恋に年齢は関係ないけど……?
パターン3:歳の差恋愛
恋愛に年齢は関係ないし、そのためなら歳の差なんて超えられる。どっちが年上でどっちが年下かによって味わいが微妙に違うのだが。「愛を読むひと」(2008)の場合は、第二次大戦下のドイツで関係を持った少年と、ナチス親衛隊の看守として収容所に勤務していた年上の女性が、戦後の法廷で傍聴者と被告として再会。そこから、2人の間でのみ有効な朗読の意味が浮かび上がる戦争を跨いだ恋の物語。
「愛を読むひと」(2008)
監督:スティーヴン・ダルドリー
出演:ケイト・ウィンスレット/レイフ・ファインズ
アカデミー賞に輝いた実在の女優、グロリア・グレアムと、当時は駆け出しの舞台俳優だったピーター・ターナーが、かつて愛し合った頃を追想しつつ、リヴァプールで最後の日々を過ごす「リヴァプール、最後の恋」(2017)も、ベル・エポックのパリに君臨した伝説の高級娼婦が、かつての仕事仲間の息子を一人前の男として教育する過程で、不覚にもフォーリン・ラブしてしまう「わたしの可愛い人、シェリ」(2009)も、女性の方が年上でなぜかそこはかとない不幸の匂いが。
「リヴァプール、最後の恋」(2017)
監督:ポール・マクギガン
出演:アネット・ベニング/ジェイミー・ベル
「わたしの可愛い人、シェリ」(2009)
監督:スティーヴン・フリアーズ
出演:ミシェル・ファイファー/ルパート・フレンド
一方、男性が年上の「ラストコンサート」(1976)は、うらぶれた中年ピアニストが、病に侵された少女と恋におち、彼女の励ましでソロデビューするという、歳の差ものだが純愛の香り漂うカルトシネマ。初老の独身大学教授が、彼の講義を受ける美貌の女子大生に恋してしまい、いつか振られるだろうという恐怖から、ついつい相手を傷つけてしまう「エレジー」(2008)は、女性が年上のケースに比べると愚かさが際立つ。直球勝負できない老いることのもどかしさも。
「ラストコンサート」(1976)
監督:ルイジ・コッツィ
出演:パメラ・ヴィロレージ/リチャード・ジョンソン
「エレジー」(2008)
監督:イザベル・コイシェ
出演:ペネロペ・クルス/ベン・キングズリー