毎月公開される新作映画は、洋画に限っても平均40本以上!限られた時間の中でどれを見ようか迷ってしまうことが多いかも。そんなときはぜひこのコーナーを参考に。スクリーン編集部が“最高品質”の映画を厳選し、今見るべき一本をオススメします。今月の映画は絶対王者に挑んだ男たちの実話をマット・デイモン&クリスチャン・ベール共演で映画化し、アカデミー賞最有力の一本とされる「フォードvsフェラーリ」です。

編集部レビュー(続き)

今更ですが、クリスチャン・ベールすごい!

メカまみれのとっつきにくいストーリーなのかな...と勝手に想像していたのですが、見事に裏切られました。舞台は60年代、フォード社からル・マン制覇を目指す二人を中心に、友情とは?信頼とは?チームとは?情熱とは?と今を生きる私たちに様々な事柄を語りかけてくれる、胸アツ激アツな作品でした(レース後のケンの言葉に泣きました...)。

抑えめ演技のM・デイモンも素敵なのですが、C・ベールがとにかくかっこ良かった!ケン・マイルズ本人のことを知らなくても、好きなことに純粋で真っすぐなケンそのものなんじゃないかと思うぐらい、キャラが確立されていました。改めて、この人すごいなぁ...と実感。ベールの過去作ももう一度見直したらまた新しい発見があるんじゃないか、そう思わせてくれる作品でした。ここにきて再びベールの虜になりそうです。

レビュワー:中久喜涼子
カスっぷりを披露していた副社長のジョシュ・ルーカスも絶妙でし た。過去に「アメリカン・サイコ」でもベールと共演していたようです。

己を信じ、友を信じ、そして車を信じる!

病でカーデザイナーへの転身を余儀なくされた元ドライバーのシェルビーと、運転テクニックは抜群だが無鉄砲なマイルズ。出会うはずのなかった二人を結び付けたのは、王者フェラーリをル・マン24時間耐久レースで倒すというフォードの無謀な挑戦だった。

ル・マンは企業同士の戦いでもあり、社員、仲間、家族、全てが一丸とならなければ優勝できない。しかし“味方に敵あり”とはよく言ったもので、真に打倒すべきはフェラーリではなく身内だった...偏った展開に賛否両論あるかもしれないが、自分にとって“感情移入できる”のも映画を見る上での大事な要素の一つ。心からマイルズ陣営を応援できる筋書に気持ちよく身を預け、また人生を託し合った二人の友情に胸を熱くさせながら、爽やかに2時間半を完走できる快作だ(デザイン対決はイタリア生まれのフェラーリに軍配!)。

レビュワー:鈴木涼子
男同士の友情って本当に清々しいですね。いい年の大人が取っ組み合いのケンカをしても、数分後にはサイダーで“チアーズ!”だもんなあ。

入念に作り込まれた『男たちのドラマ』

基本的に運転免許証は持っているけど、車を運転するのは苦手だから乗らないというゴールドカード人間なので、カーレース映画に食指が動くわけではないが、それでも本作はそのスピード感、レース場の臨場感が素晴らしく、大画面・大音響のおかげもあり、思わず興奮してしまうほどだった。

もちろんドラマが良く出来ているせいもある。天才同士だけがわかりあえる、理由などない絆をマット・デイモンとクリスチャン・ベールが演じるだけでハートが熱くなる人もいるはず。企業ドラマとしても良く出来ていて、組織に生きる人には胸が痛くなるシーンも。そして家族ドラマでもあり、女性にも受けが良いのは納得。

さらにル・マン・レースを具体的に描き、まるで自分も運転しているかのように錯覚してしまう撮影に驚いた。入念に作り込まれた『男たちのドラマ』だ。

レビュワー:米崎明宏
「グランプリ」「栄光のル・マン」...これまでもいろんなレース映画ありました。個人的に「スピードレーサー」も好きですが、何か?

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