【PROFILE】杉山すぴ豊 SUGIYAMA SUPI YUTAKA
アメコミ系映画ライター。雑誌や劇場パンフレットなどにコラムを執筆。アメコミ映画のイベントなどではトークショーも。大手広告会社のシニア・エグゼクティブ・ディレクターとしてアメコミ映画のキャンペーンも手がける。
「スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム」のミステリオってつまり...
ネタバレ注意の内容なので気をつけてくださいね
スパイダーマンのコスプレがとにかく目立つ!サンディエゴ・コミコン
今年もサンディエゴ・コミコンに行ってきました。大きな注目を集めたのはマーベル・スタジオのパネルでしたが、マーベル以外にもいろいろな発表や催しが行なわれました。意外だったのは、DCは当然ホアキン・フェニックスの「ジョーカー」の展示を大々的にすると思っていたら、この「ジョーカー」色が少ない。
本作についてはアメコミ映画売りをあまりしない、ということなのかも。ではDC色は少なかったかとかいうとそんなことは全然なくて、「ARROW」などのTVドラマ、「タイタンズ」などの配信ドラマ関係の企画は大いに盛り上がっていましたし、今年はバットマン生誕80周年なので、それを記念しての展示演出も行なわれていました。「バットマンビギンズ」の渡辺謙さんのラーズ・アル・グールの衣装も飾られており、この実物を見るのは初めてだったのでちょっと感激!
サンディエゴ・コミコンの場合、コスプレーヤーを見ると人気キャラの動向がわかるのですが、今年はキャプテン・アメリカのコスプレをする人はみな、盾とムジョルニアを持っていました。これは「アベンジャーズ/エンドゲーム」での展開を思い出していただければわかりますね(笑)。
そしてスパイダーマンのコスプレがとにかく目立っていました!考えてみれば「スパイダーマン:スパイダーバース」「エンドゲーム」そして「スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム」と、こんなにスパイダーマンの映画が公開された年は珍しいので当然かも。「スパイダーバース」でのストリート・テイストのマイルス・モラレス版スパイダーマンに扮する人もかなり多かったですね。
「スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム」の終わり方に次回が気になって妄想膨らみまくり!
さて「スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム」ですが、もうご覧になっている方も多いと思うので、内容に踏み込んだ話をしちゃいます。面白いのはミステリオの正体、あそこから物語が大きく変わりますよね。ちょっとびっくりされた方も多いかと思いますが、実は原作コミックでもミステリオって“ああいうキャラ”なのです。
つまり、だましのテクニックで自分をヒーローとして認めさせたい、という野望を抱いている男。そしてなぜか橋を戦いの場所に選んで、スパイダーマンと対峙することが多いのです。
そういう意味で今回の映画版ミステリオは原作に忠実です。このトム・ホランド版のスパイダーマン映画は、前回のヴィラン、バルチャーもそうでしたが“華やかなアイアンマンの活躍の陰で、ワリを喰った人たちがヴィラン化し、それをアイアンマンの弟子であるピーターことスパイダーマンが尻ぬぐいをする”という構造になっています(笑)。従って次のスパイダーマン映画のヒントは、今までのトニー・スタークの動向を思い出せばわかるのかもしれません。
さて次のスパイダーマン映画への妄想ですが、コミックの方では、クレイブンという驚異的な身体能力を持ったハンターがいて、彼がスパイダーマンを捕まえるために戦うというエピソードがあります。このクレイブンの登場を願う声は非常に多く、いよいよ実現するのでしょうか?
またピーターがああいうことになってしまったので、きっと弁護士が必要、そこで弁護士ヒーローことデアデビルがMCUに登場!?なんて展開もありかも。一方トム・ホランドは『実写版スパイダーバースはどう?』と言っているみたいなので、そうなればトビー・マグワイア版とアンドリュー・ガーフィールド版とトムホ版スパイダーマンが共演したりして!?夢がどんどんふくらみますね(笑)。
最後に、僕がさりげないけど重要だなと思ったのは、ピーターのセリフに『キャプテン・マーベルを呼んだら?』みたいなのがありましたが、「キャプテン・マーベル」および「アベンジャーズ/エンドゲーム」の中で、彼女はヴァースかキャロル・ダンヴァースと呼ばれていて、“キャプテン・マーベル”と言われたことはないのです。本作で初めてキャロルは“キャプテン・マーベル”というヒーロー名で呼ばれたことになります。と、こういうことを見つけ出すこともマーベル映画の楽しみなんです。