21年前の冬に日本に上陸し、賛否両論を巻き起こした衝撃作『ダンサー・イン・ザ・ダーク』(2000)が4Kデジタルリマスター版として劇場に帰ってきます。2022年6月に国内上映権が終了するため、泣いても笑っても今回が最後の劇場上映。ただし人生を変えてしまう(かもしれない)ほどの影響力を持つ本作、くれぐれも鑑賞にはご注意を。(文・大森さわこ/デジタル編集・スクリーン編集部)

4K デジタルリマスター版先行上映会 参加レポート

ビョークの歌声を全身に浴びてきました!

日本上映権が来年6月で切れるため、4Kデジタルリマスター版が本邦最終上映となる。ロードショーは実に21年ぶり。先行上映会が2021年10月27日夜、新宿ピカデリーで行われた。

まずは「オーヴァーチャー」が流れ、いよいよ本編が始まる。最初は主人公セルマがプレス工場で働く場面が映し出され、やがて頭の中の幻想としてミュージカル場面が登場する。ビョークと大女優、カトリーヌ・ドヌーヴとのコラボ「クヴァルダ」に気分が高揚する。主人公と彼女に思いを寄せる男性(ピーター・ストーメア)が線路で歌う「アイヴ・シーン・イット・オール」はアカデミー主題歌賞候補にもなった名曲で、その切なさに胸がしめつけられる。

とにかく、映画館の大画面がすごく合う作品で4Kになることで映像や音のクオリティもアップ。工場や森の中など日常の延長ともいえる場所で物語が展開するが、映像に独特の奥行きとスケールがある。ヨーロッパ屈指の才人監督のひとり、ラース・フォン・トリアーの骨太の演出に圧倒される。

そして、ひとたび歌い始めると、大画面を縦横無尽にかけめぐるビョークのすごさ。不幸な境遇に置かれつつも息子を愛し、未来を信じるセルマを(演じるのではなく)生き抜いている。大音響の迫力もあり、彼女が歌うたびに涙が止まらなくなる。場内でも終盤では会場中からすすり泣きが聞こえた。

宣伝担当者の話では当日のアンケートでは7割以上の方が「感動した」という項目に〇をつけていたという。見るのは2回目以上という熱心なファンも多く、「音楽が素晴らしい」「見て勇気をもらった」との感想もあったそうだ。

コロナ後、厳しい状況や変化と向き合う場面が増えたが、そんな時代に見直すことでセルマ=ビョークのひたむきな強さが改めて観客に響く作品ではないだろうか。彼女を支える周囲の人々の温かさにも心を動かされる(筆者はかつてこの映画をその年のベストワンにしたが、今年公開でもベストワンにしたかもしれない)。唯一無二のセルマの世界をぜひ映画館で!

『ダンサー・イン・ザ・ダーク』
2021年12月10日(金)より新宿ピカデリー、12月24日(金)よりBunkamuraル・シネマにて《限定上映》。ほか全国順次公開。

画像: 21年ぶりに再上映! 歌姫ビョークの音楽を浴びる『ダンサー・イン・ザ・ダーク』12/10公開

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