有名映画プロデューサー殺人事件の犯人は? 3人の女たちが繰り広げる極上ミステリー
フランスの名匠フランソワ・オゾン監督の最新作は、パリの大豪邸で起こった有名映画プロデューサー殺人事件の「犯人の座」をめぐり、三人の女たちが繰り広げるクライムミステリー。
オゾン監督が自ら「『8人の女たち』(2002)『しあわせの雨傘』(2010)に続く、女性の生き方を魅力的に探求した3部作の最終章」と定義する最新作が完成した。
主人公のマドレーヌとポーリーヌ役には、『悪なき殺人』(2019)で東京国際映画祭最優秀女優賞を受賞したナディア・テレスキウィッツと『黄色い星の子供たち』(2010)のレベッカ・マルデールという新進女優を起用。
また二人の前に立ちはだかる“自称・真犯人”には、『エル ELLE』(2016)でアカデミー賞にノミネートされたイザベル・ユペール。
マドレーヌが着こなすハイブランドのドレス、ポーリーヌのクラシックなスーツなどのファッション、ベージュピンクを基調としたアールデコのインテリアなど、1930年代のパリの魅力を満載した衣装や小道具も見どころとなっている。
あらすじ
1935年、パリ。有名映画プロデューサーが自宅で射殺される事件が発生。容疑をかけられたのは、貧乏な若手女優マドレーヌ(ナディア・テレスキウィッツ)。
法廷に立たされた彼女は、ルームメイトの新人弁護士ポーリーヌ(レベッカ・マルデール)が書いた、「男に襲われた女が、名誉と身を守るため反撃した」という正当防衛を主張する完璧なセリフを読み上げ、見事無罪を獲得。それどころか、悲劇のヒロインとして時代の寵児となり、スターの座へと駆け上がる。
そんな彼女たちの前に現れたのは落ちぶれた元大女優のオデット(イザベル・ユペール)。彼女はプロデューサー殺しの真犯人は自分で、マドレーヌたちが手にした富も名声も自分のものだと主張する。果たして真相は?
フランソワ・オゾン監督とは?
『8人の女たち』(2002)『スイミング・プール』(2003)『しあわせの雨傘』(2010)『Summer of 85』(2020)などの数々の代表作を持つ現代フランスの名匠。ラブストーリーから社会派、感動作から問題作まで、型にはまらない表現力で毎回異なるジャンルの秀作を生み出す。
1967年11月15日、フランス・パリ生まれ。『ホームドラマ』(1998)で長編デビューし、『8人の女たち』で国内外にその名を轟かせた。『グレース・オブ・ゴッド 告発の時』(2018)でベルリン国際映画祭銀熊賞を受賞するなど世界三大映画祭の常連。
近年も精力的に新作を発表し、最新作『私がやりました』は『すべてうまくいきますように』『苦い涙』に続き、今年だけで三本目の日本公開作となる。
フランソワ・オゾン監督コメント
この『私がやりました』は、『8人の女たち』『しあわせの雨傘』に次ぐ、女性の地位をユーモア満載且つ魅力的に探求した僕の3部作の最終章とも言える。
1930年代スタイルを楽しみながら再現したけれど、一見時代遅れに見える素材を使って、今の時代にも通じる生き生きとしたテンポ感で、現代性を強調することができたんじゃないかな。
舞台を1930年代にしたのは、今から距離ができるほうがこの問題について考えることができると思ったんだ。女性の地位の向上とかをドラマチックに描くと素通りしてしまうけど、ちょっと距離を持たせることによって、フェミニズムというのは笑いながら受け入れられるのではと思った。
だからこそ今『バービー』がヒットしているんじゃないかな。僕は別に『バービー』を支持しているわけではないけれど、『バービー』の中のフェミニズムだってコメディだから受け入れられるんだと思うよ。
『私がやりました』
2023年11月3日(金・祝)公開
フランス/2023/1時間43分/配給:ギャガ
監督:フランソワ・オゾン
出演:ナディア・テレスキウィッツ、レベッカ・マルデール、イザベル・ユペール、ファブリス・ルキーニ、ダニー・ブーン、アンドレ・デュソリエ
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