「スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け」が読者選出第1位の栄誉に!
文・渡辺麻紀
ファンが新三部作に夢中になったのはレイの存在があったからこそ
『アベンジャーズ/エンドゲーム』『アラジン』や『アナと雪の女王2』、『ジョーカー』といった大ヒット作や話題作をおさえ見事、読者投票の一位に輝いた作品は『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』だった。公開されたのが去年の暮れ、12月20日だったにも関わらず、この快挙。一部の評論家からは手厳しい意見も出され、数字的にみてもディズニーが始めた新シリーズのカノン(正史)本のなかでは最下位になりそうだと言われているのに、である。
では、なぜ本作は、それほどまでに映画ファンの心をつかんだのか?もちろん、これが(ひとまずの)全シリーズ9作の最終章ということも十分考えられる。が、それより何より、ファンが夢中になった大きな理由はレイの存在にあったのではないだろうか。新シリーズの1作目『フォースの覚醒』では、辺境の惑星で屑鉄を拾いながら、たったひとりで孤独を抱えながら生きている無力な娘。そんな彼女がまるで運命に導かれるようにレジスタンスとファースト・オーダーの戦いに身を投じ、次々と新しい自分と対峙して行く。
身も心もフォースもどんどん強くなり、その存在自体も大きくなって行ったレイ。そして、最初から注目を集めるミステリーのひとつだった彼女の出自。今回、明らかになったそれは、まさに驚くべきものだったが、レイはそれに甘んじたり慄くのではなく、自分の強い意志で自分の生きたい人生を選んでみせる。彼女をずっと見守り、応援し続けていたファンにとって、レイが最後に口にする言葉は感動的だったに違いない。本作のサブタイトル『スカイウォーカーの夜明け』の由来にもなっているその言葉は簡潔ではあるが、彼女はそれを3作通した闘いのなかで選んだのだ。だからこそ、大きな意味がある。
旧作からのファンも目頭を熱くするようなプレゼントがいっぱい!
もちろん、演じるデージー・リドリーの熱い演技も忘れてはいけない。1作目のときは無名の新人女優だった彼女もレイとともに成長し、ちゃんと新トリロジーを支えるまでに成長したことを今回、ちゃんと証明してみせたのだから。
そしてもうひとつ、もしあなたが20世紀からの『SW』ファンならば、いろんなプレゼントが隠された本作に頬が緩んだはずだ。ルークやレイア、新シリーズ初の出演になるランド・カルリジアン、ハン・ソロやパルパティーン、そしてあの(旧三部作制覇のX–ウィング・ファイターの)ウェッジ・アンティリーズまで!しかも演じていたのはオリジンのデニス・ローソンなのだからたまらない。ランドが声をかけたら宇宙に散らばっていたかつての仲間が集まって来たというシチュエーションと、そんな現実がだぶってしまい、旧作ファンは目頭が熱くなってしまうのだ。
ということはつまり、本作は新旧ファンのニーズにちゃんと応えていたということ。年前にスタートしたシリーズが、世紀をまたぎ、時代と世代を越えていまでも愛され続け、こうやって年間トップの座に選ばれる。それは、『スター・ウォーズ』だからこそ出来た"神業"だといっておこう。
「スター・ウォーズ」シリーズ 読者選出SCREEN映画大賞の歴代記録
「スター・ウォーズ エピソード4 /新たなる希望」
1978年度読者選出第1位
「スター・ウォーズ エピソード5 /帝国の逆襲」
1980年度読者選出第2位
「スター・ウォーズ エピソード6 /ジェダイの帰還」
1983年度読者選出第5位
「スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス」
1999年度読者選出第3位
「スター・ウォーズ エピソード2 /クローンの攻撃」
2002年度読者選出第4位
「スター・ウォーズ エピソード3 /シスの復讐」
2005年度読者選出第3位
「スター・ウォーズ エピソード7/フォースの覚醒」
2015年度読者選出第1位
「スター・ウォーズ エピソード8 /最後のジェダイ」
2017年度読者選出第2位
(ウォルト・ディズニー・ジャパン配給)
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