10代未満から50代、更にシニアまで幅広くプレイヤーがいる「グランツーリスモ」
──初代のPlayStationの「グランツーリスモ」は1997年の年末に発売が開始され、25年が経過しました。この間での技術力の発達には目を見張るものがあります。今なら当たり前にできることで、初代「グランツーリスモ」の頃はやりたくてもできなかったことはありますか。
マニアックな話になりますが、「グランツーリスモ7」で初めてレイトレーシングというCGのテクノロジーを使いました。リアルタイムで物体をライティングする技術ですが、初代「グランツーリスモ」を作っていた頃は世界で最高のスーパーコンピュータでギリギリ秒間4フレーム動くかどうかでしたが、今のPlayStation5では4Kで秒間30フレーム動くので可能になったのです。テクノロジーが進化したからできたことですね。
──25年が経過したことで、親子二代で「グランツーリスモ」のファンという人たちもいるかと思います。ターゲットの変化を感じますか。
四半世紀という時間の長さを実感するのは現場にいるとなかなか難しいです。気がついたら25年が経っていましたが、今の公式世界大会「グランツーリスモ ワールドシリーズ」に出てくるトッププレイヤーたちは親が初代「グランツーリスモ」からずっと続けているユーザーで、親世代を見ながら3歳くらいから「グランツーリスモ」シリーズをプレイしていることが多い。そして、彼らの親世代の方々も今でも「GT」をやってくれているので、プレイする人の年代の幅は広がりました。コア層では50代後半から10代前半までですがシニアから10代未満の方々の中にも幅広くプレイヤーがいるのが「グランツーリスモ」シリーズの特徴です。そこに同じことを25年間続けてきたことに価値があるのを感じます。
──作品の中でヤン・マーデンボローはゲームに没頭して、外で体を動かさないことを父親から非難されます。そういったことに対して、何か伝えたいことはありますか。
そういった親子の対立はヤンのところだけでなく、今でもそこらじゅうで起きているんじゃないでしょうか(笑)。
ただ、僕が「グランツーリスモ」を作るときに拘っているのは、このゲームをすることで人生が無駄にならないようにしたいということです。やっていただくとわかると思いますが、「グランツーリスモ」はエデュケーショナルな体系になっています。
車にはものすごくたくさんのデザインがあり、ある意味、それはアートです。その背後にはそれぞれ、いろんな歴史があって、それが車文化を作っています。シリーズ最新作の『グランツーリスモ7』(PS5/PS4用ソフト)の中にはかなり大規模の車のミュージアムがあって、車をキーにしてアートや音楽、そのときの社会情勢も網羅しました。プレイしていくうちにそういった教養も自然に学べるような作りになっています。
──「グランツーリスモ」は単なるドライビングシミュレーターなのではなく、さまざまなことが学べるのですね。それを経験してきたヤン・マーデンボローと会ったときの印象はいかがでしたか。
ヤンは最初からオーラを放っていて、すごい人物になるなと感じました。しかし、ヤンに限らず、「GTアカデミー」の勝者はみんな、ある種のオーラを纏っています。それはなぜなのか。
例えば、オリンピックでもティーンエイジャーの選手が金メダルを獲るとまだ若いのにすごく立派なことを話しますよね。メディアトレーニングを受けているわけではないのに、なぜだろうと以前から不思議に思っていましたが、スポーツや勝負というものが結果として人を成長させるのではないでしょうか。
「GTアカデミー」においても、トップになる人間はただビデオゲームが上手いわけではありません。頭が良く、努力家で、ものすごくアプローチがシャープで、人間的にも非常に素敵で魅力があります。それはこのプログラムを始めてから気がつきました。
──作品の中で、ヤン・マーデンボローが来日したときの会見に山内さんも同席され、「自分が10年かかったことをヤンは1年でやり遂げた」と話していました。そのときのお気持ちを詳しくお聞かせください。
ヤンが結果を出したことはうれしかったですし、それ以上に「当然の結果だろう」という気持ちもありました。映画の中では苦労して勝っていきますが、実際は出だしから連戦連勝だったのです。それぐらい「グランツーリスモ」をプレイしてきた「GTアカデミー」出身のドライバーは速かったので、きちんと実力を発揮できれば驚くような結果ではないと思いました。
ニール・ブロムカンプは真面目ですごく尊敬できる監督
──話を映画に戻しますが、ニール・ブロムカンプ監督はどのような方でしたか。
僕はクリエイターとして尊敬しました。ニールは自分の作品が心配で、「どうだった? どうだった?」と聞いてきたりして、偉ぶったところが全くないんです。それはクリエイターとして正しい態度です。自信満々に「どうだ!」みたいなことはクリエイターとしてはあり得ません。
いいものを作りたいという気持ちが伝わってきて、真面目ですごく尊敬できる方だなと思いました。
──これから作品をご覧になる方にひとことお願いします。
この作品は実話を基に丁寧に作られたエンタテインメント作品です。ぜひ映画館の大迫力で楽しんでいただければと思います。
PROFILE
山内一典
映画「グランツーリスモ」エグゼクティブプロデューサー
「グランツーリスモ」シリーズ クリエイター。
1967年8月5日生まれ。
