『ドライブ・マイ・カー』(2021)が日本映画として国際長編映画賞を13年ぶりに受賞するなど昨年も多くのドラマが生まれたアカデミー賞。今年はどんな記録やサプライズが待っているのでしょうか。アカデミー賞をもっと面白く観るための10の注目ポイントです。(デジタル編集・スクリーン編集部)

日本でも大ブームとなった『トップガン マーヴェリック』『RRR』はどうなる!?

ポイント1:『トップガン マーヴェリック』作品賞受賞なるか

画像: 『トップガン マーヴェリック』 ©2022 Paramount Pictures.

『トップガン マーヴェリック』

©2022 Paramount Pictures.

今回のアカデミー賞の最大の注目ポイントの一つが、日本でも社会現象を巻き起こした『トップガン マーヴェリック』(2022)が作品賞を受賞するかどうか。現在米メディアの多くは、最多10部門11ノミネートの『『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』を作品賞最有力としているが、対抗馬として『トップガン マーヴェリック』を推す声も。昨年の『コーダ あいのうた』(2022)のサプライズ受賞のような例もあり、コロナ禍で危機に瀕した映画館の救世主となった『トップガン マーヴェリック』の功績を考えれば、受賞もおかしくはないという状況。続編・シリーズ映画が作品賞を受賞したのはアカデミー賞の100年近い歴史の中で『ゴッドファーザー PARTII』(1975)と『ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還』(2004)の例があるのみで、受賞すれば歴史的快挙となる。

ポイント2:トム・クルーズがオスカー像を握る可能性も

画像: トム・クルーズとジェリー・ブラッカイマー Photo by Christopher Jue/Getty Images For Paramount Pictures

トム・クルーズとジェリー・ブラッカイマー

Photo by Christopher Jue/Getty Images For Paramount Pictures

『トップガン マーヴェリック』が作品賞にノミネートされたことで、主演だけでなく製作者の一人としても名を連ねるトム・クルーズはプロデューサーとして初ノミネート。トムは俳優としては『7月4日に生まれて』(1989)『ザ・エージェント』(1996)『マグノリア』(1999)で三度アカデミー賞にノミネートされているが、受賞経験はなく、“無冠の帝王”とも呼ばれる。

今回も主演男優賞でのノミネートは逃し、米メディアやファンの間では「映画界を蘇生させたトムを祝福しないのはおかしい」と議論の的になったが、『トップガン マーヴェリック』が作品賞を受賞すればトムもプロデューサーとして初受賞となり、壇上でオスカー像を握る姿も実現するかもしれない。

ポイント3:“ナートゥ・ダンス”がいよいよ世界の大舞台へ

画像: 『RRR』 ©2021 DVV ENTERTAINMENTS LLP.ALL RIGHTS RESERVED.

『RRR』

©2021 DVV ENTERTAINMENTS LLP.ALL RIGHTS RESERVED.

『トップガン マーヴェリック』に続いて“追いRRR”という言葉も生まれ、日本でも一大旋風を巻き起こしているインド映画『RRR』(2022)。作品賞ノミネートはならなかったものの、劇中歌「ナートゥ・ナートゥ(Naatu Naatu)」が歌曲賞にノミネートされ、インド映画の楽曲として史上初の快挙となった(『スラムドッグ$ミリオネア』(2009)でA・R・ラフマーンがインド人初のアカデミー賞作曲賞・歌曲賞を受賞しているがこちらは英米合作)。「ナートゥ・ナートゥ」はゴールデングローブ賞主題歌賞を受賞しており、オスカー受賞への期待も十分。“踊ってみた動画”などでも人気の“ナートゥ・ダンス”生パフォーマンスも授賞式で披露される予定だという。

初受賞や最高齢受賞など今回も様々な〝新記録〞誕生の予感

ポイント4:マーベル映画の歴史に新たな1ページが刻まれる

画像: MCU初となるゴールデングローブ賞を獲得したアンジェラ・バセット  Photo by Amy Sussman/Getty Images

MCU初となるゴールデングローブ賞を獲得したアンジェラ・バセット

Photo by Amy Sussman/Getty Images

『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』(2022)のアンジェラ・バセットが助演女優賞にノミネート。これはマーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)の俳優として史上初の快挙。受賞すればスーパーヒーロー映画全体でヒース・レジャー(『ダークナイト』(2008))、ホアキン・フェニックス(『ジョーカー』(2019))に次いで3人目の受賞となり、女優賞受賞は初めてとなる。彼女のノミネートは1993年の『TINA ティナ』(1993)に続いて二度目で、ウーピー・ゴールドバーグ、ヴィオラ・デイヴィス、オクタヴィア・スペンサーと並び、アカデミー賞に複数回ノミネートされた数少ない黒人女性の一人となった。

ポイント5:アジア勢にとって歴史の大きな転換点に

画像: 『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』 © 2021 A24 Distribution, LLC. All Rights Reserved.

『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』

© 2021 A24 Distribution, LLC. All Rights Reserved.

今年のアカデミー賞を語る上で欠かせないのがアジア勢の躍進。『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』で初のアカデミー賞にノミネートされたミシェル・ヨーが受賞すればアジア人として初の主演女優賞受賞となる(ノミネートは1936年に母がアジア系のマール・オベロンが『ダアク・エンゼル』(1936)で候補になって以来87年ぶり)。

また同作で彼女の夫役を演じるキー・ホイ・クァンも助演男優賞にノミネート、さらに同作のステファニー・スー、『ザ・ホエール』(2022)のホン・チャウが助演女優賞の候補になっており、演技部門で四人のアジア系俳優が候補になるのは史上最多。

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