カバー画像:Photo by Getty Images
ハリソン・フォード プロフィール
1942年7月13日イリノイ州シカゴ生まれ。1960年代から脇役俳優として数々の映画に出てチャンスを待っていたが、その間、大工の仕事もしていたという。
1973年に出演した『アメリカン・グラフィティ』のジョージ・ルーカス監督と知り合い、ルーカスが生み出した『スター・ウォーズ』(1977、「新たなる希望」)のハン・ソロ役でブレイク。ルーカスとスティーヴン・スピルバーグがタッグを組んだ『レイダース 失われたアーク《聖櫃》』(1981)で演じたインディ・ジョーンズがシリーズになるほどの当たり役に。
他にも『ブレードランナー』(1982)、アカデミー賞主演男優賞候補となった『刑事ジョン・ブック/目撃者』(1985)、『パトリオット・ゲーム』(1992)『逃亡者』(1993)『今そこにある危機』(1994)『エアフォース・ワン』(1997)など大ヒット作に次々主演し、近年も『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』(2015)『ブレードランナー2049』(2017)などに登場してベテランの存在感を発揮。
私生活では2度の結婚、離婚の後、女優カリスタ・フロックハートと再婚。子どもはこの3度の結婚で50代から20代まで、息子が4人(うち養子が一人)と娘が一人。
新作はマーベル映画『キャプテン・アメリカ:ブレイブ・ニュー・ワールド』(原題)と『サンダーボルツ』(原題)で亡くなったウィリアム・ハートに代わってロス将軍を演じる。
ハリソン、カンヌで名誉パルムを受賞し感涙!!
第76回カンヌ国際映画祭で『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』のワールド・プレミアが5月18日開催され、これに先立って映画祭プレジデントのイリス・ノブロックから主演のハリソン・フォードに長年の功績を讃える生涯功労賞の意味を込めて名誉パルムドールのトロフィーがサプライズで授与された。
これは昨年『トップガン マーヴェリック』(2022)のトム・クルーズに贈られたものと同じ賞。後方のスクリーンに「インディ・ジョーンズ」や「スター・ウォーズ」シリーズ、『ブレードランナー』『逃亡者』などこれまでのハリソンのヒット作の数々のワンシーンがフラッシュバックのように次々映し出されると、「死ぬときに人生が走馬灯のように甦ると言いますが、まさに今、私の人生が後ろで浮かんでは消えました」とジョークのような一言を語り、「本当に感謝します」と感涙した。
カンヌで語った最後のインディへの思い
カンヌ国際映画祭で初めてその全貌が明かされた『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』。この地で生涯功労賞に当たる名誉パルム・ドールを受け、最後のインディ役を終えた感慨をハリソン・フォード自身が晴れ晴れと語ってくれました。
第76回カンヌ国際映画祭で名誉パルム・ドールを受賞した後、『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』の会見に登場したハリソン・フォード。まず名誉パルム・ドールを受けた感想を聞かれると、
「言葉で言い表せない気持ちだね。いまもまだ言葉にできないほどだ。カンヌという特別な場所で歓迎を受けてすごくいい気分だったよ」
とサプライズで贈られた栄誉に大きな喜びを感じている様子。
そして、最後にもう一度インディを演じることにした決意について、
「自分としては良い映画を見たかったと言うことかな。最後を飾るにふさわしい物語を、そして5本の映画が完成することをね。これまでは若さにも頼ってきた彼(インディ)の人生の重みを見たかったとも言える。変わらなければならない彼の姿を」
「人間関係でもよくある色恋沙汰というより、もっと深いものを見たかったんだ。そういう意味でこれ以上の脚本は望めないだろう。共演者もこれ以上の人たちは望めない。ジェームズ(マンゴールド監督)やジョン・ウィリアムズが吹き込んだ情熱もそうだ。年を取った私をサポートするためにみんなが集まってくれたんだ」
と40年以上関わってきた当たり役への思い入れと感謝の気持ちを明かした。さらに自分の俳優人生を振り返るように、
「本当に幸運だった。私はやはり演じることが好きなんだ。ともかく演じて良い物語を語りたいんだ。幸運にも私はそういう機会に恵まれた人生をずっと送ってこられた」
と満足げな言葉を口にした。
今回でインディを引退することを決めた経緯を聞かれると、
「それは今の私を見ればわかるだろう(笑)。少し止まって休む必要があるからね。そして私は俳優という仕事も、インディというキャラクターも、彼が私の人生に与えてくれたものも全部大好きなんだ。それがすべてだ」
と何もかもやり切った様子を見せてくれた。
今回の新作では、映画の冒頭で若き日のインディがナチスと戦うシーンがあり、ハリソンの顔をCGで若くしているといわれるが、この技術をどう思うか尋ねられると、
「少なくとも私にはテクノロジーの進化によって、若いインディはとてもリアルに見える。間違いなくあれは私の顔でフォトショップでいじったものじゃない。あれは35年前の私の顔なんだ。ルーカスフィルムには長年一緒に作ってきたフィルムに一コマ一コマ膨大な私の顔があるからね。そのライブラリーから必要なものを探し出す作業は、物語を支えるためのトリックなんだ。そうじゃなきゃ悪目立ちしてしまうし、視覚的というより感情的な意味で誠実でリアルでなくてはいけない。その点、この映画でのテクノロジーは注意深く巧みに使われていると思う」
と気に入っていることをアピール。
「でも自分の過去を振り返って昔に戻りたいとは思わないね。年を取ることは悪いものではないよ。自分の若い頃も最高だったと思うけれど、年寄りでいることを気に入っているんだ。私はもう死んでいてもおかしくない年齢だが、まだこうして働いている。何故かな?」
とユーモラスな表現で加齢についても正直に語ってくれたハリソンだった。