今回、本作のプロモーションのため初来日を果たした彼のインタビューが実現。取材部屋に入ると、彼は爽やかに「ハローハローこんにちは」と挨拶し、取材陣を明るい笑顔で迎えてくれた。取材中はユーモアを交えながら、真摯な言葉で本作への想いや撮影秘話を語ってくれたマイケル。初監督作となった本作の現場は彼にとってどんな経験になったのか。貴重なインタビューをお楽しみください!(取材・文:奥村百恵/編集:SCREEN編集部)
“期待しないなんて間違っているぞ!”と言えるぐらいチャレンジしようと思えた
ーー本作で初めて監督を務められましたが、前2作を手がけたライアン・クーグラー監督にアドバイスを求めることはあったのでしょうか?
「もちろん、ライアンからは色々とアドバイスをもらいました。今回は主演と監督だけじゃなく、製作にも関わることになったので、そういった経験のある友人、例えばデンゼル・ワシントンやブラッドリー・クーパーからもアドバイスをもらいましたし、クリストファー・ノーラン監督にも“監督をやるには何に注意すべきか”を聞きました」
ーー監督として、本作でどのようなチャレンジができましたか?
「『ロッキー』から数えると本作は9本目になるので、シリーズのファンはそこまで真新しいことを期待していないことはなんとなくわかっていました。でも、それが逆に自分の気持ちを奮い立たせたというか、“期待しないなんて間違っているぞ!”と自信を持って言えるぐらいこの映画で色々チャレンジしてみようと、そんな風に思えたんです。なのでトレーニングシーンのモンタージュと、ファイトシーン(ボクシングの試合の場面)はかなりこだわって撮影しましたね」
ーー本作のファイトシーンが前2作を上回るリアルさで圧倒されました。撮影に関してどのような工夫をされたのでしょうか?
「このシリーズの最大の見せ場と言えるのは、やはりファイトシーンですが、前2作を通してあらゆるパンチの見せ方をやってきたので、もう新鮮なアイデアは正直なかったんです(笑)。そこで思いついたのが、IMAXカメラを使って撮影することでした。IMAXカメラだとあらゆる情報を画面に詰め込めるので、やってよかったと完成を観て実感しました。それからもう一つ、日本のアニメの影響を受けて、ボクシングで戦う人たちの心情を視覚化することにもトライしました」
ーー「はじめの一歩」や「NARUTO -ナルト-」などの影響を受けたと聞きました。
「そうです。そういったアニメ作品は、登場人物の心情を視覚的言語で描いているので、それを参考にしています。それから、“他のボクシング作品との差別化を図るために何が必要か”というのも今回ものすごく考えました。
本作には3つのファイトシーンがありますが、1つ目はエレガンスと知性をテーマに描き、2つ目はジョナサン・メジャース演じるデイムとホセ・ベナビデス演じるフェリックスの戦いなので、暴力性や危険性を感じてもらえるような描き方をしました。
そして3つ目のファイトシーンでは、1つ目と2つ目で描いたもの全てを混合させて、さらに闘う二人の特別な関係性や、“勝利を手にするために相手に仕掛ける罠”なんかもしっかりと見せることを意識しました。これによって、他にはないボクシング映画になったと思います」
ーー監督をご経験されたことで、俳優としてのご自身に何か影響を与えたと感じることはありましたか?
「監督を経験して学んだことは、ペースとリズムです。特に映像や音の編集を行うポストプロダクション(映画やドラマなどの撮影後に行われる仕上げ作業)の時にそれを強く実感しました。例えば、ペースとリズムを大事にしながらじっくりと作業を進めていくと、“あともうワンティク撮っておけばよかった”と後悔することが結構あったんですよね。
なので、これから俳優として作品に参加する時は、監督のために使えるカットを増やしてあげなくちゃと思って(笑)。それが監督を経験して学んだことですね」
ーー今後はどのような作品を監督として撮ってみたいですか?
「映画祭に出品されるようなもの。つまり登場するキャラクターが物語を引っ張るような小規模な作品ということです。それから、1つの世界観で作られているような大作映画も大好きなので、そういう作品を監督として撮ることにも興味があります」
ーー最後の質問になりますが、マイケルさんにとってクリードシリーズはどのような存在ですか?
「嬉しいことに『クリード』シリーズを観た子供たちは、僕が演じたアドニスに憧れを抱いてくれます。もちろん、『ロッキー』をリアルタイムで鑑賞して以来、50年近くこのシリーズを愛してきたファンの方も大勢いますよね。そういった方々の気持ちはどんなものなのかと、撮影中に思いを馳せることもありました。
そんな素晴らしいシリーズを『クリード』の主演として受け継いだことは、人生においてすごく重要なことで、自分のレガシーの一部になったのではないかなと思います。面白いことに、いまはシリーズの世界観をアニメや漫画、リミテッドシリーズやスピンオフといったいろんな方法で広げられるので、新しいクリードを展開できたらいいですよね。だけど“ベタだな”と思われるようなダサいことはしたくないので、もし僕がヤバいものを作り出そうとしていたらすぐに止めてください(笑)。約束ですよ!」
『クリード 過去の逆襲』
5月26日全国ロードショー
IMAX®/Dolby Cinema®/4D同時公開
配給:ワーナー・ブラザース映画
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