カバー画像:Photo by Dave M. Benett/Getty Images
常連俳優が『オッペンハイマー』で初の主演に
キリアン・マーフィー&クリストファー・ノーラン監督
クリストファー・ノーラン監督とキリアン・マーフィーが初めて出会ったのは、『バットマン ビギンズ』(2005)のバットマン役のオーディション。マーフィーは監督の『メメント』(2000)を見て以来の大ファンで、自分はバットマンのタイプではないと思いつつ、監督に会いたくて受けたそう。
そこで目に留まり、同作のヴィラン、スケアクロウ役をゲット。続く『ダークナイト』(2008)、『ダークナイト ライジング』(2012)でも同じ役を演じ、『インセプション』(2010)では敵役、『ダンケルク』(2017)では漂流中の英国兵士役とノーラン監督作の常連に。
そして初めて主演したのが新作『オッペンハイマー(原題)』(2023)。監督は、写真でオッペンハイマーの激しく見つめる青い眼を見た時に「この役を演じられるのは誰か、知っている」と直感、マーフィーに「君が舞台の中央で観客を引っ張る作品を見つけた」と電話したそう。
主演作を全米大ヒットさせたマーフィーは、今も「ノーラン監督の作品なら、背景でサーフボードを持って立ってる役でも出演する」と発言している。
これまでに二人が組んだ作品
- 『バットマン ビギンズ』(2005)
- 『ダークナイト』(2008)
- 『インセプション』(2010)
- 『ダークナイト ライジング』(2012)
- 『ダンケルク』(2017)
- 『オッペンハイマー(原題)』(2023)
集大成はコレ! 『オッペンハイマー(原題)』
第二次世界大戦中、米政府の原爆開発プロジェクトのリーダーに命じられた物理学者ロバート・オッペンハイマーの苦悩を描く。エミリー・ブラント、マット・デイモン、ロバート・ダウニーJr.、フローレンス・ピュー、ケネス・ブラナーらが豪華共演。
ノーラン監督は、オッペンハイマー役をキリアン・マーフィーに想定して脚本を書いた。マーフィーは監督から出演依頼電話がかかってきた日を「これまでの人生で最良の日」と語っている。
最新作『哀れなるものたち』は監督最高傑作の呼び声も
エマ・ストーン&ヨルゴス・ランティモス監督
初めてコンビを組んだ『女王陛下のお気に入り』(2018)が、アカデミー賞9部門にノミネートされ、エマ・ストーンは助演女優賞、ヨルゴス・ランティモスは監督賞の候補に。
ストーンはすでに『ラ・ラ・ランド』(2016)で主演女優賞を受賞、『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』(2014)で同助演賞にノミネートされているから、賞とは関係なく、監督との相性が良いのだろう、ギリシャで撮影された短編映画『Vlihi(原題)』(2022)、続いて新作『哀れなるものたち』(2023)、さらにジョー・アルウィン、マーガレット・クアリーらと共演した次回作『AND(原題)』も撮影済みと、コンビ作が続いている。
ランティモス監督は「映画を編集しながら、彼女に“どうやったらこれが出来るんだ!素晴らしい!”とメールしたことが何度もある」とストーンを絶賛。ストーン曰く「彼の判断は、いつも信頼できる」。2人は固い信頼関係で結ばれている。
これまでに二人が組んだ作品
- 『女王陛下のお気に入り』(2018)
- 『哀れなるものたち』(2023)
- 次回作『AND(原題)』
集大成はコレ! 『哀れなるものたち』
19世紀後半、天才外科医が、若い女性の死体を蘇らせる。その女性ベラの頭脳はまっさらで、貪欲に知識を吸収、やがて弁護士と駆け落ちして大陸横断の旅に出る。ウィレム・デフォーが外科医役、マーク・ラファロが弁護士役。
監督&主演の2人は『女王陛下のお気に入り』撮影中から本作の検討を開始。ストーンは製作にも参加し「決定するのは監督だけど、私自身が創作のプロセスに深く関わった実感がある」と発言。
監督の長編作品にはすべて出演している盟友コンビ
マイケル・B・ジョーダン&ライアン・クーグラー監督
あっという間にビッグになったのが、このコンビ。ライアン・クーグラー監督の初監督作『フルートベール駅で』(2013)に、マイケル・B・ジョーダンが主演して初タッグ。
監督の第2作『クリード チャンプを継ぐ男』(2015)にもジョーダンが主演、第3作『ブラックパンサー』(2018)では主人公の敵キルモンガーを演じ、2人で世界的に大ブレイク。
実は2人の信頼関係は初対面からスタート。監督は、初監督作にジョーダンに出演して欲しくて、最初の面談で「聞いてくれ、この作品は君のために書いた。君がスターになることは分かってる。それを世界に証明しよう」と猛プッシュ。ジョーダンは監督の自信を感じ取り、彼の言葉を信じることが出来たという。
監督はジョーダン主演の「クリード」続編2作の製作にも参加。2人が監督・主演で5度目のタッグを組む新作『Wrong Answer(原題)』も製作準備が進行中。学力統一テストでの汚職事件の実話を基に、初タッグ作同様、現代社会の問題に斬り込む。
これまでに二人が組んだ作品
- 『フルートベール駅で』(2013)
- 『クリード チャンプを継ぐ男』(2015)
- 『ブラックパンサー』(2018)
- 『ブラックパンサー/ ワカンダ・フォーエバー』(2022)
- 次回作『Wrong Answer(原題)』
集大成はコレ! 『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』
クーグラー監督による『ブラックパンサー』の続編。亡き国王ティ・チャラの後を継ぎ、妹シュリが新たなブラックパンサーになる。ジョーダン演じるキルモンガーは、前作で死んだので、本作での登場はビッグなサプライズ。
このカメオ出演を秘密にしておくため、ジョーダンはこの役のために髪を伸ばしていることを隠さなくてはならず、常に帽子やパーカーのフードを被り、飛行機はプライベートジェットを使っていたそう。