【50歳】大作から脇役まで相次ぐオファー
2016年にはフランスより芸術文化勲章のシュヴァリエ(騎士)を授与され、カンヌ映画祭では審査員を務めたマッツ。この年は「ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー」や「ドクター・ストレンジ」といった超有名シリーズの一作にも出演。俳優の道へと進み始めた頃、まさか自分が「スター・ウォーズ」シリーズやマーベル作品に出演するとは思っていなかったという。
もともと「スパイダーマン」が好きだったというマッツは、「ドクター・ストレンジ」でヒーローを演じず、悪役のカエシリウスに扮したが、この役をとても興味深いキャラクターだと解釈し、説得力を持って演じたいと思ったと語っている。彼が演じれば、どんな悪役だろうと観客の心をとらえて離さない深みがあることが本作を見るとよく分かる。
マッツは常々、ダンスの経歴は役者としての強みになっていると語っている。テレビのインタビューでその例について語った際は、「馬にまたがって風景の中に佇む時、役者は何もせず風景と踊らなければならないんだ」とコメント。「ちょっと詩的な表現すぎたかな」と照れ笑いしていたが、それを見て多くの女性がノックアウトされたことだろう。
デンマーク語、英語、ドイツ語、スウェーデン語にも堪能なマッツ。彼の長所を挙げたらキリがないが、謙虚であるところも本当に素晴らしい。例えば、“北欧の至宝”と称されることについて聞かれた時は「僕にとっては妻と二人の子供たちも至宝だよ」と答えている。
演技がうまいと言われる俳優になるのではなく、演じていることを意識させず、観客がスクリーンに飲み込まれるようにしたいという彼は、仕事への姿勢が非常にストイックだ。この秋は「残された者 北の極地」のほか、「アダムズ・アップル」「永遠の門 ゴッホの見た未来」など出演作が立て続けに日本上陸し、Netflixでは「ポーラー 狙われた暗殺者」が配信中。どっぷりとマッツに浸かる秋~冬を楽しみたい。