ミッション:インポッシブル/ デッドレコニング PART ONE』公開記念特集! 『トップガン マーヴェリック』から1年、トム・クルーズが今度は「ミッション:インポッシブル」で夏を熱くする! いよいよ日本でも封切りされたばかりのシリーズ最新作の見どころを超速レビュー。トム・クルーズらキャストたちのインタビューもたっぷりとお届けします。(文・相馬学/デジタル編集・スクリーン編集部)

※物語の詳細に触れている箇所がありますので、未鑑賞の方はご注意ください

過去作を踏まえつつ、より大きなことに挑戦し、超大作へと進化した

画像: 過去作を踏まえつつ、より大きなことに挑戦し、超大作へと進化した

まずオープニングに度肝を抜かれた

『ミッション:インポッシブル』(以下、“M:I”)シリーズの集大成というべきだろうか? 本作を見ながら、そんなことを考えた。何しろシリーズ最長尺の163分。しかも、これが“PART ONE”と題されているように次作に続くのだから、トータルで見れば文句なしに超大作だ。

とはいえ来年公開(予定)となる未知の“PART TWO”について語れることは何もないので、ここではPART ONEに限定して話を進めたい。

まずオープニングに度肝を抜かれた。最先端テクノロジーの制御システムを搭載したロシアの潜水艦が、みずから発した魚雷によって爆破される。その犯人は、どうやら進化したAIであるらしい。

“M:I”のヴィランもSF的になってきたか……と思いきや、このAIの制御を可能にする“鍵”が存在し、世界中がそれを求めている……という寸法だ。その鍵を手にした者はサイバーワールドのみならず世界を掌握できるのだから、CIAさえも欲しがる。

イーサン・ハントの本作でのミッションはCIAに逆らい、その鍵とAIを破壊すること。これだけでもミッションのインポッシブルさ具合が想像できるだろう。

画像: イーサン(トム・クルーズ)が頼れるのはIMFチームのベンジーら仲間たちだけ

イーサン(トム・クルーズ)が頼れるのはIMFチームのベンジーら仲間たちだけ

当然のようにイーサンがミッションを完遂する道のりは、より複雑になるし、彼に絡む人間も増える。頼れるのは、ルーサーやベンジーといったチームメイト、そして前2作に登場した元MI6のイルサのみ。おなじみのキャラクターは他にも登場するが、彼ら以外はミッションの邪魔者と呼んでいい。

前作に登場した女性武器商人ホワイト・ウィドウは、本作では鍵を狙うひとりとして暗躍。また、1作目でイーサンを追跡し、巨大水槽の水に飲み込まれたCIA上官キトリッジは長官に出世し、1作目と同様に手下を使ってイーサンを追撃する。

しかし、イーサンの真の敵は他にいる。イーサイ・モラレスふんする、ガブリエルという男。このキャラクターに関してはミステリーで、イーサンがIMFに入る以前からの知り合いで、また鍵にもっとも近い人物であることが示唆される程度。いずれにしても、謎めいた存在であるからこそ手ごわい敵だ。

画像: 暗殺者パリスを演じるポム・クレメンティエフの演技の幅に驚かされる

暗殺者パリスを演じるポム・クレメンティエフの演技の幅に驚かされる

また、彼の共犯者である女性暗殺者パリスも本作では、かなりの吸引力を秘めている。セリフは二言三言程度だが、それゆえに不気味で、バトルの面でイーサンをとことん苦しめる。演じるのは「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」シリーズのマンティス役でおなじみのポム・クレメンティエフ。マンティスのキャラが“陽”なら、パリスは“陰”であり、全く異なるキャラクターになりきる彼女の演技の幅に驚かされた。

シリーズではつねに感情のドラマに力点が置かれている

画像: イーサンとグレース(ヘイリー・アトウェル)の関係のリアリティが進化を物語る

イーサンとグレース(ヘイリー・アトウェル)の関係のリアリティが進化を物語る

新キャラでは、もうひとり重要人物が登場する。凄腕の女スリ、グレース。ある人物の依頼により鍵を盗んだことから、イーサンは彼女に接近して協力を求めることになるが、グレースは一匹狼の仕事人だ。

その鍵が何であるかを知る必要はない。彼女にとって重要なのは、鍵を奪って依頼人に届けることのみで、目の前に現われるイーサンは邪魔者でしかない。

逆にイーサンにとって彼女は、ミッションを成功させるために味方につけなければいけない存在。かくしてイーサンはグレースの行方を追い続け、それとともに彼らの対立関係は少しずつ変化していく。

“M:I”シリーズでは、つねに感情のドラマに力点が置かれているが、本作ではイーサンとグレースの葛藤が、それに相当する。

とはいえ、彼らのドラマはシリアス一辺倒ではない。前半のかけあいや騙し合いは、ヒッチコック映画をヒントにしたシリーズ2作目のイーサンとヒロインのユーモラスなコンビネーションを連想させる。

が、もちろん、そのまま同じではない。物語の前半ですぐにイーサンとヒロインが和解した2作目に対して、今回は和解の過程にたっぷり時間が割かれている。それゆえのリアリティが、シリーズの進化と言えるだろう。

画像: トムは低空ハイスピード飛行など前作以上に難易度の高いスタントに挑戦

トムは低空ハイスピード飛行など前作以上に難易度の高いスタントに挑戦

もうひとつ、シリーズ過去作からの進化を挙げておこう。クライマックスはオリエント急行の車上でのイーサンと敵との対決。シリーズのファンならば、1作目のクライマックス、ユーロスターの車上での戦いを思い浮かべるだろう。

1作目の車上バトルはロンドン郊外のパインウッドスタジオにセットを組んで撮影された。しかし、今回は使用可能な本物の線路の上で、実際に列車を走らせて撮影を敢行。つねにアクションのナマの迫力を追求するトム・クルーズらしい断行だ。

もちろん他にも、トムは前作以上のスタントに挑んでいる。断崖絶壁からバイクで飛び降りてパラシュートで列車に着地。前作ではパラシュートを低空で開く、危険極まりないヘイロージャンプの見せ場があったが、本作でトムが挑んだベースジャンプは、より低空でパラシュートを開く難易度の高いスタントだ。例によってトムはトレーニングを積み重ね、この難題をクリアしたというから、彼自身も進化を遂げていると言っても過言ではない。

過去作を踏まえつつ、より大きなことに挑戦し、超大作へと進化した本作。それはシリーズの集大成というべきかもしれないが、トムはつねに観客を驚かせることに心を砕くので、PART TWOでは集大成の意味もまた変わってくるかもしれない。ともかく、まずはPART ONEの凄みを体感して欲しい。

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『ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE』
2023年7月21日(金)公開
監督:クリストファー・マッカリー
出演:トム・クルーズ、ヘイリー・アトウェル、ヴィング・レイムス、サイモン・ペッグ、レベッカ・ファーガソン、ヴァネッサ・カービー、イーサイ・モラレス、ポム・クレメンティエフ、ヘンリー・ツェーニー
配給:東和ピクチャーズ

©2023 PARAMOUNT PICTURES.

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