本記事では作品の内容に大きく触れています。ネタバレを避けたい方はご注意を!
ポイント1:前作以上のスケールで展開!何気ないシーンもクール
アニメ映画として大傑作、アメコミ映画として本格的にマルチバースを真正面から描いた『スパイダーマン:スパイダーバース』(2018)。これを超える作品を作るというのは大きなチャレンジだったと思いますが『アクロス〜』は前作以上のスケールと興奮をもたらしてくれました。
前作はマイルスの世界に各バースのスパイダーマンたちが来る、というストーリー。今回はマイルスがスパイダーバースを旅する、そして様々なスパイダーマンたちと出会う。従って描かれる世界も、登場するキャラも大幅増量。1つ1つの世界、キャラに合わせたビジュアルが用意されており、視覚的にも刺激的で楽しませてくれます。
スパイダーマンのアクションも前作以上の臨場感と迫力。戦闘シーンもすごいですが、マイルスが階段を急いでくだりながらスパイダーマンの衣装を着替えるみたいなさりげないシーンもクール。
ヒーロー・エンタテインメントとしてワクワクさせつつ、ストーリーもエモーショナル。前作は“この広い宇宙には自分をわかってくれる仲間がいる”という希望の物語。しかし今回はその仲間たちと戦わねばならない。その裏にはスパイダーマンならではの“哀しき定め”がある。
そう本作の本当のヴィランは“マイルス自身の運命”なのです。それ故、前作以上にドラマチックで心に響いてきます。本作は来年公開予定の『スパイダーマン:ビヨンド・ザ・スパイダーバース(原題)』に繋がる。早くも次回作が楽しみです。
ポイント2:新たなスパイダーマンが大活躍! ピックアップして3人をご紹介
本作も別バースのスパイダーマンたちが登場。中でも印象的な3人をご紹介しましょう。まずはマイルスを追い詰めるスパイダー・ソサエティのリーダー、ミゲル・オハラ。マーベルが西暦2099年を舞台に未来のヒーローたちを描いたシリーズを発表したことがあり、その世界でのスパイダーマンとして登場。従って”スパイダーマン2099”と呼ばれることもあります。ヌエバ・ヨーク(未来のニューヨーク)に住む遺伝学者でスパイダーマンの能力を研究していましたが、自らクモの能力を身に付けてしまう。
スパイダー・パンクことホービー・ブラウンはその名前からわかるようにロックなスパイディ。コミックの設定ではノーマン・オズボーン(グリーン・ゴブリンの正体ですね)が大統領となっている別バースのアメリカで反体制のヒーローとして活躍します。そのルックスから人気が出てプレステのスパイダーマンのゲームにも登場。なお本作ではイギリスに拠点を置くスパイダーマンとなってますね。
スパイダーマン・インディアはもともとインド市場の読者を対象に発売されたコミックに登場するキャラ。パヴィトル・プラパカールは特殊なクモにかまれたのではなく神秘的なプロセスでパワーを得ました。なおミゲルの声は「ムーンナイト」(2022)のオスカー・アイザック、ホービーの声は『ブラックパンサー』(2018)のダニエル・カルーヤ、そしてパヴィトルは「デッドプール」(2016)シリーズのあのタクシー運転手カラン・ソーニが演じています。
ポイント3:あのスパイダーマンたちはどこから? 実写版シリーズとのリンクも期待!
冒頭、グウェンが叩いているドラムにメリー・ジェーンと書かれています。そうこの世界では“メリー・ジェーン”というのはバンド名なんですね。こういう風に各バースの違いを見つけるもの楽しいですが、本作で描かれるスパイダーバース(スパイダーマンを起点としたマルチバース)には原作コミック、レゴのスパイダーマン(デイリー・ビューグルのプレイセット)やゲーム、TVアニメのスパイダーマン世界も含まれ、紹介されるスパイダーマンたちがどこから来たのか当てるのも面白い。
例えばテーマ曲とともに颯爽と現れるが足がつってしまうスパイダーマンは1967年のTVアニメ版、マイルスを説得しようと話しかけるのは2008年のTVアニメ「スペクタキュラー・スパイダーマン」です。一方ミゲルが言及する「ドクター・ストレンジうんぬん」は『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』(2021)で描かれた事件のことでしょうか?
こうなると期待したいのは次回作『スパイダーマン:ビヨンド・ザ・スパイダーバース』での実写版スパイダーマン映画とのリンク。トビー・マグワイア、アンドリュー・ガーフィールド、トム・ホランド、トム・ハーディ、ジャレッド・レトあたりが新撮で出演してくれることに期待。
また各バースにジェイムソン編集長がいますが、どのバージョンもJ・K・シモンズが声を演じているので次回には実写で登場? 実写といえば個人的には東映版スパイダーマンや米実写TVドラマ版のスパイダーマンも出てきてほしい。
こっちのマーベル作品も注目!「シークレット・インベージョン」
本作のタイトルではヒーロー名がうたわれてません。そうこのドラマにはヒーローは登場せずニック・フューリーが中心で活躍するSFサスペンス・スリラー。そして今までのマーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)において、ありそうでなかったサミュエル・L・ジャクソン演じるニック・フューリーが主役なんですね。
実はスクラル人が要人やヒーローになりすまして密か(シークレット)に、地球を侵略(インベージョン)していた、というのが大まかなプロット。誰が味方で誰が敵かわからない、だから僕らが今まで信じてきたMCUの世界が大きく変わるかもしれない、そういう意味でこれからのMCUの方向性を決定する重要な作品になるのではないでしょうか?
「シークレット・インベージョン」
ディズニープラスにて6月21日(水)より独占配信
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『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』
公開中
2023/アメリカ/2時間20分/配給:ソニー・ピクチャーズ
監督:ホアキン・ドス・サントス、ケンプ・パワーズ、ジャスティン・K・トンプソン
出演:シャメイク・ムーア、ヘイリー・スタインフェルド、ジェイク・ジョンソン、イッサ・レイ、ジェイソン・シュワルツマン、ブライアン・タイリー・ヘンリー、ルナ・ローレン・ベレス、ヨーマ・タコンヌ、オスカー・アイザック
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