怪物の仮面を被って人を襲い、斧で頭を割って、脳を奪い去る連続猟奇殺人事件が発生し、弁護士の二宮彰も狙われた。冷血非情なサイコパスだった二宮は難を逃れ、犯人を逆襲することを誓う。映画『怪物の木こり』は第17回「このミステリーがすごい！」大賞を受賞した倉井眉介の同名小説を原作とし、亀梨和也が主人公の二宮彰を演じた超刺激サスペンス。第36回東京国際映画祭ガラ・セレクション部門に選出されたことでも話題になっている。メガホンをとった三池崇史監督に作品に対する思いや主演の亀梨和也について語ってもらった。（取材・文／ほりきみき）
これまでのサイコパスとは捉え方が違う原作にひかれた
──本作の監督オファーを受けたとき、どんなところに興味を感じましたか。
映画に登場するサイコパスは大抵1人。多くても2人です。しかも悪魔として描くことが多い。ところがこの作品はサイコパス率が非常に高いものの、原作者の優しさなのか、サイコパスを人間として捉えています。その辺りがこれまでのサイコパスの物語よりも興味深く読むことができました。
三池崇史監督
──脚本はエグゼクティブプロデューサーの小岩井宏悦さんが担当されています。監督は脚本にどのように関わられたのでしょうか。
オファーを受けたときはプロットの段階だったので、小岩井さんと一緒に作っていきました。小岩井さんはプロデューサー業が忙しいにもかかわらず、書くのが早い。経験値が高いので、引き出しもたくさんあるのでしょうね。クリエイターとしても優れた方でした。
──脚本開発ではあまり苦労をされなかったのでしょうか。
ラストは苦労しました。“どういう感覚を観客に与えて終わるか”というところでは小岩井さんと一致していましたが、“それをどう表現するのか”はそれぞれ感覚が違いますし、撮ってみないとわからないところもあります。
撮影前にしっかり決めておきたいという人もいますが、僕は曖昧なままでも大丈夫。何かあるはずだと考えて、撮っているうちにそれが浮かび上がってくればいいと思っています。小岩井さんは監督のことをきちんと尊重してくれるプロデューサーなので、その辺りのことも理解してくださり、とてもやりやすかったです。
