『キングスマン』などに大きな影響を与えた伝説のスパイ映画復活
1965年にマイケル・ケイン主演で『国際諜報局』として映画化されたレン・デイトン原作のスパイ小説「イプクレス・ファイル」。当時大人気だった英国スパイ『007』の対極として製作された本作は大ヒットし、主人公のハリー・パーマーは後の『オースティン・パワーズ』や『キングスマン』シリーズなどに大きな影響を与えたことで知られる。
その英国スパイ映画の原点ともいえる作品を装いも新たに57年ぶりに映像化したのが「ハリー・パーマー国際諜報局」だ。『トレインスポッティング』(1996)等で知られるジョン・ホッジが初となるTV用の脚本を執筆。映画では描かれなかったシーンの数々を加え、主要キャラクターの人物像を深堀りし、壮大なスケールのスパイ・サスペンスを生み出した。
主人公ハリー・パーマーを演じるのは「ピーキー・ブラインダーズ」(2013〜)で注目を浴びた若手俳優ジョー・コール。映画版では助手だったジーン役には『ボヘミアン・ラプソディ』(2018)のルーシー・ボイントンが扮し、今回は優秀なスパイとして活躍する。彼らの上司ドルビー役には『キングスマン:ファースト・エージェント』(2021)も記憶に新しいトム・ホランダーが扮するなど、魅力的なキャストが冷戦時代のスパイ戦の世界観を構築する。
主人公ハリー・パーマーは異色のキャラクター
物語のスタートは1963年。軍規違反でロンドンの軍事刑務所に送られた英国陸軍軍曹ハリー・パーマー。そんな彼は服役免除を条件にある作戦への協力を特別諜報機関W.O.O.C.から依頼される。その作戦とは核兵器を開発していた英国人教授が何者かに誘拐され、その行方を探すというものだった。誘拐に関与した人物と面識があったことで目をつけられ諜報員となったパーマーは西ベルリン、ベイルート、アメリカが核実験を行う太平洋環礁へと世界中を駆け巡り、誘拐事件の真相と黒幕を追う。
ハリーはジェームズ・ボンドのようなヒーローとは違って、労働者階級出身で離婚協議中、料理もできる異色のスパイという人物像で、今回映画版よりもさらに原作の持ち味を活かして描きつつ、映画版へのリスペクトを込めたシーンもあり、ファンにとっては何度も見たくなる要素が満載になっている。