幼いころに生き別れた姉を探し続ける孤児の主人公・星矢が小宇宙(コスモ)と呼ばれる内なる力に目覚め、修行の末、“聖闘士”と認められた者だけが身に纏う事が許される防具・聖衣(クロス)を手に入れ、女神アテナの生まれ変わりであるシエナを守る。『聖闘士星矢 The Beginning』は車田正美原作の伝説的マンガを原作としたハリウッド作品です。星矢を演じる新田真剣佑が研ぎ澄まされたアクションで魅せ、ショーン・ビーン、ファムケ・ヤンセンが作品を支えています。公開を機にメガホンをとったトメック・バギンスキー監督が来日。作品について語っていただきました。(取材・文/ほりきみき)

ショーン・ビーン、ファムケ・ヤンセンが二面性を演じ切る

──アルマン・キドの役どころをショーン・ビーンとどのように作っていかれましたか。

キドはグラードとは真逆な役どころで、観客には信頼できるキャラクターに見えるし、好感度も高い。しかし、過去にいろんなことをしてきたことが後々わかってきます。償いきれない過去を背負っていることは本人もわかっていて、その痛みが目に浮かんでいると説明したところ、ショーンはすぐに理解してくれて、それ以上の説明は必要ありませんでした。ショーン・ビーンは世界屈指の俳優だと改めて実感しました。

画像: (右)アルマン・キド(ショーン・ビーン)

(右)アルマン・キド(ショーン・ビーン)

──ヴァンダー・グラードを演じたファムケ・ヤンセンについてはいかがでしょうか。

グラードの中にある二面性、ラスボス的なところと母性。これはとても意識した点です。人は100%悪でも、100%善でもない。誰しもが二面性を抱えつつ、善のため、愛のために抗って戦おうとする。そういうところを誰しもが共感できるように、よく考えた上で描いているつもりです。

画像: ヴァンダー・グラード(ファムケ・ヤンセン)

ヴァンダー・グラード(ファムケ・ヤンセン)

ファムケといちばん話したのはグラードが抱えている葛藤でした。戦の女神であるアテナが目覚めることは人類に対する脅威であり、過去に起きたある出来事でグラードは誰よりもそれがわかっている。だから必要悪としてアテナであるシエナを殺めようとするわけですが、グラードは育ての親でもあるので、母性を抑えてその決断を下すことにものすごい葛藤を抱えているのです。

シエナが痛めつけられるシーンがありますが、そこでグラードの中の母性が再び強くなるという描写をしました。ここに関してはファムケからもいろいろな提案がありましたし、母親としてのグラードの温かさをどう表現するのかをとてもよく考えた上で演じてくれました。ファムケは本当に素晴らしい女優です。

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