今回70回目を迎えた『SCREEN映画大賞』。その長い歴史の中では、日本の洋画ファンが愛したスターや人気作の移り変わりがはっきりと見えてきます。オードリー・ヘプバーンが彗星のように登場した1950年代から、アメコミ超大作が人気の2020年代まで、70年間の変遷を振り返ってみましょう。
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圧倒的な人気を誇るシリーズものとアメコミ作品の台頭

2000年代の特徴はシリーズ物が人気を集めたこと。「ハリー・ポッター」(第一作:2001〜)シリーズ、「ロード・オブ・ザ・リング」(第一作:2001〜)3部作、そして「パイレーツ・オブ・カリビアン」(第一作:2003〜)シリーズはいずれも大ヒットを飛ばし、ベストテンで上位に入った。

画像: 大人気を呼んだシリーズ第1作『ハリー・ポッターと賢者の石』(2001)

大人気を呼んだシリーズ第1作『ハリー・ポッターと賢者の石』(2001)

2000年代 「ハリー・ポッター」ブーム

2001年に第一作「ハリー・ポッターと賢者の石」が公開された“ハリポタ”は一大ブームを巻き起こし、翌年に公開された「ロード・オブ・ザ・リング」と共にファンタジー映画の流行をリード、「ナルニア国物語」などの後継作品を生み出すことになった。

他にもサム・ライミ監督版の「スパイダーマン」(2002)、「マトリックス」(1999)といったシリーズ作品がヒット、それぞれの主演スターもファンから支持された。この時期には「パイレーツ…」シリーズのヒットもあってジョニー・デップが圧倒的な人気を誇り、十年連続でナンバーワンという記録を打ち立てている。

アメコミ映画はそれまでも作られており、クリストファー・ノーラン監督の「ダークナイト」(第一作:2008〜)三部作は作品的にも高評価だったが、10年代にはマーベル・スタジオによるMCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)が本格的に始動、もう一つの有力アメコミ・レーベルDCもそれまで単独シリーズとして送り出していた「スーパーマン」「バットマン」などを同じ世界観で集約、「ジャスティス・リーグ」などの作品を送り出すようになった。

画像: 『アベンジャーズ』(2012)ディズニープラスで配信中 © 2021 Marvel

『アベンジャーズ』(2012)ディズニープラスで配信中

© 2021 Marvel

**2010年代 アメコミ原作の映画が大ヒット

マーベルとDCというアメコミの二大レーベルが競うように次々と作品を送り出し、それぞれヒットを飛ばしてジャンルとして定着するようになった。キャラクター映画としての側面も強く、各作品の主演者にも人気が集まり、さらに脇役も注目度が高まっている。

コロナ禍のため、新作の公開が少なくなっているのが残念だ。またこの時期には、「英国王のスピーチ」(2010)のコリン・ファース、TV「SHERLOCK/シャーロック」(2010)のベネディクト・カンバーバッチらの英国男優に熱狂的なファンがつき、本誌で“英国男優総選挙”が開催されるようになったのも特徴と言えるだろう。といったところが、ざっとしたこの70年の流れだ。

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