最新インタビューを通して編集部が特に注目する一人に光をあてる“今月の顔”。今回取り上げるのは、『アンモナイトの目覚め』で、ケイト・ウィンスレット演じるメアリーと恋に落ちる女性・シャーロット役を務めるシアーシャ・ローナンにスポットを当てた。共に惹かれあう2人の女性の関係性を美しく繊細に描いた今作について語ってくれました。

私はこういう複雑なラブ・ストーリーを見るのが好き

シアーシャ・ローナン

1994年4月12日、アメリカ・ニューヨーク生まれ。両親はアイルランド人。13歳の時に『つぐない』(2007)でアカデミー賞にノミネート。

また『ブルックリン』(2015)、『レディ・バード』(2017)などでも注目され、『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』(2019)でキャリア4度目のゴールデン・グローブ賞などにノミネート。ウェス・アンダーソン監督の新作『TheFrench Dispatch(原題)』の公開も控えている。

── あなたが演じるシャーロットという役についてお聞かせください。

「シャーロットは、裏方に回ることを苦にしないタイプで、人を引き立たせたり、その人の偉大さを気付かせることに長けている人間です。とても謙虚で、献身的な人間。ひどく傷つき、心がボロボロになったことがあるのにもかかわらず、人を愛することを恐れない女性なの」

── この映画に惹かれたのは?

「作品と、役の静けさに惹かれました。物語のペースがとてもゆっくり。だからこそ、息を吸う余裕があったの。この世界観の中で役を演じるのは、楽しいだろうなと思っていました。

基本的には、2人の女性の日常を追うだけの物語。2人とも、多くの苦難を乗り越えて、ゆっくりとお互いに歩み寄っていく。そうしながら、自分自身の人生を振り返る。このアイディアそのものに惹かれたの」

── シャーロットを演じる上でどういう役作りをしましたか?

「メモをとるようにしたわ! 普段そんなことはしないし、あまり得意ではないのだけど、監督に、役の背景を作るように強く説得されたの。

シャーロットの人生を自分で作り上げたおかげで、撮影の初期段階で、この役を身近に感じることができたわ。ピアノの稽古を再開することができたのも嬉しかった!」

── フランシス・リーはどういう監督でしたか?

「ビジョンがしっかりとした監督だと思う。芸術的に成し遂げたい目的がはっきりしている。自分の好みもはっきりしている。私たちに、それを明確に告げてくれたことはとてもありがたかった」

── 物語の冒頭でシャーロットが登場する時、彼女はどういう状態でしたか?

「ロデリックと結婚して数年経っています。絵に描いたような夫婦で、妊娠もしました。でも、このストーリーでは結局死産に終わってしまう。

シャーロットは子供を失ったことで、心に穴が空いてしまうの。この時代、女性は結婚して、家事をして、子供を産むべきだと考えられていた。

だからこそ、自分のことを“失敗作”だと感じている。死産から半年経っても、シャーロットは鬱状態から立ち直れない。結局ライム・レジスに連れてこられて、そこに置き去りにされてしまう。ロデリックはいなくなり、最初はメアリーともうまくいかないので、絶望するけど、自分に何も求めてこない人間と一緒に過ごすことで、心が休まり、思う存分嘆き悲しむことができた。

やがて徐々に、2人は助け合い、健康と強さを取り戻していきます。映画の冒頭で、ロデリックとの関係は緊迫していました。結婚生活はとても息苦しく、セックスもご無沙汰。

シャーロットからすれば、ただ抱きしめて欲しかっただけなんだと思う。物理的に寄り添って、苦しみを理解しようとしてくれる人を必要としていたんです。

しばらくお互いに離れて生活をした結果、シャーロットはより強い人間に成長する。彼もその間、自分なりに冒険をして、新たな情熱を見つけます」

── シャーロットはメアリーに何をもたらすのでしょうか?

「シャーロットは、みずからをさらけ出し、メアリーに対して無防備になり、感情を示すことを恐れなかった。そんな態度にメアリーは不意打ちされるけれど、自分も同じようにするしかなくなるの。

最初のうち、シャーロットのしつこさにメアリーは多少うんざりしてただろうけれど、最後には、自分をさらけ出すことは弱さではないと気づける人へとメアリーを変える。実際は強くないと、みずからをさらけ出せないのよ!」

── この物語は今の時代と特に共鳴する部分がありますか?

「これはとてもタイムリーな物語だと思う。社会、政治、芸術、映画において、以前はできなかった、本物の物語を共有するプラットフォームを、現在は間違いなく与えられている。

私が言いたいのは、男性についての話だろうが、女性についての話だろうが、人間として扱われるべきだということ。少し壊れていて、少し傷があるけれど、美しいただの“2人の人間”についての話だということ」

── ケイト・ウィンスレットとの共演はいかがでしたか?

「ケイトとの共演は大好き! 彼女は素晴らしい人よ。私は子供の頃から彼女をスクリーンで見ながら育ってきた。彼女は信じられないほど仕事への集中力があって、プロに徹しながら、誰にでも親切で優しいの! そして、仕事のために何でもみずから率先して行うところも尊敬してる。

いいテイクのためなら長い間雨に打たれて寒い思いをしても彼女は気にしない。自分のしていることに心から打ち込んでいて、あらゆることに対して優れたユーモア感覚を持っているの。彼女の仕事に対する姿勢は本当に見事よ。それに彼女は素敵な家族もいて普通の生活を送っている。

仕事と私生活のバランスがちょうどいいし、それを糧に上手に行動にできるの。彼女との共演は本当に最高だった」

── 『アンモナイトの目覚め』を観て、どんなことを感じてほしいですか?

「映画の彼女たちは自然に惹かれ合い、愛に満ちているけれど、立ちはだかる障害を迂回しなくてはならないの。私はこういう複雑なラブ・ストーリーを見るのが好き。観客がこの物語に少しでも自分自身を投影してくれて、この2人の人間が歩む旅路にそれぞれの物語を見いだしてくれることを願うばかりよ!」

アンモナイトの目覚め
2021年4月9日(金)公開

画像3: シアーシャ・ローナンが語る『アンモナイトの目覚め』の魅力とは【今月の顔】

1840年代、ライム・レジスに母と二人で暮らすメアリー(ウィンスレット)は歴史的大発見をしたのも遠い過去。今では、生活のために化石を売っている。ある日、ロンドンから化石収集家のロデリック(マッカ―ドル)と妻のシャーロット(ローナン)が訪れる。

監督・脚本/フランシス・リー
配給/ギャガ
出演/ケイト・ウィンスレット、シアーシャ・ローナン、フィオナ・ショウ、ジェマ・ジョーンズ、アレック・セカレアヌ、ジェームズ・マッカードル

© 2020 The British Film Institute, British Broadcasting Corporation & Fossil Films Limited

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