ポイント6:巨匠スピルバーグが『ローマの休日』監督の記録に並ぶ
『フェイブルマンズ』(2023)がアカデミー賞作品賞にノミネートされたことで、スティーヴン・スピルバーグは監督作の作品賞ノミネート回数が13回となり、『ローマの休日』(1954)『ベン・ハー』(1960)などの名匠ウィリアム・ワイラーと並んで最多タイとなった。また監督賞でも9回目のノミネートを果たし、こちらもマーティン・スコセッシ監督と並んで現役監督の最多ノミネート記録(監督賞史上最多ノミネート記録はワイラーの12回)。もし監督賞を受賞すれば『シンドラーのリスト』(1993)『プライベート・ライアン』(1998)に続く三度目となり、最多4回受賞のジョン・フォードに迫ることになる。
ポイント7:主演男優賞候補者は全員初ノミネート
『ザ・ホエール』のブレンダン・フレイザーら今回の主演男優賞候補になっている5人は全員これが初ノミネート。これはなんと第7回アカデミー賞以来、88年ぶりという歴史的な出来事(このときの主演男優賞候補者は3人で、受賞したのは『或る夜の出来事』のクラーク・ゲーブルだった)。今年はこの主演男優賞以外も、初ノミネートとなった俳優が多いのが特徴。演技部門全20枠のうち、じつに16人が初ノミネートとなった。この中から何人の初受賞者が誕生するのか注目だ。
ポイント8:91歳の映画音楽の巨匠が新記録樹立へ
現在91歳の映画音楽の巨匠ジョン・ウィリアムズは『フェイブルマンズ』で作曲賞にノミネートされ、アカデミー賞史上最高齢ノミネート記録を更新した。ウィリアムズのノミネートは53回目で、これは個人のノミネート回数としては現役最多であり、ウォルト・ディズニーの59回に続く史上2番目の記録。現在の最高齢受賞記録は、『君の名前で僕を呼んで』(2017)で脚色賞を受賞した当時89歳のジェームズ・アイヴォリーだが、もしウィリアムズが受賞すれば91歳の史上最高齢受賞者が誕生する。
ポイント9:アンソニー・ホプキンスを超える記録が誕生?
『フェイブルマンズ』で助演男優賞にノミネートされたジャド・ハーシュは現在87歳。これは演技部門では『ゲティ家の身代金』でノミネートされた当時88歳のクリストファー・プラマーに次ぐ2番目の最高齢記録で、もし受賞すれば『ファーザー』のアンソニー・ホプキンス(当時83歳)を超えて最高齢受賞となる。1980年の『普通の人々』(1980)でアカデミー賞にノミネートされたハーシュはこれが42年ぶりのノミネート。これはノミネート間隔が最も空いた俳優の記録としてアカデミー賞史上1位。
ポイント10:撮影賞部門で初の女性受賞者誕生なるか
オーストラリアの撮影監督マンディ・ウォーカーは『エルヴィス』(2022)で撮影賞にノミネート。この部門にノミネートされた史上3人目の女性となった。過去にノミネートされた2人、『マッドバウンド 哀しき友情』(2017)のレイチェル・モリソンと『パワー・オブ・ザ・ドッグ』(2021)のアリ・ウェグナーの受賞はならなかったため、ウォーカーが受賞すれば史上初。ちなみに彼女は次回作としてディズニーの『白雪姫』実写版を撮影することが決まっている。