J・J・エイブラムス
1966年6月27日生まれの53歳。「スター・ウォーズ」「スター・トレック」という2大SFシリーズ映画の“復活”に携わり、世界中から絶大な信頼を得るハリウッド随一のヒットメーカー。「クローバーフィールド」「SUPER8」などのSF・パニック映画の名手で、仕掛けや謎が散りばめられた独特のストーリーテリングも特徴。全米興行収入ランキング歴代No.1作品「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」に続き、「スカイウォーカーの夜明け」のメガホンを取る。
“最初の物語からすべてが繋がっていたことを観客たちに理解してもらえると思っている”
僕自身の手で終わらせることを断る理由はどこにもない
2015年から始まったディズニースタジオによる新『スター・ウォーズ』シリーズ。その最初のトリロジーを終わらせる役目を背負ったのは、シリーズを始めた監督と同じ、J・J・エイブラムスだった。
「僕がそれを予期していたかって?答えはNOだ。あるとき、このチャンスが舞い込んできたんだ」
当初、決まっていた監督は『ジュラシック・ワールド』を成功に導いたコリン・トレヴォロー。ところが「芸術的見解の違い」でトレヴォローは降板、代りに浮上したのがエイブラムスだった。
「ご存知のように僕は、レイやポー、フィンの物語をスタートさせた。それを僕自身の手で終わらせることが出来るというんだから、断る理由はどこにもない。それに僕は『フォースの覚醒』を手掛けたときから、このトリロジーの最後はスカイウォーカー・サーガの終焉になると判っていたんだ」
だからそのタイトルにも〝スカイウォーカー〞が謳い込まれ『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』になっているのだろうが、それにしても「終わり」なのに「夜明け」とは?ファンとして大いに気になる部分だ。
「その理由は……映画を観て貰えば判るというか、納得してもらえると思うよ。いま言えることは、みんながずっと観てきたギャラクシーが最大の試練に直面するということ。宇宙だけじゃない、キャラクターにもそれぞれ大きな試練が待ち構えている。それもフィジカルな面、メンタルな面、どちらでもだ。彼らのその苦悩する姿や、ギャラクシーのありさまを目撃した観客たちはきっと、これまでのストーリー、つまり最初の物語(『エピソード1』)から全部が繋がっていたんだと理解してもらえると思っている……いや、そう願っているんだよ!」
その「最初の物語」を紡いだのは、シリーズの産みの親であり育ての親、ジョージ・ルーカスである。直接、作品に関わることはなくなったとはいえ、エーブラムズにとってはもっとも重要な人物のひとりに違いない。
「前作以上にジョージの存在は大きかった。だから僕たちは、脚本を書き始める前に彼とミーティングを開き、ジョージの言葉にじっと耳を傾けた。フォースとは、ジェダイとは何なのか?スカイウォーカー一族についてどう考えているのか?『スター・ウォーズ』について彼が語るのを、僕たちはひたすら黙って聞き続けたんだ。それはとても素晴らしい時間だったし、僕たちの物語に大きな刺激を与えてくれた。
僕たちは彼の意見に忠実でありつつ、僕ら自身が正しいと思うことをやらなければいけない。そのバランスを見つけるのは実際、かなりハードルの高いことではあったんだ」