映画史に残る「バック・トゥ・ザ・フューチャー(BTTF))」3部作はなぜここまで長くファンに愛されるのか?3作それぞれの見どころを紐解いてみましょう。(文・田中雄二/デジタル編集・スクリーン編集部)

今度はウエスタン!残されていた答えの総てが解決する最終作
「バック・トゥ・ザ・フューチャーPART3」(1990)

三作をまとめて見ると、それぞれが影響し合っていることがわかる

前作のラストでタイムマシンとともに消えたドク(クリストファー・ロイド)を追って、マーティ(マイケル・J・フォックス)は西部開拓時代へ。シリーズ完結編は、ドクのラブロマンスをマーティが応援する様子が描かれる。本シリーズは、タイムマシンを使って、1作目はマーティと彼の両親、2作目は悪役のビフ、この3作目はドクの人生に収拾をつけたとも言えるだろう。

監督のロバート・ゼメキスは「3本まとめて見ると、それぞれが影響し合っていることが分かると思う。『PART2』の最後で、未回答の疑問を残すというリスクを冒したが、『PART3』で全てが解決することに力を置いた。それが半年後にリリースした理由の一つだ」と語っている。

現在、過去、未来を描いてきたシリーズ完結編の舞台は、大昔の西部開拓時代。冒頭の、モニュメントバレーで騎兵隊とやり合うインディアンが放った矢がタイムマシン目掛けて飛んでくるシーンから、観客を一気に西部劇の世界へと誘っていく。

マーティはこの時代ではクリント・イーストウッドを名乗る。服装も『荒野の用心棒』(1964年)のイーストウッドを意識している。宿敵タネン(トーマス・F・ウィルソン)との最後の対決にも『荒野の用心棒』のパロディが用意されている。これらは、イーストウッドこそ西部劇の代名詞と宣言しているようなものだ。

加えて「銃はどこで覚えた」と聞かれたマーティが「セブンイレブン(ゲームセンター)さ」と答えるなど、相変わらず小ネタも効いている。また、女教師のクララ(メーリー・スティンバージェン)とドクの恋は、ジョン・フォード監督の名作『荒野の決闘』(1946年)のパロディ。ほかにも西部の町の風景を再現したセット、SLを使ったアクションなど西部劇の要素が満載だ。

製作のスティーヴン・スピルバーグと監督のゼメキスは、さまざまな事情から西部劇が撮れなくなった現状を憂いて、たとえ変則的な形であっても撮るべきだと考えて本作を作ったという。確かに、本作には西部劇入門的な側面もある。

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