その伝説が生まれたのは遡ること13年前。『アバター』の輝かしき記録とともに物語を振り返りましょう!

映画史を塗り替えた『アバター』

(文・渡辺麻紀)

ジェームズ・キャメロンは
『アバター』で偉業を更新

新作を公開するたびに映画史を塗り替えるほどのメガヒット。そんな前人未踏の奇跡を起こし続けているフィルムメーカーがジェームズ・キャメロンだ。最初に注目を集めた1984年の『ターミネーター』のときから現在まで、ドキュメンタリーを除くとわずか7本しか撮っていない寡作な監督にもかかわらず、その人気と信頼性は群を抜いている。

というのも、長編6作目の『タイタニック』(1997)で全米&世界ともに興行収入記録を更新させただけではなく、アカデミー賞では史上最多の14部門にノミネートされ、自身の監督賞や作品賞を始め11部門で受賞。この数は同賞の『ベン・ハー』(1959)や『ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還』(2003)と並ぶ最多受賞となり、まさにすべての面で映画界の頂点に立ったことになる。

そんな凄まじい記録を、誰が、どの作品で破るのかと言われ続けて11年。その偉業を成し遂げたのは、何とキャメロン自身だった。2009年に公開された『アバター』でその全世界興収の記録を更新してしまったのである。決して破られることはないのではないかと思われていた『タイタニック』の1位の座に『アバター』が着いてしまい、その『タイタニック』が2位にランクダウンし、キャメロン作品が1位と2位を占めるという前代未聞の現象を引き起こしてしまったのだ。

オリジナルストーリーながら
ワールドワイド興収は1位を死守

画像: オリジナルストーリーながら ワールドワイド興収は1位を死守

ジェイク(サム・ワーシントン)
下半身不随の元海兵隊員。亡き兄の代わりに「アバター・プロジェクト」に参加。自分勝手な行動が多いが、ネイティリたちとの交流で成長していく。

ネイティリ(ゾーイ・サルダナ)
聖なる木のもとで暮らすオマティカヤ族の族長の娘。たくましいハンター。あることから、他所者のジェイクにナヴィの生き方を教えることになる。

この『アバター』、130か国で随時公開されたときは、そのすべての国で初登場1位を獲得。全世界興収では(当時)史上最速の17日間で10憶ドルを達成し、日本では公開3週間で50憶円を突破。1位の座を2か月以上、9週にわたりキープし続けた。

公開10週目で他作品(同じ20世紀FOX配給の『パーシー・ジャクソンとオリンポスの神々』(2010)だった)に(観客数で)1位を奪われたとはいえ、単価の高い3D観客が多かったため、興収だけでは依然、1位ではあった……というような異例ずくめの『アバター』ニュースが、公開された2009年の暮れから2010年の3月くらいまで、ずっとネットを騒がせていたほどだ。

全米の興行収入ではその後、『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』(2015)や『アベンジャーズ/エンドゲーム』(2019)等に抜かれ4位に留まっている『アバター』だが、2021年に中国で再上映された数字が加算されワールドワイドではいまだに1位を死守。上位を占める作品のすべてがシリーズもののなかにおいて、本作はキャメロン自らのアイデアによるオリジナルストーリーというのも特筆に値する。

3Dの普及にも貢献
映像技術を前進させた

そしてまた、『アバター』を語るときに外せないのは3Dである。それまでもロバート・ゼメキスらが3Dというフォーマットでの上映にチャレンジしていたが、人気のほうはイマイチ。そんな不評を見事クリアし、(日本での)本作の場合、3Dのシェアは87%という数字を残し、3D映画というカテゴリーでもいまだに1位をキープしている。

そもそもキャメロンは本作を3Dの普及かつ、フィルムメーカーたちへの布教のために作ったところもある。劇場の大きなスクリーンと最新の設備によってのみ楽しめる映画のフォーマットこそが3Dだと考えたからだ。そして、製作に膨大な時間がかかったのも、その技術を開発しなければいけなかったからに他ならない。欲しい映像、作りたい映画があるなら、まずは技術を開発するところからスタートする。それがキャメロンの映画製作のやり方で、本作でも3Dカメラを開発している。

彼の作品は興行成績を塗り替えるだけでなく、映像技術も前進させていることも忘れてはいけない。『アバター』はアカデミー賞では作品賞&監督賞を始めとした9部門でノミネート。視覚効果賞、美術賞、撮影賞の3部門で受賞し、興行のみならずクオリティの面でもちゃんと記録を残している。

今年、その続編となる『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』が公開されるが、この作品もまた『アバター』を超えてくるのか? そして、いつの間にか表舞台から遠ざかっていた3Dが再び活性化されるのか? そういう点でも大いに気になるのだった。

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