ちょっと癖のある客たちを温かく迎え入れる古書店主のリベロが、ある日、店の外で本を眺める移民の少年エシエンに声を掛け、好奇心旺盛な彼に本を貸し与え始める。エシエンはリベロが語る読書の素晴らしさに熱心に耳を傾け、2人は感想を語り合ううちに、いつしか友情で結ばれていく。映画『丘の上の本屋さん』は “イタリアの最も美しい村”のひとつ、チヴィテッラ・デル・トロントを舞台に、丘の上の小さな古書店で繰り広げられるハートウォーミングな物語です。心優しい店主リベロ役を務めたのは、『フォードvsフェラーリ』(2019)、『我が名はヴェンデッタ』(2022)のレモ・ジローネ。公開を前にレモ・ジローネ氏にお話をうかがいました。(取材・文/ほりきみき)

本に一生を捧げてきたリベロ

──本作はイタリアの最も美しい村のひとつ、チヴィテッラ・デル・トロントを舞台に、古書店の店主リベロと集まってくるユーモラスで個性あふれる人々との交流を描いています。脚本を読んでいかがでしたか。

クラウディオ・ロッシ・マッシミ監督と映画を撮るのは2回目です。かなり前からの友人なので、脚本を書き始める前から「次はこういう作品にしたい」と話を聞いていました。その頃から素晴らしい作品になりそうだと思っていましたが、出来上がった脚本を読んで、思っていたとおりの素晴らしい作品になっていました。私が演じるリベロについては、「こういう人生を送りたかった」と思える人物でした。

画像: 本に一生を捧げてきたリベロ

──リベロの過去については描かれていません。リベロがどんな人生を歩んできたと思って演じられましたか。

大変な読書家で本への造詣が深く、若いときにこの小さな町で本屋を開き、自分が接する人に知識を運ぶ。そういう暮らしをずっと続けてきた。本に一生を捧げてきた人だと思いました。

作品の中でニコラから「本当に女心に疎いな」と言われますが、恋は物語として読んだことはあっただろうけれど、誰かと本当に恋愛をしたことはなく、ずっと独身だったと思います。彼の人生は本にあったといえるでしょう。

ちなみにお店に置いてあった本は監督のお父さんの蔵書です。そのことからも、彼がずっとこれらの本に囲まれて、1人で生きてきたんだなという印象を受けました。

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