ソニー・インタラクティブエンタテインメント傘下のゲーム開発スタジオ、ポリフォニー・デジタルの代表取締役 プレジデント。1992年にソニー・ミュージックエンタテインメントに入社し、1994年にソニー・コンピュータエンタテインメント(現在のソニー・インタラクティブエンタテインメント)に移籍。
映画『グランツーリスモ』9月15日(金) 全国の映画館で公開
<STORY>
世界的大ヒットのドライビングゲーム「グランツーリスモ」のプレイに夢中なヤン。父親からは「レーサーにでもなるつもりか、現実を見ろ」とあきれられる日々。そんなヤンにビッグチャンスが訪れる。世界中から集められた「グランツーリスモ」のトッププレイヤーたちを、本物の国際カーレースに出場するプロレーサーとして育成するため、競い合わせて選抜するプログラム「GTアカデミー」だ。プレイヤーの並外れた才能と可能性を信じて「GTアカデミー」を立ち上げたひとりの男(オーランド・ブルーム)と、ゲーマーなんかが通用する甘い世界ではないと思いながらも指導を引き受ける元レーサー(デヴィッド・ハーバー)、そしてバーチャルなゲームの世界では百戦錬磨のトッププレイヤーたちがそこに集結。彼らが直面する、想像を絶するトレーニングやアクシデントの数々。不可能な夢へ向かって、それぞれの希望や友情、そして葛藤と挫折が交錯する中で、いよいよ運命のデビュー戦の日を迎える───。
<STAFF&CAST>
監督:ニール・ブロムカンプ(『第9地区』『チャッピー』)
脚本:ジェイソン・ホール(『アメリカン・スナイパー』)、ザック・ベイリン(『クリード 過去の逆襲』)
出演:デヴィッド・ハーバー(『ブラック・ウィドウ』「ストレンジャー・シングス」シリーズ)、オーランド・ブルーム、アーチー・マデクウィ(『ミッドサマー』)、ジャイモン・フンスー(『キャプテン・マーベル』)
原題:GRAN TURISMO: BASED ON A TRUE STORY
日本語吹替版テーマ曲:T-SQUARE「CLIMAX」
配給:ソニー・ピクチャーズ 公式サイト:https://www.gt-movie.jp/
※「PlayStation」、「プレイステーション」、「PS5」、「PS4」および「グランツーリスモ」は、株式会社ソニー・インタラクティブエンタテインメントの登録商標です。
●「グランツーリスモ」シリーズ
1997年にPlayStation®用ソフトとして誕生し、全世界でシリーズ累計9,000万本(※)以上を売り上げ大ヒット中のリアルドライビングシミュレーター「グランツーリスモ」シリーズ。リアルなクルマの挙動をそのまま再現した本シリーズは「オリンピックeスポーツシリーズ」や「国体・文化プログラム」の競技種目にも選ばれている。最新作は、PlayStation®5/PlayStation®4用ソフトウェア『グランツーリスモ7』(発売元:ソニー・インタラクティブエンタテインメント、開発元:ポリフォニー・デジタル) (※)2022年11月16日時点
「グランツーリスモ」シリーズ公式サイト :https://www.gran-turismo.com/jp/
●「GTアカデミー by 日産×プレイステーション」
日産、プレイステーション、ポリフォニー・デジタルによって2008年に始まったバーチャルとリアルを繋ぐ革新的なドライバー発掘・育成プログラム(※2016年まで実施)。世界中から選抜された「グランツーリスモ」のトッププレイヤーに、本物のプロフェッショナルレースドライバーになる生涯一度のチャンスが与えられた。選抜試験は過酷を極め、ゲームのドライビングテクニックだけでなくレーサーとして必要な精神力、体力も試されるものだった。前代未聞のチャレンジに企画当初は異端視されるも、「GTアカデミー」出身の数多くの選手がその後、リアルレースで表彰台に上がる事になる。
「グランツーリスモ」シリーズ公式サイト内
「GTアカデミー」紹介ページ:https://www.gran-turismo.com/jp/academy/
PlayStation 5/PlayStation 4用ソフト『グランツーリスモ7』
©2023 Sony Interactive Entertainment Inc. Developed by Polyphony Digital Inc. "Gran Turismo" logos are registered trademarks or trademarks of Sony Interactive Entertainment Inc. Manufacturers, cars, names, brands and associated imagery featured in this game in some cases include trademarks and/or copyrighted materials of their respective owners. Any depiction or recreation of real-world locations, entities, businesses, or organizations is not intended to be or imply any sponsorship or endorsement of this game by such party or parties. All rights reserved.