マーベル・スタジオが本格的に再始動
アベンジャーズを超える、『エターナルズ』の全貌が遂に明らかに
マーベル・シネマティック・ユニバース(以下MCU)史上最大のスケールで、新たな最強スーパーヒーローたちを描く最大の話題作『エターナルズ』がついに登場。ドラマの中心となるのは、7000年も前から地球に存在し、密かに人類を見守ってきた超人的な種族〝エターナルズ〞の10人。彼らが『アベンジャーズ/エンドゲーム』(2019)の後の地球を舞台に、あの宇宙最兇最悪の敵サノスを超える脅威に立ち向かう。
原作コミックの作者は、スタン・リーと共にアイアンマン、ハルク、ソーなどを描いた初期マーベルを代表する人気コミック作家ジャック・カービー。彼が1976年から刊行した原作コミック「エターナルズ」では、100万年前に地球を訪れた不老不死の種族セレスティアルズが、3つの種族、人類、人類を守る種族エターナルズ、それに敵対する種族ディヴィアンツを創造し、そこから現在に至る壮大な物語が描かれていく。この映画では、ディヴィアンツの地球襲来まであと7日しかないことが判明し、それを阻止するために、世界各地に点在しているエターナルズの10人が、再び集結することになる。
さらに本作には、もうひとつのドラマがある。マーベル社長ケヴィン・ファイギは、物語の中心人物はエターナルズのセルシで、彼女とエターナルズのイカリス、そして人間の男性デーンの関係がドラマの一部になると語っているのだ。
こうしたドラマのスケールの大きさ、スーパーヒーローの多彩さに合わせて、キャスティングも豪華絢爛。ハリウッドの人気女優アンジェリーナ・ジョリー、英国男優リチャード・マッデン、メキシコ出身のサルマ・ハエック、韓国の大スター、マ・ドンソクら、世界中の人気スターたちが集合した。
監督は、弱冠39歳にして長編第2作『ノマドランド』(2020)でアカデミー賞監督賞を受賞した中国出身の女流監督クロエ・ジャオ。本作も『ノマドランド』同様、可能な限り自然光を使って撮影しつつ、彼女が大好きな日本のコミックの要素も盛り込んだという本作は、これまでのMCU映画とは一味違う、新たなスーパーヒーロー映画が出現する!
注目ポイントはここ!
ポイント1:セルシ、イカリス、デーン、3人の関係が描かれる?
マーベル社長ケヴィン・ファイギの発言によれば、ドラマの中心人物はジェンマ・チェン演じるセルシで、彼女とリチャード・マッデン扮するイカリス、キット・ハリントン演じる人間デーンの3人の関係がドラマの一つになるとのこと。
しかし、この関係は三角関係とはちょっと違うのかもしれない。セルシ役のジェンマによれば、セルシとイカリスの関係は何千年間にも及ぶので、恋人というよりソウルメイトなのだそう。どんなドラマになるのか映画で確かめたい。
ポイント2:キャストにもキャラクターにも多様性あり
今、世界中で重要視されているダイバーシティ=多様性をしっかり反映。監督のクロエ・ジャオは中国生まれの女性監督だし、キャストの出身地も、アメリカ、英国、メキシコ、パキスタン、韓国など多種多様。キャラクターたちの設定にも多様性があり、"MCU史上初"という設定のスーパーヒーロー2人、聴覚障がいを持つマッカリと、ゲイをカミングアウトしているファストスが登場する。
ポイント3:ストーリーにはこんな噂も!?
ディヴィアンツのリーダー、クロは、コミックではアンジェリーナ・ジョリー演じるセナと恋愛関係になる。そこで映画にもこの設定が関係するとの噂も。また、映画にはディヴィアンツだけでなく、その創造主セレスティアルズも登場するとの噂もある。
予告編の複数の目のようなもの持つクリーチャーは、セレスティアルズのリーダー的存在、アリシェムで、予告編にチラッと登場する緑色のクリーチャーは、セレスティアルズのジェミアだとの噂もあるが、さて?
監督クロエ・ジャオは日本のコミックのファン
『ノマドランド』も『ザ・ライダー』もドキュメンタリー・タッチのシリアスな作品だが、ジャオ監督は実はアメコミも日本の漫画も大好き。マーベル社長ケヴィン・ファイギとの面談でも、作風の似たテレンス・マリック監督作についてだけでなく、日本のコミック「ワンパンマン」について語ってファイギを驚かせた。
高校時代は「幽☆遊☆白書」が大好きで、その登場人物の"蔵馬"と呼ばれていたそう。「この映画には日本のコミックの影響がある」と宣言していて、どんな影響なのか楽しみ。
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映画の関連情報をチェック!
