今回の特集上映は全12作! コンプリートしたいけれど日程的に難しい&何を見たらいいのか迷う…という方に向けてテーマを提案。ただしこれはほんの一例。あなたなりの“冒険”の楽しみ方を見つけてください。(文・井上健一/デジタル編集・スクリーン編集部)
生誕90周年上映 フランソワ・トリュフォーの冒険
2022年6月24日(金)~ 7月14日(木)東京・角川シネマ有楽町、名古屋・伏見ミリオン座
7月1日(金)~大阪テアトル梅田にて開催他、全国順次公開予定
提供・配給:KADOKAWA ※劇場によって上映作品の変更の可能性あり
これだけは見ておきたい! トリュフォー入門編
- 『大人は判ってくれない』(1959)
- 『突然炎のごとく』(1962)
- 『終電車』(1980)
長編デビュー作『大人は判ってくれない』(1959)は、カンヌ国際映画祭監督賞を受賞するなど絶賛され、〝ヌーヴェル・ヴァーグの旗手〞トリュフォーの名を世に知らしめた原点。奔放なヒロイン、カトリーヌが強い印象を残す『突然炎のごとく』(1962)も、ヌーヴェル・ヴァーグを代表する名作として今も語り継がれている。そして、セザール賞10部門に輝き、興行的にもトリュフォー最大のヒット作となった『終電車』(1980)。まずはこの3本を押さえたい。
同じ俳優が20年間熱演! “アントワーヌ・ドワネル”の成長を追う
- 『大人は判ってくれない』(1959)
- 『アントワーヌとコレット』(1962)
- 『夜霧の恋人たち』(1968)
- 『家庭』(1970)
- 『逃げ去る恋』(1979)
トリュフォーを語る上で不可欠なのが、ジャン=ピエール・レオ主演の〝アントワーヌ・ドワネル〞シリーズだ。『大人は判ってくれない』(1959)『アントワーヌとコレット』(1962)『夜霧の恋人たち』(1968)『家庭』(1970)『逃げ去る恋』(1979)の5作が該当し、孤独な家出少年アントワーヌがやがて恋人と出会い、結婚し、子どもをもうけるなど、少年から大人へと移り行く20年を見つめる。トリュフォーの自伝的要素が特に強く、「ドワネルは自分の分身」とも語っている。
当初は繊細な青春映画だったが、次第にコメディ要素が強めになってくるなど、通して鑑賞することで作風の変化も見えてくる。オーディションで抜擢されたレオが少年から成長していく姿を見守る楽しさも。