謎の感染症“ゴーレムウィルス”によって、突然日常を奪われた人々の過酷なサバイバルと濃厚な人間ドラマを描いた連続ドラマ「君と世界が終わる日に」は愛する人さえ失う予測不能のスリリングな展開が反響を呼んだ。Season1は地上波で放送され、 Season2~4はHuluで配信。『劇場版 君と世界が終わる日に FINAL』で竹内涼真演じる熱き主人公・響の物語が完結する。ドラマから引き続き、メガホンを取った菅原伸太郎監督に作品の世界観や劇場版に至るまでの主人公の変化、新たに加わったキャラクターについて語ってもらった。(取材・文/ほりきみき)

ゴーレムと呼ぶゾンビをモチーフにするものの人間ドラマがメイン

──本作は地上波ゴールデンプライムタイムでは初となる“ゾンビ”をモチーフとして、2021年に放送された連続ドラマ「君と世界が終わる日に」の映画化です。企画を聞いたとき、どのように思いましたか。

ゾンビものはゴア表現と言って、血しぶきが飛び散る様な残虐なシーンが求められます。それがどこまでできるのか。しかも連続ドラマは毎週、放送しなくてはいけませんから、時間も限られています。その中でメイクに時間が掛かるものを扱うのは大変です。そういった辺りに初めは不安を感じました。

画像: 菅原伸太郎監督

菅原伸太郎監督

しかし、実際にやってみると、この作品の本質は人間ドラマにあったので、「この方向性だったら、地上波で面白いものが作れるのではないか」と思えてきました。この業界は、映画などのテレビドラマ以外の分野でゾンビを作っていらっしゃる方はけっこういます。そういう方の知見を得ながら、探り探りやっていくうちに、時間やお金の使い方も上手になっていった気がします。

──Season1は地上波で、その後、Season2~4は動画配信サービスHuluで独占配信され、満を持して劇場版です。いつの時点で劇場版の製作が決まったのでしょうか。また、劇場版を作ると聞いたときにどう思われましたか。

劇場版が決まったのはSeason3が終わったとき。次はSeason4と映画、Season5をやるとプロデューサーから話がありました。2年前くらいのことです。Season4はHuluという限られたお客さんしか見られないもので、その流れから劇場版というパブリックなものにいく。そしてその先にHulu でのSeason5がある。話をどう作っていくかという構造的な難しさを感じました。

──劇場版の脚本をSeason3でも組まれた丑尾健太郎さんが担当されています。Season3からの流れで、Season4と映画、Season5を包括的に考えて物語を作っていったということでしょうか。

まずは大枠を丑尾さんと一緒に作って、そのほかに脚本家4人の方に加わってもらってSeason4・5を割り振り、丑尾さんは劇場版に気持ちを傾けてもらいました。

──具体的にはどのように脚本開発をされましたか。

まず響の流れを考えました。Season3で響は愛する来美を自分の手で殺してしまい、娘を奪われ、人間性を失ってしまいます。Season4ではダークヒーロー化した響がどう立ち直っていくかを描く。ホップステップジャンプのステップ的なところですね。娘を取り戻すという目的ができ、響は改めて生きる意味を見つけました。この気持ちの流れの先に劇場版があるのです。

では劇場版の舞台をどこにするか。地下とタワーという構想が決まり、そこから考えていきました。響はSeason4で人間性を取り戻したものの、元の自分には戻れないことは自覚している。それで自分の過去を清算する話にしたのです。映画からのお客さんにも抵抗なく入っていただけるように、主人公は響ですが、他は新しいメンバーにして物語を作っていきました。

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