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『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』の後もさらに続きそうなレオ&スコセッシ作品
この成功はコンビ作第4弾『シャッター アイランド』(2010)に続く。
本作のキャンペーンで来日したレオは、スコセッシの演出について「彼は自分の考えを押し付けず、いつも俳優の演技のトーンに沿って映画の方向性を転換させていく。僕らが役に入り込んで心の旅をするのに任せながら撮影が進むんだ」と解説した。
さらにコンビ作第5弾『ウルフ・オブ・ウォールストリート』(2013)では再びオスカー候補となったレオとスコセッシがそろって来日(共演のジョナ・ヒルも一緒)。
スコセッシはこの作品を以前から作りたかったのだが「本作が作れたのはすべてレオの情熱のおかげだよ。自分でも本当にやれるんだろうかと悩んでいたんだけど、背中を押してくれたのは彼のやる気だった」と意外な悩みとそれを救ってくれたレオへの感謝を述べて、2人の関係がさらに深まったことを明かしている。
レオも「僕にはどうしても作りたい映画がこれまでに2つあったんだけど、それは『アビエイター』と本作。どっちもマーティンが監督だね。今回は彼しかこの映画を撮れる監督はいないと信じていたから、スケジュールが空くまでずっと待っていたんだよ」と、もう手放しでスコセッシ愛を爆発させていた。
それから約10年を経て、ようやく2人が再び顔合わせする新作『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』(2023)の公開が迫っている。この間にレオは『レヴェナント:蘇えりし者』(2015)で念願のアカデミー賞主演男優賞も受賞。そして今度は2人だけでなく、レオをスコセッシに推薦したロバート・デ・ニーロも加わるという初の豪華トリオ作品だ。
デ・ニーロは『アイリッシュマン』(2019)で『カジノ』(1995)以来久々にスコセッシ作品に主演したが、その数年前に16分のショートムービー『オーディション』(2015)で再会している。
しかもこの作品にはなんとレオとブラッド・ピットまで出演、という豪華な顔ぶれだ。これがきっかけとなったのか、『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』での初のトリオ結成が実現したといえるかもしれない。
『ボーイズ・ライフ』の後、レオとは本格的共演はなかったが、『マイ・ルーム』(1996)には友情出演のような形で登場し、若いレオがベテラン(デ・ニーロの友人でもある)のメリル・ストリープ、ダイアン・キートンと共演する様子を見守っているようだった。
『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』は実話に基づく物語で、オクラホマで石油発掘により超裕福層になったオセージ族の連続殺人事件に絡む街の有力者ウィリアム・ヘイルをデ・ニーロが、彼の親族でオセージ族の娘モリーの夫でもあるアーネスト・バークハートをレオが演じるようだが、最初の共演から30年を経て、重量級の名優同士となった両者の白熱の競演を演出しながら、名匠スコセッシが米国史の闇をどう描くのか、その公開が待たれている。
ちなみにレオとスコセッシには、まだコラボ予定の続きがあって、レオがアメリカ第26代大統領セオドア・ルーズヴェルトを演じる伝記映画『Roosevelt』、18世紀を舞台に難破した英国海軍艦ウェイジャー号の艦長と乗組員が上陸した島でサバイバルを繰り広げる『The Wager : A Tale of Shipwreck, Mutiny, and Murder』の2作が、彼らの新たなコンビ作として(実は『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』より前から)予定されている。
どちらが先に製作されるかわからないが、まだまだこの師弟コンビから生まれる名作を味わうことができそうだ。
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『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』
2023年10月20日(金)公開
アメリカ/2023/3時間26分/配給:東和ピクチャーズ
監督:マーティン・スコセッシ
出演:レオナルド・ディカプリオ、ロバート・デ・ニーロ、リリー・グラッドストーン、ジェシー・プレモンス、ブレンダン・フレイザー、ジョン・リスゴー
Apple Original Films/劇場公開後、Apple TV+で全世界配信