最新インタビューを通して編集部が特に注目する一人に光をあてる“今月の顔”。今回取り上げるのは26歳にしてすでに四度オスカー候補に挙がっている若き名女優シアーシャ・ローナン。ヒロインのジョーを演じた話題作「ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語」を語ります。

「ハリウッドの女王」として君臨することを十分に予感させる

Photos by Michael Hurcomb/Corbis via Getty Images

シアーシャ・ローナン

20代にしてすでにアカデミー賞候補になること4回、若手ナンバーワンとの呼び声も高い実力派女優。現在公開中の「ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語」では四姉妹の次女ジョーを演じ、アカデミー賞主演女優賞にノミネート。アイルランド出身で、父親も俳優。1994年4月12日生まれの26歳。

2007年の「つぐない」で弱冠13歳にしてアカデミー賞助演女優賞にノミネートされたシアーシャ・ローナンも今や26歳。透明感あふれる美しさで「天使」と呼ばれていた少女は、この若さですでに四度アカデミー賞にノミネートされ、「女王」の異名を取るまでになった。

彼女を「天才」と呼ぶ人もいる。「レディ・バード」と新作「ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語」で二度彼女と組んだグレタ・ガーウィグ監督だ。『彼女がどうすればあんなことができるのかわからないけど、彼女と2回も仕事できたなんて素晴らしい幸運』とグレタ監督はいう。

時代を超えて読み継がれてきた名作小説を映画化した「…若草物語」でシアーシャ・ローナンが見せる演技はまさに天才的といえるものだ。マーチ家の四姉妹の中でひときわ個性的で、小説家を夢見る次女ジョーを、彼女は現代的で大胆な解釈で演じている。

それは私たちが長年愛してきたジョーであり、まるで新しいジョーでもある。彼女はこの演技で四度目のオスカー候補に上った。受賞は果たせなかったものの、そのパフォーマンスは彼女が将来、本当に「ハリウッドの女王」として君臨することを十分に予感させる。その演技に込めたものについて話を聞いた。

人生のどんなタイミングに立っているかによってこの物語の見方は変わってくると思う

──「…若草物語」の原作は19世紀に書かれた小説ですが、現代にも通じる物語ですね。

『この物語は、いつの時代よりもまさに今に適切だと思う。なぜなら、若い女性が自分の道を進むための自信を見出すストーリーだから。人生のどんなタイミングに立っているかによって、物語の見方も変わってくる。数年間エイミーになっていたら、今度は突然ジョーになって、次はメグで、もしかしたらベスに戻るかも。どのキャラクターにも自分を見出せる。

これまでの「若草物語」の映像化の多くは古くて、堅苦しくて、まるで肖像画や絵画のようで、自然な描写ではなかったと思う。グレタ監督はそれを求めていなかった。彼女はこの物語の世界を、男性も女性も自然に描かれていたウィンスロー・ホーマー(19世紀アメリカを代表する画家)の作品や当時の写真のように捉えていたの。だからより現代的な感じがするのだと思う』

──あなたはジョーをどんな女の子だと思って演じたのですか?

『私にとってジョーは、現代の同い年の女の子と同じような感じ。グレタ監督は、劇中に出てくるどの女の子よりもジョーがモダンであるべきだと感じていた。動き方はもちろん、特に彼女の話し方でも。ジョーの声には現代的なリラックス感があるの。ジョーの内なる炎に火をつけるのは、書くこと。ジョーは昼も夜も書かなくてはならないと思っているけれど、それを職業だとは思っていない。

あの時代、女の子のほとんどは職業としての作家が現実的ではないと思っていたから。でもジョーは書くことで自信をつけている。そしてマーチ家は自分たちのやり方で何かを表現することをお互いに応援し合うのよ』

──ジョーには大事な二人の男性の存在がありますね。ずっと一番仲の良い男友達だったローリーと教師のフレデリックです。

『ジョーは愛とロマンスの両方と、とても複雑な関係なの。ローリーとは永遠に、子どもの頃のような純粋でプラトニックな関係でいたかったんだと思う。フレデリックは違うことを彼女に提案した。新しい人生と知的な世界を受け入れること。でもジョーはフレデリックに恋愛感情を抱くなんて考えもしなかった。ベスが病気になって家に戻るまでは。ジョーは絶対に結婚しないと誓っていたしね。

ジョーのすべてのラブストーリーの中で、姉妹と母親に対するものが最高の愛なのだと思う。若い女性たちが世界の中で自分の道を見つけるために関わり合いを持つということが、この物語の核で原動力だと思うわ』

──グレタ・ガーウィグ監督とは「レディ・バード」に続くタッグとなりました。彼女との仕事はやりやすいですか?

『そうね。「レディ・バード」は彼女にとって初めての単独監督作品だったし、私もコミカルな作品に出演するのは久しぶりのことだったから、今回の「…若草物語」のほうがスムーズだった。私は監督と仕事をすることに大きな意義を感じているし、ジョーという素晴らしい生き方をした女性の物語を一緒に作り上げることができた。

監督と私の間には、撮影が進むうちに共通のリズムが生まれたわ。私たちは言葉を超えて、心と心で通じ合っていたのよ』

──あなたにとって今回の「…若草物語」はどのような物語ですか?

『自分を追い求め、自分が何者で、居場所はどこなのかを知ろうとする人たちの物語よ。それがときには仕事という形だったり、人によっては恋愛という形を取ったりしている。グレタはこの企画をソニーに打診したとき、この映画はお金とアートの物語だと言った。私たちも何よりもそこに物語の焦点を当てることを目指したし、この映画の個性にもなっていると思うわ』

「ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語」(公開中)

画像2: シアーシャ・ローナンが語る「若草物語」を現代の人に観てもらいたい理由【今月の顔】

監督:グレタ・ガーウィグ
出演:シアーシャ・ローナン、エマ・ワトソン、ティモシー・シャラメ、フローレンス・ピュー、エリザ・スカンレン

19世紀を代表する女性作家ルイーザ・メイ・オルコットの名著『若草物語』を豪華キャストで映画化。「レディ・バード」のグレタ・ガーウィグ監督&主演シアーシャ・ローナンが再タッグ。

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