上原ひろみから「天才」と言われ感激したという立川監督
公開から約2か月経つが、鑑賞した観客から絶賛コメントが広がり、原作ファンのみならず多くの映画ファンから圧倒的な支持を集め、現在観客動員63万人を突破する大ヒットを記録している本作。本編の4分の1がライブシーンで占めていることでも話題を呼んでいるが、公開直後から「思わず拍手しそうになった!」「心の中でスタンディングオベーションした!」など多くの熱いコメントが寄せられている。
今回イベントが行われたチネチッタでは、ライヴプロデュース集団クラブチッタと手掛ける最新鋭のハイエンド音響装置〈LIVE ZOUND〉のスクリーンで上映。拍手をしながらの鑑賞も歓迎され、ライブハウスのような一体感となった上映に。
そんな中、本作を手掛けた立川譲監督がステージに登壇。多くのリクエストを受けての2回目の開催となった本ティーチインイベントに際し、「公開から2ヶ月近く経ってもこんなにたくさんのお客様にお越しいただけて嬉しいです。ありがとうございます。音響の良い映画館なので、ライブ会場にいるかのような体験ができたのではないかと思います。今日は宜しくお願いします!」と笑顔で挨拶した。
多くの拍手に包まれ、トークイベントがスタート。反響について聞かれると、「友達の高校生のお子さんが映画館で『BLUE GIANT』を観てくれて、観終わった後に『私って適当に生きているな』って呟いていたと聞いて、ちゃんと届いているなって思い、ぐっときた」と言い、「この映画を観て、今頑張っている人もいるし、頑張れない時もあると思うが、頑張ってる人たちってすごいなと思ってくれるのがすごく嬉しいです」とコメントした。
また、ライブシーンで上原ひろみと印象に残っているやりとりを聞かれると、「ダビング作業の時に、上原さんにどうやってライブシーンの絵を作っていったのか?と聞かれ、演奏者が観ている景色の話になった」と言い、「ライブシーンでは、カメラが引いて客観的なアングルになったり、主観の視点に切り替わったりする表現が、演奏者の感覚に近いそうで、絵とすごくマッチしている」と上原から褒められ、それに対し、監督は「何回も音楽を聴きながら、ああでもないこうでもないと試行錯誤していった結果生まれました」と漠然とした答えをしてしまったと言うが、それ対し、目を丸くして「天才ですね!」と上原に言ってもらえて本当に嬉しかったと当時の気持ちを明かした。
また、こだわりのライブシーンについて話す中で、監督自身も制作のスタート時から1年以上サックスを習いに行っていたエピソードが明かされ、作品に向き合う真摯な姿勢に客席からも拍手が起こった。
改めて制作を振り返って、監督にとって一番チャレンジングだったのはどういったところかと聞かれると「ジャズのライブシーンが毎回同じものにならないように、曲ごとに絵を変えるようにチャレンジしました」と回答。また、演奏時の体の動きについては「複数の技術を使っているが、作画の参考には上原さんや馬場さん、石若さんのレコーディング時の映像をカメラを20台くらいで撮影し、それをもとに絵を作っていった」と驚きの制作エピソードも語られた。
イベント後半の客席からの質疑応答では、劇中に何度か登場する黒猫はどういった意図で登場させたのか?と聞かれると、「黒猫は重要キャラクターとして描いていて、原作にもあるシーンだが、前を突き進んでいく姿が大自身と重なるように映画でも登場させた」と解説。映画の冒頭シーン、雪の中足跡を残してまっすぐ進んでいく黒猫と、サックスを通してさまざまな人に影響を与えながら前を向いて進んでいく大が重なっている。
最後に監督は「もっとみなさんに感謝の言葉をお伝えしたいし、もっともっと質問にも答えていきたいので名残惜しいですが、まだまだすごく良い音響で映画をお楽しみいただける機会も残されておりますので、是非また劇場に足を運んでいただけたら嬉しいです」と締めくくり、溢れんばかりの拍手の中、イベントは終了した。
『BLUE GIANT』
全国公開中
配給:東宝映像事業部
原作:⽯塚真⼀「BLUE GIANT」(⼩学館「ビッグコミック」連載)
©2023 映画「BLUE GIANT」製作委員会 ©2013 ⽯塚真⼀/⼩学館