謎の感染症“ゴーレムウィルス”によって、突然日常を奪われた人々の過酷なサバイバルと濃厚な人間ドラマを描いた連続ドラマ「君と世界が終わる日に」は愛する人さえ失う予測不能のスリリングな展開が反響を呼んだ。Season1は地上波で放送され、 Season2~4はHuluで配信。『劇場版 君と世界が終わる日に FINAL』で竹内涼真演じる熱き主人公・響の物語が完結する。ドラマから引き続き、メガホンを取った菅原伸太郎監督に作品の世界観や劇場版に至るまでの主人公の変化、新たに加わったキャラクターについて語ってもらった。(取材・文/ほりきみき)

身のこなしの良さが感じられた高橋文哉

──劇場版からのメインキャストとして高橋文哉さんと堀田真由さんが出演されています。お二人のキャスティングの決め手を教えてください。

2人ともギラギラしていなくて、素朴な感じがする。響が“昔の自分たちはこうだった”と素直に思える存在として、それはとても大事でした。

画像: 柴崎大和(高橋文哉)

柴崎大和(高橋文哉)

画像: 羽鳥葵(堀田真由)

羽鳥葵(堀田真由)

──技術職と医療関係者の組み合わせという点でも2組とも同じですね。

大和は考えるよりも先に体が動くタイプ。そういったところから設定を決めました。葵はミライの世話をする役どころというところから決めていきました。

──高橋文哉さんはこれまでのイメージを打ち破る“とび職人”役に初挑戦し、とび職人らしい身のこなしが要求されるシーンがいくつもありましたが、高橋さんには事前にトレーニングをしてもらったのでしょうか。

他の作品で軽くアクションをされていたのを見たことがありましたし、ちょっと動いただけで身のこなしの良さが感じられたので、アクション監督とも相談して、事前の練習は特に必要ないと判断しました。

ワイヤーに体を結び付けて、窓の外に飛び出すシーンも飲み込みが早かったです。運動神経の良さという資質の部分だけでなく、引っ張る側の仕掛けとの相性の良さもあったのかもしれませんけれどね。

──響と大和は真っ直ぐで男気溢れるもののカッとしやすいところが似ています。どんなところで違いを表現されましたか。

高橋くんは大和そのものの方でしたから、大和に違いを出させるのではなく、響を老成化させました。ビジュアル的に違うのは大きいですから。ただ、そもそも声質も体格もが違いますから、あえてお芝居の中で違いを出す必要はないと思いました。

画像: 身のこなしの良さが感じられた高橋文哉

──堀田真由さんは大和の幼なじみで、心優しく、芯の強い看護師・羽鳥葵を演じています。葵を演じてもらうにあたって、監督からはどのようなことを伝えましたか。また堀田さんから何か質問や提案はありましたか。

堀田さんには何も言っていませんし、特に何かを聞かれたこともありませんでした。葵はわかりやすいキャラですし、堀田さんとは3本目。カメラが回っていないときの堀田さんの優しい感じがそのままで葵らしいと思ったのです。

ずっと続いてきた作品に途中から主役的な立ち位置で入るのは大変です。プレッシャーも大きかったと思いますが、だから何かしなきゃと思うタイプではなく、いい感じに引いた立ち位置でやってくれました。

──主題歌「谺(こだま)する」は菅田将暉さんが書き下ろし、ご自身で歌っていらっしゃいます。菅田さんはSeason1の主題歌「星を仰ぐ」も担当されていますが、今回はどのようなイメージで依頼されましたか。またできあがってきた曲を聴いて、どう思われましたか。

レッド・ホット・チリ・ペッパーズ(レッチリ)というアメリカの西海岸発祥のロックバンドが個人的に好きなのですが、Season4のときに劇伴やサントラをレッチリっぽくしました。ちょっと乾いたサウンドが響の心情と共鳴すると思ったのです。

その流れで劇場版もサウンド的にはレッチリみたいにしたい。レッチリの「スノー」という曲が『デスノート』(2006年6月)の続編『デスノートthe Last name』(2006年11月)の主題歌になりましたが、あのようなスケール感のある曲というリクエストを出しました。すると菅田くんも乗ってくれて、「バンドサウンドでいきましょう」といった感じで進んでいきました。

ただ、途中で出してくれたのが、ちょっと難しい、シンプルではない感じで、イメージと違っていたので、直接会って話をしました。そこで“間宮響の最後に捧げる曲”ということで認識が一致し、出来てきたのが「谺(こだま)する」でした。

スケール感がありつつ、映画の余韻も感じて、この作品にぴったりな曲だと思いました。しかも音楽担当の方曰く、「ボーカルのボリュームレベルがちょっと低くて、バンドの音が普段よりも大きい。劇場の良い音響で聴き甲斐がある」。ぜひ映画館の5.1chサラウンドスピーカーのいい音質で聴いてほしいと思います。

<PROFILE>
監督:菅原伸太郎

1985年3月14日生まれ。千葉県出身。
2007年日本テレビに入社後、「泣くな、はらちゃん」(13)でGP帯チーフ演出としてデビュー。独自の着眼点を持ち、幅広いジャンルでその世界観を構築し、濃密な人間ドラマを描く。代表作に「今日の日はさようなら」(13)、「ど根性ガエル」(15)、「時代を作った男 阿久悠物語」(17)、「トドメの接吻」(18)、「白衣の戦士!」(19)、「美食探偵明智五郎」(20)、「君と世界が終わる日にSeason1~4」(2021~23)、「霊媒探偵・城塚翡翠」(22)など。そのほかの監督作品に『いちごの唄』(19)、『ブラック校則』(19)がある。

『劇場版 君と世界が終わる日に FINAL』全国公開中

画像: 【本予告】『劇場版 君と世界が終わる日に FINAL』|1月26日(金)公開 youtu.be

【本予告】『劇場版 君と世界が終わる日に FINAL』|1月26日(金)公開

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<STORY>
希望の塔ユートピア。しかしそこは、人間の欲望が生み出した絶望の塔だった。ユートピアではこの世界を救い出す唯一の方法、ゴーレムと呼ばれる化け物に対するワクチンを研究していた。特殊な抗体を持つ一人の少女を研究材料にして――。少女の名前はミライ。間宮響の娘。響はユートピアに集った5人の男たちと共にミライを救い出す決心をする。男たちは愛する人を助け出すため、家族・友人を助けるため、そして生き延びるための食糧や金を盗むため・・・・・・。それぞれ譲れないものを抱え反発もあったが、次第に響の信念に共鳴し、共に戦う決心をする。しかしそこにはタワーの罠と、様々な裏切りが待ち受けていた。父親として覚悟を決めた響は、自らの命よりも大切な子供への想いを胸に、襲い掛かるゴーレムたち、そしてワクチン開発のためには手段を選ばない残酷な人間たちと戦い続ける。 響には――最期が迫っていた。

<STAFF&CAST>
監督:菅原伸太郎
脚本:丑尾健太郎
出演: 竹内涼真
高橋文哉 堀田真由 板垣李光人 窪塚愛流 橘優輝
吉柳咲良 / 須賀健太 味方良介 黒羽麻璃央 / 吉田鋼太郎 

配給:東宝

公式サイト:https://kimiseka-final.jp

© 2024「君と世界が終わる日に」製作委員会

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