主演と脇役、悪役と善人。メジャーとインディーズ、映画とドラマ。これら対極にみえるものを軽やかに行き来する俳優マッツ・ミケルセン。どんな役を演じても、見る者を惹きつけてやまない彼が歩んできた道とは──(文・清水久美子/デジタル編集・スクリーン編集部)

【50歳】大作から脇役まで相次ぐオファー

2016年のカンヌ国際映画祭では審査員として出席。フォーマルも素敵!
Pascal Le Segretain/Getty Images

2016年にはフランスより芸術文化勲章のシュヴァリエ(騎士)を授与され、カンヌ映画祭では審査員を務めたマッツ。この年は「ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー」や「ドクター・ストレンジ」といった超有名シリーズの一作にも出演。俳優の道へと進み始めた頃、まさか自分が「スター・ウォーズ」シリーズやマーベル作品に出演するとは思っていなかったという。

もともと「スパイダーマン」が好きだったというマッツは、「ドクター・ストレンジ」でヒーローを演じず、悪役のカエシリウスに扮したが、この役をとても興味深いキャラクターだと解釈し、説得力を持って演じたいと思ったと語っている。彼が演じれば、どんな悪役だろうと観客の心をとらえて離さない深みがあることが本作を見るとよく分かる。

マッツは常々、ダンスの経歴は役者としての強みになっていると語っている。テレビのインタビューでその例について語った際は、「馬にまたがって風景の中に佇む時、役者は何もせず風景と踊らなければならないんだ」とコメント。「ちょっと詩的な表現すぎたかな」と照れ笑いしていたが、それを見て多くの女性がノックアウトされたことだろう。

画像: 「永遠の門」では牧師役で出演 © Walk Home Productions LLC 2018

「永遠の門」では牧師役で出演
© Walk Home Productions LLC 2018

デンマーク語、英語、ドイツ語、スウェーデン語にも堪能なマッツ。彼の長所を挙げたらキリがないが、謙虚であるところも本当に素晴らしい。例えば、“北欧の至宝”と称されることについて聞かれた時は「僕にとっては妻と二人の子供たちも至宝だよ」と答えている。

画像: 風変わりな聖職者に扮した14年前の出演作「アダムズ・アップル」 ©2019 by アダムズ・アップルLLP

風変わりな聖職者に扮した14年前の出演作「アダムズ・アップル」
©2019 by アダムズ・アップルLLP

演技がうまいと言われる俳優になるのではなく、演じていることを意識させず、観客がスクリーンに飲み込まれるようにしたいという彼は、仕事への姿勢が非常にストイックだ。この秋は「残された者 北の極地」のほか、「アダムズ・アップル」「永遠の門 ゴッホの見た未来」など出演作が立て続けに日本上陸し、Netflixでは「ポーラー 狙われた暗殺者」が配信中。どっぷりとマッツに浸かる秋~冬を楽しみたい。

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