【『REBEL MOON:パート1 炎の子』ストーリー】
辺境の惑星で暮らすコラ(ソフィア・ブテラ)たちの村に、巨大な軍事帝国マザーワールドの侵略者が襲来。コラは、村の人々を守るために一緒に戦う戦士を探す旅に出て、凄腕パイロット(チャーリー・ハナム)、二刀流の剣の達人(ペ・ドゥナ)、伝説の将軍(ジャイモン・フンスー)ら仲間を集めていく。
【ポイント1】<ザック・スナイダー版『スター・ウォーズ』>として見る
ザック・スナイダー「この映画のアイデアは、1977年、11歳だった僕が劇場で『スター・ウォーズ』第1作を見て、"僕にもこういう映画が創れるかもしれない"と思った時から始まったとも言える」(記者会見より)
こう語るスナイダー監督は、実は『スター・ウォーズ』を撮る可能性があった。監督自身が、その体験を本年11/29付のhollywoodreporter.comのインタビューで語っている。彼は2012年、ディズニーが買収する直前のルーカスフィルムに『スター・ウォーズ』の新作企画を持ち込んだが、すぐに買収が決定して状況が変わり、彼の企画は採用されなかった。しかし、その頃から<彼自身のバージョンの『スター・ウォーズ』>という発想はあったのだ。
また、本作のストーリーが『スター・ウォーズ』を意識していることは、プロダクションノートでの監督の発言からも明らか。彼は本作を「(ジョージ・ルーカスが意識した比較神話学者の)ジョーゼフ・キャンベル的なシンプルさを持つ根源的なもの」「核の部分は神話のようにシンプル」にしたいと考えたと語り、さらに本作を「ザック・スナイダー版『スター・ウォーズ』と評する人たちがいるだろうね」とも発言しているのだ。
その言葉通り、本作のストーリーの基本である<巨大な帝国vs反乱者たち>は、『スター・ウォーズ』と共通。それだけではなく、映像にも『スター・ウォーズ』を連想させるシーンがいくつもある。それでいて、この宇宙の空気感は『スター・ウォーズ』とはかなり違う。では、どこが共通で、どこが違うのか。それはなぜなのか。この映画を<ザック・スナイダー版『スター・ウォーズ』>という観点から見るのも面白そうだ。
【ポイント2】日本映画、日本アニメの影響を確認する
ザック・スナイダー「この映画の剣術や、剣を使った戦いは、日本映画の影響を受けている。影響は映画だけじゃない。日本のアニメのアクション表現は、独自で素晴らしい。その影響は、僕の作品のありとあらゆるところにある。"このショットが、この作品を参考にしている"という形ではなくて、もう作品全体の美意識、作品全体のテクスチャー(質感、感触)が、影響を受けていると思う」(記者会見より)
『300<スリーハンドレッド>』の頃から、ザック・スナイダー監督は、日本のアニメ、『AKIRA』『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』などの影響を受けていることを公言。本年12/8付けのnetflix.comのインタビューでは、自宅で『鬼滅の刃』を見ていると発言している。また、子供の頃から日本映画を見ていて、記者会見でも、13歳の時に黒澤明監督の『蜘蛛巣城』の字幕版の上映に連れて行ってもらったことや、特に今回の新作は『七人の侍』の影響を受けたことを語っている。こう聞くと、そうした影響はどんな形で表れているのか、実際に映画を見て確認したくなる。
【ポイント3】ザック・スナイダー監督が自ら撮影した映像美に浸る
デボラ・スナイダー(プロデューサー)「カメラを持つことは彼の本能なんです。目の前で起こる爆発を自ら撮影する。撮影現場にいる俳優やスタッフと密に接する。そうする以外の他のやり方を、彼がしたがるとは思えません」(プロダクションノートより)
スナイダー監督は本作で、監督・共同脚本・プロデュースに加え、前作『アーミー・オブ・ザ・デッド』に続き、自ら撮影監督を担当している。自分で撮らずにいられないのは、どうしても実現したいイメージがあるからだろう。記者会見でも、子供の頃から愛読していた大人向けコミック雑誌「ヘヴィ・メタル」の影響を語っていた通り、コミックに影響を受けた壮大なビジュアルは、この監督の魅力の一つ。この映画で、大宇宙、見知らぬ惑星、未知の文化という題材を得て、さらに彼自身が撮影を担当し、どんなビジュアルを見せてくれるのか。映画でそれを確かめないわけにはいかない。
『REBEL MOON:パート2 傷跡を刻む者』24年4月19日(金)世界独占配信、『REBEL MOON:パート2 傷跡を刻む者』24年4月19日(金)世界独占配信