どんな願いも叶うという魔法の王国ロサスで暮らす少女アーシャは、ある出来事をきっかけに王国に隠された恐ろしい真実を知ってしまう。彼女が立ち向かうのは、ディズニー史上最も恐ろしいヴィランであるマグニフィコ王。アーシャは様々な試練を乗り越え、王国に奇跡をもたらした。映画『ウィッシュ』はウォルト・ディズニー・カンパニー創立100周年記念作品である。『アナと雪の女王』で監督を務めたクリス・バックとストーリーボード・アーティストとして参加したファウン・ヴィーラスンソーンが共同で本作の監督を務める。公開に先立ち来日した2人に取材を敢行。作品への思いを聞いた。(取材・文/ほりきみき)

レガシーと現代性を併せ持つ劇中歌「This Wish(ウィッシュ~この願い~)」

──作品内でアーシャが歌う「This Wish(ウィッシュ~この願い~)」には愛する人たちのために王国の危機を救おうと強く願うアーシャの心情が表現されています。音楽を担当されたジュリア・マイケルズさんにはどのようなイメージで曲作りを依頼したのでしょうか。また初めて聞いたとき、どのように感じましたか。

クリス:ジュリアに依頼した段階ではまだ脚本ができていなかったので、「自分が住んでいるコミュニティ(王国)に問題があるものの、どこに助けを求めたらいいのかわからず、アーシャは星に願う」くらいの緩い内容しか伝えていませんでした。

この曲は最初に書き下ろしてくれた曲でしたが、過去のディズニー作品の名曲を思い起こさせるような部分がありながら、現代性もある。そのミックス具合が抜群で、とても素敵な曲でした。映画自体がノスタルジーやレガシーとともに今、世界で起きていること、現代性を併せ持つので、ぴったりだと思いました。

私たちはこの曲から大きなインスピレーションを得て物語を作っていき、その過程で楽曲も変化し、変化した楽曲を通して物語の焦点が定まっていきました。この歌はアーシャの内面を語るとともに、もっと大きな表現力を持っています。この楽曲によって本作のビジュアルが決まっていったのです。

画像: レガシーと現代性を併せ持つ劇中歌「This Wish(ウィッシュ~この願い~)」

──初期の作品を思わせる水彩画のルックを最新のデジタル・アニメーションで表現することに挑まれたとのことですが、苦労されたところはありましたか。

クリス:コンピューターは全部リアルに描こうとしてしまうので、アーティストとしてはやり過ぎに感じてしまうことがあります。では、どこまでなら大丈夫なのか。そのラインを決めるのが難しい。

私は手描きアニメ出身ですが、その頃の経験からキャラクターを描くときに線が多すぎると魅力的でなくなってしまうのがわかっています。その辺を2人でリサーチしながら決めていきました。

──本作にはこれまでのディズニー作品を連想させるキャラクターやシーンがいろんな形で登場しています。オマージュはどのくらいあるのでしょうか。

ファウン:オマージュは100以上あります。ただ、私たちは最初からそういったものを入れていくことを意識していたわけではありません。オリジナルの物語として成立させることが第一ですから、まずはそこに集中しました。

これまでの作品も伝統的に過去の作品のオマージュを入れてきましたが、今回は100周年記念作品です。これまでの作品よりもオープンな形でアーティストが参加できるようにした結果、多くの部署に様々な方が入って、それぞれがアイデアを出し、キャラクターやもの、動きなどにオマージュを取り入れてくれたのです。意識してこれとこれをここに入れようといって入れたわけではないのです。

ぜひ大きなスクリーンで何度もご覧になって、散りばめられたオマージュの数々を見つけ出していただけるとうれしいです。

<PROFILE>

クリス・バック(監督)
1958年、米カンザス出身。カリフォルニア芸術大学でキャラクターアニメーションを学んだ後、1978年にディズニーに入る。伝説的なアニメーター“ナイン・オールド・メン”のひとり、エリック・ラーソンの下で学び、アニメーターやキャラクター・デザイナーを経て、1999年製作の『ターザン』で監督デビュー。

2007年にはソニー・ピクチャーズ・アニメーション作品『サーフズ・アップ』を監督。翌年にディズニーに戻り、ジェニファー・リーと共同で監督を務めた『アナと雪の女王』(2013)と『アナと雪の女王2』(2019)は、全世界で驚異的なヒットを記録した。ティム・バートン監督の短編『フランケンウィニー』の絵コンテや、コマーシャルのアニメーション制作、テレビシリーズ監督、『リトル・マーメイド』のキャラクター・デザイン、『ポカホンタス』のスーパーバイジング・アニメーターなど、その活動は多岐にわたっている。

ファウン・ヴィーラスンソーン(監督)
タイ・チョンブリー県出身。18歳の時にフロリダのディズニー・アニメーション・スタジオでタイ出身のアーティストが働いていることを知り、アニメーションの道を志す。コロンバス・カレッジ・オブ・アート・アンド・デザインで美術学士号を取得した後、イルミネーション・エンターテインメント、ニコロデオン、ワーナー・ブラザースなどで活動し、ディズニー・アニメーション・スタジオに入社。

『アナと雪の女王』(2013)と『モアナと伝説の海』(2016)ではストーリーボード・アーティストを、『ズートピア』(2016)と『シュガー・ラッシュ:オンライン』(2018)ではストーリー・アーティストを務め、『ラーヤと龍の王国』(2021)では、ヘッド・オブ・ストーリーを担当した。本作が初めての長編監督作品になる。

『ウィッシュ』2023年12月15日(金)公開

画像: 「ウィッシュ」日本版本予告解禁!|アーシャ役 日本版声優の生田絵梨花さんが歌う劇中歌「ウィッシュ~この願い~」が聴ける|12月15日(金)劇場公開 youtu.be

「ウィッシュ」日本版本予告解禁!|アーシャ役 日本版声優の生田絵梨花さんが歌う劇中歌「ウィッシュ~この願い~」が聴ける|12月15日(金)劇場公開

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<STORY>
願いが叶う魔法の王国に暮らす少女アーシャの願いは、100歳になる祖父の願いが叶うこと。だが、すべての“願い”は魔法を操る王様に支配されているという衝撃の真実を彼女は知ってしまう。みんなの願いを取り戻したいという、ひたむきな思いに応えたのは、“願い星”のスター。空から舞い降りたスターと、相棒である子ヤギのバレンティノと共に、アーシャは立ち上がる。「願いが、私を強くする」──願い星に選ばれた少女アーシャが、王国に巻き起こす奇跡とは…?

<STAFF&CAST>
監督:クリス・バック, ファウン・ヴィーラスンソーン
脚本:ジェニファー・リー
音楽:ジュリア・マイケルズ
製作:ピーター・デル・ヴェッコ, フアン・パブロ・レイジェス
声の出演:アリアナ・デボーズ (アーシャ), クリス・パイン (マグニフィコ王), アラン・テュディック (バレンティノ)
日本版声優:生田絵梨花 (アーシャ), 福山雅治 (マグニフィコ王), 山寺宏一 (バレンティノ), 檀れい (アマヤ王妃), 鹿賀丈史 (サビーノ), 大平あひる (ダリア), 蒼井翔太 (ガーボ), 青野紗穂 (ハル), 落合福嗣 (サイモン), 岡本信彦 (サフィ), 宮里駿 (ダリオ)

配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン
© 2023 Disney. All Rights Reserved.
公式サイト:https://www.disney.co.jp/movie/wish

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