VFXでリアル感をどう出すかがポイント
──女性キャストについてはいかがでしょうか
婦人会会長のグメは最初、ヨンタクよりも強いカリスマ性を発揮してマンションの住民を引っ張っていきます。そんなグメをさまざまな映画やドラマで名バイプレーヤーとして活躍されているキム・ソニョンさんが演じたら面白いのではないかと思いました。
ミョンファはただ優しいだけの絶対正義のキャラクターではありません。他人のためではなく、家族のために動きます。パク・ボヨンさんは“ロマンチックコメディの女王”と言われていますが、ミョンファのような強い決断力のある役どころをどう演じるのか。ファンとして見てみたいと思って、お願いしました。
パク・ジフには前作『隠された時間』にもちょっとした役で出てもらいました。その後、彼女は女優として成長し、『はちどり』では素晴らしい演技を見せていました。今回、彼女が演じたキャラクターも出番は少ないものの、繊細な演技が必要なキャラクターで、彼女ならできると思って、今回も声を掛けたのです。
──VFXがふんだんに使われています。どんなことを大事にされましたか。
韓国の住居形式はマンション中心になっていて、半数以上の人がマンションに住んでいると思います。そのためマンションについて詳しい方が多いので、リアル感をどう出すかがポイントだと思いました。CGが少しでもファンタジーやマンガのように見えてはいけない。リアル感を出すためのトーンを決めるのが大変な作業でした。
──本作は韓国の3大映画賞といわれる青龍映画賞で監督賞を受賞し、大鐘賞映画祭では作品賞をはじめ、イ・ビョンホンの主演男優賞、キム・ソニョンの助演女優賞、美術賞、音響効果賞、視覚効果賞の6冠獲得されました。第96回アカデミー賞でも国際長編映画賞の韓国代表作品として選出されています。このことをどう受け止めていらっしゃいますか。
正直、とてもうれしいです。クランクアップの日、「この作品に参加したことが恥ずかしくないようなものに仕上げます」とスタッフのみなさんに約束したのですが、その約束が果たせたと思いました。
＜PROFILE＞
監督：オム・テファ
1981年生まれ。『美しい夜、残酷な朝』(04)、『親切なクムジャさん』(05)などでパク・チャヌク監督作に演出部として参加。商業デビュー作の『イントゥギ』(13)は第1回野の花映画賞にて最優秀新人監督賞にノミネートされた。2016年『隠された時間』では第12回パリ韓国映画祭観客賞、第54回大宗賞新人監督賞を受賞した。
『コンクリート・ユートピア』公開中
1月5日(金)公開 『コンクリート・ユートピア』｜本予告
youtu.be＜STORY＞
世界各地で起こった地盤隆起による大災害で一瞬にして壊滅したソウル。
唯一崩落を逃れたファングンアパートには、居住者以外の生存者たちが押し寄せていた。救助隊が現れる気配は一向になく、街中であらゆる犯罪が横行し、マンション内でも不法侵入や殺傷、放火が起こりはじめる。危機感を抱いた住人たちは、生きるために主導者を決め、住人以外を遮断しマンション内を統制することに。臨時代表となったのは、902号室のヨンタク。職業不明で頼りなかったその男は、危険を顧みず放火された一室の消火にあたった姿勢を買われたのだった。
安全で平和な“ユートピア”になるにつれ、権勢を振るうヨンタクの狂気が浮かび上がる。そんなヨンタクに防犯隊長として指名されたのは、602号室のミンソン（パク・ソジュン）だ。妻のミョンファ（パク・ボヨン）はヨンタクに心服するミンソンに不安を覚え、閉鎖的で異様な環境に安堵しながら暮らす住民たちを傍目でみながら生活をしていた。
生存危機が続くなか、ヨンタクの支配力が強まったとき、予期せぬ争いが生じる。そこで目にしたのは、その男の本当の姿だった………。
＜STAFF&CAST＞
監督：オム・テファ
出演: イ・ビョンホン、パク・ソジュン、パク・ボヨン、キム・ソニョン、パク・ジフ、キム・ドユン
配給：クロックワークス
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公式サイト：https://klockworx-asia.com/CU/
