想像力をかき立てるドラマティックな7曲
ドラマティックな曲は想像力を刺激する。物語の流れを一気に変えてしまったり、作品テーマを映し出したりもする。たとえば、実写版ももうすぐ登場する『ライオン・キング』の劇中歌「サークル・オブ・ライフ」。主人公シンバの誕生を彩り、またシンバの子供が生まれるラストを感動的に盛り上げる曲である。繋がっていく命というテーマにふさわしい、大河のようなメロディーが印象的だ。
『ライオン・キング』
4K UHD発売中/デジタル配信中
発売/ウォルト・ディズニー・ジャパン
© 2019 Disney
『モアナと伝説の海』(2016)の「どこまでも〜How Far I’ll Go〜」は、小さな島で生まれ育った主人公モアナが、海に漕ぎ出していくシーンをはじめ、エンド・クレジットにも使用された象徴的な曲。寄せては返す漣さざなみのような歌い出しから、一気に大海原のように広がりうねっていくメロディーラインが、モアナの心と冒険を映し出すようだ。
とびきりのドラマティック、といえば、これ。『アナと雪の女王』(2013)の「レット・イット・ゴー〜ありのままで〜」。Wヒロインのうち姉のエルサが、自分の力を封印するのも閉じ籠るのもやめて、自分らしく生きて行くことを宣言する歌だ。内なる決意を示すような静かなメロディーが、やがてグングン駆け上がり空へと突き抜けていく。文字通りドラマティックな変化が壮大にして爽快だ。
これと同じ作詞・作曲家コンビ、ロペス夫妻によるものなのに、『リメンバー・ミー』(2017)の表題曲は全く趣が異なる。主人公ミゲルが好きな、かつての大ヒット曲は、ギターの音をバックにノスタルジックな雰囲気を醸し出す。劇中たびたび登場するこの曲は、作品テーマをそのまま伝えてくる。
『リメンバー・ミー』
MovieNEX発売中/デジタル配信中
発売/ウォルト・ディズニー・ジャパン
© 2019 Disney / Pixar
『ダンボ』(2019)の「ベイビー・マイン」は、家族の絆を伝えるララバイ。赤ちゃん象のダンボに歌いかけるのは、サーカスで人魚の扮装をしているミス・アトランティス。それぞれに個性があって普通からははみ出していても、みんな家族なんだよ、と語るような、柔らかに心癒される歌だ。『メリー・ポピンズ』(1964)のヒロイン、メリーが歌う「2ペンスを鳩に」も心優しい歌。ちょっぴり寂し気な、でも美しいメロディーにのせて、ほんの少しの思いやりの大切さが静かに伝わる歌だ。
『メリー・ポピンズ』
2ムービー・コレクション/2019年6月5日発売/同日デジタル配信開始
発売/ウォルト・ディズニー・ジャパン
© 2019 Disney
『メリー・ポピンズ リターンズ』(2018)でも、この曲はアンダースコアとして何度も登場している。
最後は、やはりこの名曲を。『ピノキオ』(1940)から「星に願いを」である。映画の冒頭を飾りラストも飾るこの曲は、「願えば叶う」という歌詞を伴って心に沁みる。優しくシンプルなメロディーラインが耳になじみ、愛され続ける永遠の歌となっている。
ディズニー映画を支える音楽家
クリステン・アンダーソン・ロペス & ロバート・ロペス夫妻
近年のディズニー最大のヒット曲といえば「レット・イット・ゴー」だろう。言うまでもなく『アナと雪の女王』(2013)のナンバーだ。次に『リメンバー・ミー』(2017)も手がけ、それぞれアカデミー賞主題歌賞を受賞した注目のコンビだ。クリステン・アンダーソン・ロペスとロバート・ロペスの二人は夫婦。
ロバートは、ブロードウェイ・ミュージカル『アベニューQ』(2003)『ブック・オブ・モルモン』(2011)ですでにトニー賞も受賞。どちらもコメディだけに軽快な曲が多い。クリステンもブロードウェイで別の作品に関わっている。二人の初コラボは子供向けのテレビ番組。映画作品としてはディズニー・アニメーション「くまのプーさん」(2011)がデビュー作。耳になじむ滑らかなメロディーラインを武器に、ますます活躍しそう。
※サウンドトラック発売はすべてユニバーサルミュージック