最新作『貞子DX』の公開で再び脚光を浴びるホラー・ヒロイン“貞子”。これだけ恐ろしいにもかかわらず、観客を楽しませ、何度も蘇る人気の秘密は何でしょうか? これまでのシリーズ過去作品を振り返り、貞子や犠牲者たちを演じたヒロインの変遷などもまじえながら、日本が誇るホラーの歴史を紐解いてみましょう。(文・久保田明/デジタル編集・スクリーン編集部)

続編が製作される毎にマルチバース的な体裁を整え始める

画像: 『リング2』(1999)

『リング2』(1999)

リング2』(1999)は中田秀夫演出、高橋洋脚本による『リング』のヒットを受けて製作された正規の続篇。以後シリーズはこちらの時間軸にそって展開することになる。『リング』『らせん』で高野舞を演じた中谷美紀が主演。松嶋菜々子と真田広之も同じ役柄で顔を見せている。

撮影は山本英夫。『富江replay』(2000)『着信アリ』(2003)など当時多くのジャパニーズ・ホラーに参加しており、また『フラガール』(2006)『今夜、ロマンス劇場で』(2018)などでも腕前を発揮した俊英である。本作での恐怖シーンもムード満点。貞子は『リング』の伊野尾理枝が、その被害者となる女子高校生を深田恭子が演じたのも話題だ。

リング0〜バースデイ〜』(2000)は、時間軸を巻き戻して『リング』の事件から30年前、昭和43年の出来事に材をとった物語。劇団に入団した18歳の貞子が主人公という異色作で、『リング』シリーズはこのあたりからいまでいう“マルチバース”的な体裁を整えてくる。

画像: 『リング0~バースデイ~』(2000)

『リング0~バースデイ~』(2000)

貞子を演じたのは新人時代の仲間由紀恵。貞子の悲恋と最期を描くこの作品で注目された彼女は、テレビ版の「トリック」や「ごくせん」を経て『武士の家計簿』や『大奥』といった話題作にも出演する人気女優となった。貞子が参加した劇団を主な舞台にした一種のステージ物になっており、そこで貞子の陰と陽の物語が描かれる。演出は「ほんとにあった怖い話」の鶴田法男。事件の調査をするのは元キャンディーズの田中好子だ。

画像: 『貞子 3D』(2012)

『貞子 3D』(2012)

貞子3D』(2012)と『貞子3D2』(2013)はPCを通して伝搬する呪いの動画を題材にした作品。『リング0〜バースデイ〜』から12年ぶりに作られた貞子映画で、題名で示されるように共に3D立体映画として製作された。

その昔、『リング』ではヒロインが訪ねた山荘に貸し出し用ビデオ(『トップガン』など懐かしい作品ばかり!)があり、そのなかに呪いのビデオが置かれていたわけだが、忌まわしいビデオテープといってももう通じはしない。貞子もネット社会に合わせ呪いをアップデートさせているのだ。演出は共に英勉(はなぶさ つとむ)。

ヒロインは石原さとみ(『貞子3D』)と瀧本美織(『貞子3D2』)、前者で橋本愛が貞子を演じたことも大きな話題を呼んだ。モンスター的な造形に進化した貞子登場だった。

画像: 『貞子 3D2』(2013)

『貞子 3D2』(2013)

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