カバー画像:『マチェーテ』(2010)より
多くの映画に彩りとパワーを与える〝爆発〞
アクション映画の華といえば、これはもう爆破シーンに尽きる。轟音とともに高らかに舞う炎と黒煙、そして粉々に砕け散る物体。間近でそれが起こったら危険極まりないが、スクリーンを通してみる虚構のそれは打ち上げ花火のように豪快で、まさしく華々しい。
アクションスターを振り返っても、爆破シーンを背景にして映える俳優は多い。シルヴェスター・スタローンやアーノルド・シュワルツェネッガー、ジャン=クロード・ヴァン・ダム、ドウェイン・ジョンソンといった、チカラコブ自体が爆弾のようにみなぎる肉体派は言うまでもないし、マット・デイモンやダニエル・クレイグらソリッドなアクションを持ち味とする役者にも合う。
さらに言えば、お笑い寄りのアクションで“死んでるよ!”とツッコミを入れたくなるベン・スティラーやウィル・フェレルのようなコメディスターをも引き立ててしまう。そういう意味で、爆破シーンはなんともマジカルだ。
そのマジックを生み出すうえで、監督の存在も忘れるわけにはいかない。『バッドボーイズ』(1995)をはじめとする諸作で爆破を演出してきたマイケル・ベイや、『スピード』(1994)で爆破とカーチェイスのスリルを融合させたヤン・デ・ボン、『カットスロート・アイランド』(1995)で巨大船のセットを建造して、それを丸ごと吹き飛ばしたレニー・ハーリン、『インデペンデンス・デイ』(1996)でホワイトハウスを大爆破させたローランド・エメリッヒなど、破壊王の異名をとるヒットメーカーたちは、アクション映画史に大きな足跡を刻み付けた。
近年ではジョージ・ミラー監督による『マッドマックス 怒りのデス・ロード』(2015)での爆破仕事が思い出される。ご存知、人気シリーズ30年ぶりの復活作。荒廃した未来を行くアウトローの物語は、複雑に組み立てられた肉弾&カーアクションによって盛り上がり、タンクローリーの爆破でピークに達するのだから、アツくならざるをえない。
本特集では編集部がお勧めする、そんな爆発映画を紹介。エキサイティングなスペクタクルを体感せよ!