『エターナルズ』にはこんな関連情報もある。これを知らなくても映画は楽しめるけど、知っているともっと楽しくなるかも?
1.これまでのMCU映画にリンクあり
今回登場する3つの種族、エターナルズ、その敵種族ディヴィアンツ、彼らを創造した種族セレスティアルズは、これまでのMCUにも登場している。アベンジャーズの敵サノスは、エターナルズから生まれたが、ディヴィアンツの遺伝子を持っていたという特殊な存在。
また『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』(2017)に登場したピーター・クイルの父親エゴは、セレスティアルズ。『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』でコレクターがパワーストーンの説明をする時の映像にも、セレスティアルズらしい存在の姿が登場している。
2.予告編で、サノスとの戦いに参加しなかった理由が判明
『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』(2018)では、最悪の敵サノスとアベンジャーズたちの戦いが繰り広げられたが、エターナルズたちは地球にいたのにこの戦いに参加しなかった。その理由が予告編で判明。デーンに「なぜサノスと戦わなかった?」と聞かれたセルシは「ディヴィアンツがいない限り介入するな、と(決められている)」と返答。エターナルズがサノスとの戦いに参加しなかったのは、そのせいだったのだ。
さらにデーンが「誰が決めた?」と問うと、画面に出現するのが彼らの創造主セレスティアルズと思われる存在。彼らがこの映画でどんな役割を果たすのかに要注目だ。
3.キンゴ役クメイル・ナンジアニはインド映画のダンスシーンに苦戦?
原作コミックのキンゴは日本に住んで時代的スターになるが、映画ではインドに住んでボリウッド映画のスターになる。このキンゴ役を演じるクメイル・ナンジアニは、トレーニングで作り上げた筋肉ムキムキの身体をツイッターで披露してファンを驚かせたが、それ以上に苦労したのが、インド映画お約束のダンスシーン。「リズム感ゼロ」を自称する彼は、この場面のために何ヶ月もダンスの特訓を受けたとのこと。パキスタン出身の彼は、子供の頃はボリウッド映画に夢中になって見まくったそうで、本作のダンスシーンには、彼のインド映画への愛も込められていると語っている。
4.コミックとは性別が違うキャラもいる
本作のエターナルズの中には、コミックとは性別の違うキャラもいる。耳の聞こえないマッカリは、コミックでは男性。また、治癒能力を持つアジャクも原作では男性で、コミックではレスラーで考古学者という設定だった。スプライトは、原作初登場時は男性キャラで、後に殺されて女性として復活したキャラ。映画では女性だが、コミックの設定通りなのかは映画で確かめよう。
5.予告編に“ヴィヴラニウム”が登場
予告編のラストに、イカリスが「机はヴィヴラニウム製?」と言って机を叩くと壊れてしまうというギャグがあるが、このヴィヴラニウムとは、『ブラックパンサー』(2018)に登場した、彼の故郷で産出される特殊な金属の名称。ブラックパンサーのスーツやキャプテン・アメリカの盾も、この物質で作られている。『エターナルズ』本編にも、こういうMCU映画関連ネタが続々出てきそうで楽しみ!
6.エターナルズは、ギリシャ神話の神々が元ネタ?
原作コミックでは、古代の人間たちがエターナルズを見て神だと思ったという設定があり、そのため一部のキャラクターの名前は、ギリシャ神話の神々の名前と似ている。セナは戦いの女神アテナ、イカリスは自作の翼で空を飛ぼうしたイカロス、マッカリは情報の神マーキュリー、ファストスは鍛冶の神ヘーパイトス、セルシは魔女キルケーを踏まえたもの。ギルガメッシュは、古代メソポタミアの叙事詩に出てくる伝説的な王の名と同じだ。
エターナルズ
2021年11月5日(金)公開
アメリカ/2021/ウォルト・ディズニー・ジャパン
監督:クロエ・ジャオ
出演:ジェンマ・チャン、リチャード・マッデン、クメイル・ナンジアニ、リア・マクヒュー、ブライアン・タイリー・ヘンリー
©Marvel Studios 2021