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第1位 ドミニク・トレット（ヴィン・ディーゼル）＆ブライアン・オコナー（ポール・ウォーカー）
For Paul. 世界中が愛する“永遠の兄弟”
“さよならも言わずに行くのか？”──『ワイルド・スピード SKY MISSION』のラストで、ブライアンが車越しにドミニクに笑って語りかける。ふたりの車が別々の道を行く俯瞰のシーンを含めて、このセリフを忘れることをできないファンは、多いのではないだろうか？
そもそも“ワイスピ”伝説は第一作目、ドミニクとブライアンの、ストリートカーレースでの出会いから始まった。強盗団の首領と潜入捜査官。いわば敵同士である彼らが、スピードへのこだわりやスリルを介して、不思議な絆で結ばれていく。
そしてブライアンが重傷を負ったドミニクの仲間を救うために自身の正体を明かしたとき、彼はドミニクを逮捕するのではなく、逃すという選択をする。それはドミニクの度量の大きさに応える、唯一の方法だったのだろう。
彼らの再会は４作目を待たねばならなかった。かつて自分を騙したブライアンをドミニクは許せずにいたが、ともに麻薬組織を追ううちに、おたがいのために命をかけることで絆は復活。めでたく組織を壊滅に追い込んだが、逮捕されたドミニクはこの手柄による情状酌量を考慮しても25年の服役という重いものだった。ここでブライアンは腹をくくる。ドミニクを脱獄させる―それは司法の側から犯罪の道に転じることを意味していた。
これ以後、ドミニクのチームに加わったとブライアンはドミニクの妹ミアと結ばれ、深い意味で“ファミリー”の一員に。彼らは共に行動し、幾度となく危険な冒険を繰り広げては、死線を乗り越えることになる。強力なリーダーシップを持つドミニクも、チーム内では彼を誰よりも頼れる相棒と認めていた。
しかし、それは7作目『～SKY MISSION』で終わりを迎える。ドラマの上では、家庭を持ったブライアンが危険な仕事から足を洗うという設定。しかし、ファンは知っている。ブライアンを演じたポール・ウォーカーが、すでにこの世にいないことを。
同作の撮影をわずかに残していた2013年11月30日、友人の車の助手席に乗っていた際に事故が起こり、帰らぬ人となったウォーカー。ブライアンと同様に日本車を愛し、所有していた彼の姿を、スクリーンでもう見ることはない。それでもドミニク役でプロデューサーでもあるヴィン・ディーゼルは、ブライアンが生きているという設定でシリーズの続行を決めた。
さよならも言わずに行ってしまったウォーカー。ディーゼルはその後もウォーカー家と、家族ぐるみのつきあいを続けており、ウォーカーの愛娘でモデル兼女優のメドウ・ウォーカーがシリーズに出演する可能性があることを示唆している。
また、次の完結編ではドミニクとブライアンの絆のエピソードにも、なんらかのフィナーレをあたえる意向のようだ。
“どこにいようが……いつも一緒だ。永遠の兄弟だ”──『～SKY MISSION』は、そんなドミニクのモノローグによって締めくくられる。ブライアンには元気でいて欲しい。それはドミニクと彼のファミリーだけでなく、我々ファンの願いでもある。
ヴィン・ディーゼル（画像右）
1967年7月18日、ニューヨーク州生まれ。1994年に短編映画『Multi-Facial（原題）』を制作し、カンヌ国際映画祭で高い評価を得る。今作をきっかけにスティーヴン・スピルバーグの目に留まり『プライベート・ライアン』（1998）に出演。2001年から始まった『ワイルド・スピード』は人気シリーズとなり、4作目『ワイルド・スピードMAX』から製作も務めている。
ポール・ウォーカー（画像左）
1973年9月12日、カリフォルニア州生まれ。2歳の頃からCMでモデルとして活動を始め、1980年代には子役として映画やドラマに出演。高校進学後は俳優業から離れ、TVドラマ「The Young and the Restless（原題）」（1993）で復帰。『ワイルド・スピード』（2001）にてブレイクし、一躍スターに。しかし、『～ SKY MISSION』（2015）の撮影期間中に、交通事故で帰らぬ人となった。
『ワイルド・スピード／ファイヤーブースト』
2023年5月19日（金）公開
アメリカ／2023／配給：東宝東和
監督：ルイ・レテリエ
出演：ヴィン・ディーゼル、ミシェル・ロドリゲス、タイリース・ギブソン、クリス・“リュダクリス”・ブリッジス、ジェイソン・モモア、ナタリー・エマニュエル、ジョーダナ・ブリュースター、ジョン・シナ、 ジェイソン・ステイサム、 サン・カン、アラン・リッチソン、ダニエラ・メルシオール、 スコット・イーストウッド、 ヘレン・ミレン、シャーリーズ・セロン、ブリー・ラーソン、リタ・モレノ
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