコ・クロウスの短編だ。
SF作家ではないが、「ロスト・エコー」「ボトムズ」などのホラー/ミステリー作家ジョー・R・ランズデールの短編が原作なのが、第12話「フィッシュ・ナイト」。余談だが、彼の小説の映像化作品は多く、映画「プレスリーVSミイラ男」やTVシリーズ「ハップとレナード~危険な2人~」など。彼自身、TVアニメ「バットマン」などの脚本も書いていて、映画ファンにもおなじみ。これらの作家に興味があるなら、アニメ版もぜひ。
*アニメ・シリーズ「ラブ、デス&ロボット」シーズン1全18話はNetflixで配信中