突然の出会いが夫婦の人生にもたらす「想定外の愛」
『アルマゲドン・タイム ある日々の肖像』（2022）のアン・ハサウェイがプロデューサーを務め、『50歳の恋愛白書』（2009）のレベッカ・ミラー監督と共に手掛けた今作は、突然の出会いが夫婦の人生にもたらす「想定外の愛」を描いたラブコメディ。
ニューヨーク、ブルックリンに暮らす夫婦、パトリシアとスティーブン。精神科医の妻パトリシアは掃除が大好きな潔癖症。一方、著名な現代オペラ作曲家の夫スティーブンは、5年前から1曲も書けないという人生最大のスランプに陥っていた。
ある日、妻兼主治医から、精神療法の一環として愛犬と行く当てのない散歩に送り出されたスティーブンは、とあるバーで、曳船の船長をしているというユニークなカトリーナと出会う。彼女に誘われ船に乗り込んだスティーブンは、予想だにしない出来事に襲われる…！
20年前にミラーの別の映画でオーディションを受けて採用されなかったという過去があり、本作で遂に夢を叶えたアン・ハサウェイは、セレブな暮らしを送りながら修道女に憧れるアンビバレントなパトリシアの心情を、ユーモアをきかせて演じきった。
作曲家としての才能以外は欠点だらけだが、人間味あふれる言動を愛さずにはいられないスティーブンには、大旋風を巻き起こした大ヒットTVシリーズ「ゲーム・オブ・スローンズ」でゴールデングローブ賞と4度のエミー賞を受賞したピーター・ディンクレージ。
謎だらけだが不思議な魅力を放つカトリーナには、アカデミー賞受賞俳優のマリサ・トメイ。近年では「スパイダーマン」最新シリーズで、ピーター・パーカーのおばであるメイ・パーカーを演じて注目された。
さらに、パトリシアの息子の恋人役で、アカデミー賞受賞俳優パトリシア・アークエットの娘ハーロウ・ジェーンが出演しているのも見逃せない！
音楽を手掛けたのはグラミー賞を度受賞した偉才、ブライス・デスナー。また、ロック界の重鎮・ブルース・スプリングスティーンが書き下ろした主題歌は、本年度ゴールデングローブ賞歌曲賞にノミネートされている。
登場人物
パトリシア （アン・ハサウェイ）
人気精神科医で掃除が大好き。修道女になることを夢みている。
スティーブン （ピーター・ディンクレージ ）
著名なオペラ作家。5年前から1曲も書けない大スランプ中。
カトリーナ （マリサ・トメイ）
ひねくれているけどユーモアに満ちた曳船 の“ 船長 ”。
注目ポイント
一味違ったスクリューボール・コメディに胸躍る！
本作は『ヒズ・ガール・フライデー』（1939）や『フィラデルフィア物語』（1940）といった古典的なスクリューボール・コメディのオマージュとなっている一方で、ジョン・カサヴェテスやハル・アシュビーらの監督作品に見られるような感情の駆け引きも盛り込むことで、物語のトーンのバランスを取っている！
リアルな"ニューヨーク"の街並みにも癒される！
“街”も大きな役割を果たす本作では、ブルックリンの観光名所の一つである港町のレッドフック、ブルックリン・ハイツに建ち並ぶレンガ造りのアパートメント、クイーンズにある南北戦争で実際に使われたフォート・トッテン・パークの砲台跡まで、街をジグザグと縫うように数日ごとに移動しながら撮影された。
【インタビュー】レベッカ・ミラー
レベッカ・ミラー プロフィール
1962年9月15日、米コネチカット州出身。劇作家アーサー・ミラーを父に持ち、夫は元俳優のダニエル・デイ=ルイス。大学卒業後は女優として舞台・映画で活躍し、1995年『アンジェラ』で監督デビュー。小説家としても活躍しており、本作の原案となった短編小説「She Came to Me」が収録されている「Total」を含む5冊の本を執筆している。
──俳優兼プロデューサーとしてのアン・ハサウェイと本作を作るうえで、どんな話をしましたか？
アンは、この映画に1番最初に参加してくれた人です。彼女は、私たちがキャストと資金を集めるまで、辛抱強く待ってくれました。彼女はパトリシアというキャラクターの“仕事"に関して多くの楽しいアイデアを持っていて、それがパトリシアのユニークな特徴を引き立て、大いに役立ちました。
役者としてのアンは、細部に気を配り、徹底的に作品と向き合い、情熱を注ぎ込みます。全身全霊で演じるのです。ある祈りのシーンの撮影時、私は彼女に、演技ではなく本当に祈るように頼みました。結果、それは彼女の心に深く刻まれた素晴らしい体験となりました。
──音楽を手掛けたブライス・デスナーとはどんな話をしましたか？また、オリジナルの現代オペラはどのように生まれたのですか？
ブライスと話し合いを重ね、最初のオペラはより難解で複雑な楽曲で、2番目のオペラはより歌曲のような楽曲になっています。最初のオペラは、スティーブンの恐れや不安を表現した曲、2番目のオペラは恋する男が書いた曲、という意図でした。ブライスは、水面に反射する太陽の光のような音楽を作ろうとしており、それは見事に成功したと思います。
──本作のメッセージはなんですか？
一言にはまとめられませんが、端的に言うと、誰の人生でも運命は思いのままに変えられる、というのがこの映画の核心にある考えです。
『ブルックリンでオペラを』
2024年4月5日（金）公開
アメリカ／2023／1時間42分／配給：松竹
監督：レベッカ・ミラー
出演：アン・ハサウェイ、ピーター・ディンクレージ、マリサ・トメイ
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